仲間ということ。
「ロージイさん!それにラージイさんにケイジさんも!
ああ!ヤッキーにガリー!来てくれたんだね!」
病室のドアを開けるとにこやかな顔のセピアさんが立っていた。
もう自力で立てるようになったのね。
「セピアくん!無事だったんだね!良かった!生きていた!」
ケイジ兄が顔をくしゃくしゃにした。
「うん、ケイジさん。無事ではなかったけど助かりました。
みんなロージイさんのおかげです。」
「そうだろう、そうだろう!ロージイのチカラはすごいものな!」
うんうんと頷く。
「セピアの兄貴。よくまあ生きて。」
「あえて嬉しいでがんすよ!さ、良く顔を見せて!」
「ありがとう!ヤッキーにガリー!」
「あはははは!」
三人で肩をバシバシたたきあって再会を喜んでいる。
「おい、二人とも。セピアくんの身体にさわるだろ。」
「そうですね、ラージイさん。だけどオイラ嬉しくて!」
「まったくでがす!」
わあわあ泣きだす二人。
「セピア、オマエほんとに彼等に好かれてるんだな。」
「やだな、ブラッキーさん。疑ってたんですか。」
「オマエみたいにヘラヘラした奴がな。
先日もシンゴとハンゾーがアンディ様に連れられて見舞いにきたな。」
「あー、ハイ。悪友に会えて嬉しかったっすね。
それにアンディ様♡にも随分気を使っていただいて。
」
「そのアンディ様♡って言い方。
ダン様がアンディ様♡と言う言い方にそっくりでやんすねえ。」
「まったくでがす。」
「ふふふ。アンディ様は龍太郎君のウロコ水を、意識が無いオレに口移しで飲ませてくださったのさ。それで目を覚ましたんだ。」
「えっ!そうなのか!」
驚くラージイ兄。
「へ、へえ…そうなのか。まあ、そうかもな。キミが行方不明になった時のアンディ様のご様子ときたら。」
ケイジ兄も腕組みをする。
「フン。ショコラが口移しを嫌がったからアンディ様が仕方なくと聞いてるぞ。オマエはショコラに元から相手にされてなかったんだな。」
「そんなー、ブラッキーさん、厳しいなあ。」
病室には暖かい空気が流れている。
先ほどのギスギスした感じとは大違いだ。
それにブラッキーさんも先日会ったときよりもずいぶんと雰囲気が柔らかい。
「ブラッキーさんがリハビリと言う名前のしごき、いや指導をしてくれたから、随分回復したんだ。
もう退院でいいでしょう?」
セピアさんはいそいそと荷物をまとめ始める。
ガチャ。
ドアが開いた。
「そうだな!先ほど院長先生の許可をもらって来たでごわす。」
「エドワード様!いらしてたんですか?」
兄達が頭を下げる。
「うむ。小一時間ほど前からな!まっすぐ院長先生の所にいって話を聞いてきたでござるよ。
うちのジークがご迷惑をおかけしたみたいですしな!」
ははあ。なるほど。アンディ様よりエドワード様の方がジーク様への牽制になるという事か。
裏で糸を引いているのはアンディ様か。
「もちろん。アンディ殿に頼まれて来たでごわすよ。」
やっぱり。
「拙者がそちらのホテルまで同行しよう。ジークが絡んで来ないようにですな!」
「それは頼もしいです。ありがとうございます。」
みんなでペコペコ頭を下げる。
「ジークの奴はな、これから厳しく鍛練させるでごわす。第一騎士団の連中にしっかり頼んでおきましたからな。」
カラカラと笑うエドワード様。頼もしい。
「着替えますから、ロージイさん。ちょっとだけ向こうを向いていて下さいね?」
「そうですな!本当は外でまっていて欲しいところでごわすがジークがいると面倒でござる。」
「わかりましたわ。」
別に男性の着替えくらいどうということもないが。
セピアさんが身支度を終えた。
やはり影の人は着替えも早いのか。
「それでは、準備はいいでごわすか?」
「はい。出来れば病院のみんなにお礼を言いたいのですが。」
「うむ。良い心がけであるな。エリーフラワーから預かってきてるでごわすよ。カレーヌ様のお店の焼き菓子だそうである。
各部署に配るといいでござるな。」
「何から何まですみません…」
エドワード様の後ろの紙袋はそれなのね。
「ええとおいくらですか?」
「いやいや。心配しなくてよろしい。アンディ殿が退院祝いと言うことで払っておいででごわすよ。」
「うっ、アンディ様♡」
目を潤ませるセピアさん。
ふうん、アンディ様は気がきく人なのね。
「入院費は自分で払うでござるよ?
アンディ殿がキミの給料をこちらに預けたと聞いたでごわす。」
「あ…はい。」
外に出た。
看護師さんの詰め所にいってお菓子を渡している。
「調理室のお方たちにも、こちらをお願い出来ますか?衛生的にも不味いでしょうから。
あと、担当の先生にも。診察中でしょ?」
「オッケー渡しておくわ。」
「セピアさんがいなくなると寂しくなるわね。」
「そうそう。ブラッキーさんとのやり取りが面白かったわー」
「あら!ブルーウォーターのコンドラ本舗のお菓子じゃ無いの。
ふふ、あの騎士さんと違ってねえ。気遣いできるのね。」
「いやあ、ははは。」
頭を掻くセピアさん。
院長室にも行く。
「さきほど、エドワード様からもご挨拶をいただきましたよ。元気でお暮らし下さいね。
まったくあの怪我からここまで回復するとは!」
「先生、お世話になりました。皆様のおかげでございます。」
ペコペコと頭を下げるセピアさん。
「それにあなたのおかげで、ネモ様やケンタウロスなど刺激的な方々にもお会いできましたな。」
「ははは。」
そして事務所に。
「入院費の精算をお願いします。これ少しですが。皆様で。ブルーウォーターの評判のお菓子です。長い間お世話になりました。」
「あー、気を使わせてすみませんね。
ええ、アンディ様からお金は預かってますよ。差し引きコチラで。」
「はい、色々とありがとうございました。」
……みんな無視しているけど、さっきからジークさんの視線を感じる。
少し離れてついて来ている。看護師さんの詰め所からずっと。
(だから看護師さんがイヤミを言ったのだ。)
「ジーク?何か言いたいことがあったら言うでごわす。」
エドワード様が振り向いてジークさんを見た。




