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ロージイの話。〜ずっとあなたが好きでした。だけど卒業式の日にお別れですか。のスピンオフ。  作者: 雷鳥文庫


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そして彼女は振り返らない。

 「何の騒ぎを起こしてるんだ、リーリエ。」

そこに大股でやってきたのはブラッキーさんだ。


「あら、来たの。天誅男。」

「なんですか、それ。」

ラージイ兄がキョトンとする。

「ホホホ。セピアの一挙手一投足を見張ってね、少しでもふらっと看護師さんにちょっかいを出そうとしたら、「天誅!」「天誅!」って手刀をくらわせてるのよ。」

ホホホとリーリエさんは高笑いをする。

「当然だろ。不真面目な態度はいかん。」

ふん!と横を向く、巨漢ブラッキー。


「ええ…セピアくん…そんなにちょっかい出してるの…」

ケイジ兄の顔が怖くなる。


「貴方、ブラッキーさん。ショコラさんのお兄さんなんでしょ。セピアさんに腹を立てるのはわかります。」

フリーゼさんは冷たい声を出す。

そして周りを見回して私を見て眉を顰めた。


「…私だってショコラさんと仲が良かった。セピアさんに怒っているのは私も。」

「フリーゼ、そんな事をいうな。他所様の事情に口を出すな。」


「…そうね。ジーク兄さん。あのカタブツのアナタがコロリといくんだから。この紅の魔女様はすごいわよ。

ねえ、しっかりセピアさんに捕まっていて。

二人できっちりとくっついていてよ。

これ以上犠牲者を出さないように。」


彼女の視線は私を貫く。負の感情が私に向けられる。


どうしてよ。私が望んだ訳じゃないわ… そんな目で見ないで。

とばっちりだわ。


「フリーゼ!」

青筋を立てて怒るジークさん。

「わかってたわよ。父と母への義理で婚約を解消出来なかったことは。」


彼女の細い肩が震える。


「すまない、どうしても妹としか見れなくて。まわりからそろそろオマエと結婚しろ、というプレッシャーがすごくて。それで更にストレスになって。

……その、今回親身に看病してくれて本当に感謝してるんだ。

で、オマエを好きになろうと努力したんだが。

……すまない。」



…なんとなく察せられた。多分彼女では駄目なんだ。

何か…そういう方面の反応が。下卑た話だが。



でも何それ?

()()()()()()()()()()()()


……馬鹿にしてる。どこまで上から見てるの。


ガリーやヤッキーが顔を合わせて気の毒そうな表情をする。


「わかりました。もう関わりません。」

フリーゼさんの目が吊り上がる。

「ジーク兄さん、いえ、騎士ジーク様。私が貴方に差し上げたブレスレットを返してください。」

「え。」

「それは私が誠心誠意、持てる力のすべてをこめて作ったもの。」

彼女の目はじっとジークさんを見つめている。

「私の最高傑作。

そして全身全霊で持ち主への祈りをこめたもの。」

彼女の目から涙が落ちる。


「これをつけたものが怪我をしないように。」

ポタリ。

落ちて行く涙。


「無事に帰れるようにって…」


手で顔を覆って泣きじゃくる。


「フリーゼ、ありがとう。助かったんだ。このブレスレットが無ければ帰って来れなかった。

感謝している。

だから返せなんて言わないでくれ!」

焦るジークさん。

「ふふ、もうその腕輪には加護の力は…少なくとも貴方を守る力はないわ。

二度と助けてもらえないのよ。返して。」


彼女の顔は怒りに燃えている。


「そんな。」

「奇跡は二度は起こらないって事でしょう。ジークさん、返してあげなさい。」

ラージイ兄の言葉にのろのろとした仕草でブレスレットを外す。

そして手渡した。

「もう、これで…フリーゼ、キミと縁が切れてしまうのか。」

「そうね。…なんで…ジーク、あなたが泣くの。

私を疎んで避けていた癖に。

好きになろうとして努力した?そうですか。

それでも無理だった、と。

……馬鹿にするのもいい加減にして!」


「ああ、そうだな。悪かった。」


フリーゼさんはブレスレットを嵌める。

「ふふ、神獣様のおチカラかしら。自動的にピッタリと嵌まったわ。」

「フリーゼ。」


「さよなら騎士ジーク様。」


そしてトランクを引いて出ていく。

その後をリーリエさんが追いかける。


呆然と見送るジーク様。


「さ、今のうちに。」

ブラッキーさんが手招きをする。


「あのジークにロージイさんが絡まれないうちに、さ、さ。」


そうして病室に向かったのだった。






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― 新着の感想 ―
見ようによってはセピアよりも最低な男ジーク。 政略結婚なんかでは、愛そうとする努力も必要かもしれませんが、この言い方。 で、自分はそういう態度なのに、フリーゼさんからはいつまでも好かれておきたいという…
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