表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロージイの話。〜ずっとあなたが好きでした。だけど卒業式の日にお別れですか。のスピンオフ。  作者: 雷鳥文庫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/68

ブルーウォーターの支配者。

誤字脱字報告ありがとうございます。

 兄がネモ様に平伏する。

「お初にお目にかかります…ネモ様。

私、ラージイ・ベリックと申します。」


「わ、私は妹のロージイ・ベリックでございます。」

慌てて私も頭を下げた。


目を細めてこちらを見るネモ様。

「宜しく。ラージイ君。アラン様の側近で将来有望だとは聞いているよ。リード様からもね。」 

兄を見るその目は優しい。

「そ、そんな。恐縮でございます…」

そして私を見る。

打って変わって冷たい目だ。

「…占い師殿。貴女のお噂も色々と…ね。」


冷気?いやこれは怒りだ。

嫌悪感…か。

アンディ様やシンゴさんが私に見せる表情だ。


疎まれている。

……きっと、メリイさんとの事で。

足が震える。


ふっ、とその表情はかき消えた。


「ねえ、セピア君。立てるかい?」

ネモ様はセピア君の隣に立つ。

「は、はい。」

「ここでは魂下ろしには狭いんじゃないかと思うんだ。ね、アンディさん。」

ネモ様はアンディ様には気安いのね。


「そうですな。この後マージが来る。護送されてね。

…ショコラも呼びもどしたいし。

病院の応接室を使わせてもらおう。

あそこは会議室を兼ねている、そこそこ広い。

ヤマシロ、手配をしてくれ。

ブラッキー、ショコラを呼んでこい。

それからロンド、俺と二人でセピアに肩を貸すぞ?」

「ははっ!」

「アンディ様♡」

セピアさんの目が輝く。

「そう言うのいいから。」

アンディ様が顔を顰める。

本当にセピアさんはアンディ様が好きなのね。


「あの?マージ?あの女を呼ぶのですか?」

兄が恐る恐るという感じで発言をする。

私も出来れば会いたくない。私達に悪意を持っていた女だ。

「ラージイ君。魂下ろしをするのは、「チル」だ。」


「えっ!」

思わず声が出た。

「あの時の彼女…ですか?」

あの瞬く光の。10歳で落命した少女。

「ええ、あの時、貴女の水晶玉の上にいた小さな女の子ですわ…」

メアリアンさんが静かに言う。

「ここにもついて来ていますわよ。お姉さんに会いたいと。

もちろん、貴方にもね?セピアさん。」


セピアさんの顔から表情が抜け落ちる。


「…チル。」

その声は震えていた。


「セピアさん。チルは貴方が心配で。自分たちが亡くなったことで心を閉ざした貴方が心配で…ずっと留まっていたのです。貴方とマージの近くを行ったり来たりして。」

メアリアンさんはじっとセピアさんを見て、それから私にも視線を寄越した。

「…メアリアンさん、それは本当ですか?」

セピアさんの声は掠れている。


「…ええ、貴方のご両親はもうおられないけど。

アンディ様が仇を取ってくださったから、安心して消えた、と彼女は言ってますわ。

……

ご両親はね、最後までチルを守っていたのですって。」


アンディ様も真剣な顔になっている。


「あの時。忍びの里の男手は偽の情報で惑わされて、他所に行った。そして罠に落ちて挟み撃ちにあったんだ。

セピア、オマエの父親は飛び出したオマエが心配で里に残っていたんだ。

…ハイドは別の任務でな、他の所に潜っていたからな、無事だった。」

「……。」

セピアさんは石になった様に動かない。


「あの後調べたのさ。側妃達がなぜあの場所を見つけたのか。そこに金や食糧が豊富にあると吹き込んだのは誰なのか。

何故男衆達が簡単にやられたのか。

他所の国が手を回していたのではないか、とね。」

「里に裏切りものがいたと言う事ですか。」

セピア君の顔色は紙のように白くなる。


「そうだ。他所の国の間者だろ。多分ギガントの奴らだ。

グランディはあの当時ギガントの間者がたくさんいたんだ。」

アンディ様の声は硬かった。

ヤマシロさんが手を握り締めるのが見える。

それをレイカさんが痛ましそうな顔で見ていた。


ラージイ兄も難しい顔をする。

隣のギガントとはもう何回も小競り合いを繰り返して来た。

最近、白狐様とネモ様に滅ぼされるまで。

敵将の首をとったのはアンディ様だ。


改めて大物達の揃い踏みに気がつき、背中に冷たい汗が落ちる。


そしてみんなで会議室に移動した。


「さア!スネちゃま達よ!連れておいで!」

ネモ様の声で白い塊が部屋に転がりこんでいた。


これは?何?何なの?

白い蛇の塊だ!無数の蛇が何かを包み球になっている。


「きゃあっ!白い蛇の塊っ!」

思わず悲鳴を上げる。

「ロージイ、私の後ろに!」

ラージイ兄の後ろに隠れる。


「おや、そうか。君達は私の蛇を見るのは初めてかい?」

ネモ様が口もとを上げて笑った。


皆さん、何で平気なのっ!


蛇団子が解けて中から若い女がまろびでた。


これはあの女だ。シードラゴン島の…いいえ、コハク国の…。


「マージ…」



マージの口には猿轡があり、手と足は白い紐で、いや?白蛇だ!白蛇で拘束されている。


白蛇達が鎌首を上げて私を見た。

その赤い目が恐ろしい。



「ふふ、スネちゃま、そこの椅子に座らせておやり?」

ネモ様の言葉で足に巻きついている白蛇達がマージを運びくくりつける。

悪夢のような光景だ。


「す、すごい。これがネモ様のおチカラ!」

ラージイ兄さんの声が震えている。

「貴方は…人間であらせられるのか?」

それは思わず漏れた心の声だろう。

兄の表情は畏怖で溢れていた。


ネモ様の目が薄荷色に煌めく。

ふっ、と鼻で笑われた。

「良く言われます。」


それからマージの方を見るブルーウォーターの支配者。

「でもそれでウチの国に攻めようという輩は減りましたからね。

さ、マージ。ウチのスネちゃまの毒はどうだい?

軽くしか噛んでないからもう動けるだろう?

だけどね、3回噛まれたら死にいたるから、気をつけてね?」


そして薄く笑ってマージに近づく。


「キミのお仲間達は暴れてたり、許せない言動が多かったから噛まれてしまったけどねえ。」


怖い。あの御方は絶対怒らせてはいけない。


ガタガタと身体が震えてくる。

兄が私を抱きしめてくれるが、顔色は悪い。

やはり恐ろしいんだ。


雰囲気を変えたのはレイカさんだ。

「ネモさん。ではコハク国はマージ達を切り捨てたの?」


ケロリとしてネモ様に話しかけている。

どうしてこんな雰囲気で、平気で居られるのだろう?

それにこんなに怖い御方に気軽に話しかけられるなんて…。


「ええ、そうですよ。レイカさん。前政権が勝手に忍ばせた間者達だと。

メンドン国やマナカ国の抗議が凄まじかったらしいですからね、グランディに何かをしたんだ!とね。

先日もね。」


ネモ様も柔らかい表情になって、彼女に受け答えをしている。




「フン、こんな平和ボケした国。滅びてしまえば良いのよ。」

マージが口を開いた、憎々しげに。

いつのまにか猿轡は外されていた。


「ふふふ、口がきけるようになりましたのね。」

巫女姫さまが不敵に笑う。

「さあ、ネモ様。お力をお貸し下さいませ。

魂下ろしをいたしましょう。

嬉しいでしょう?『チル』さんに会えますわよ。」


「あ、あんたは?」

目を見開くマージ。


「私はメアリアン。暗部なら私の事をご存知でしょう?

『チル』さんね、今は貴女の頭上にいて貴女とお話したいと待っていましてよ。」

「…え?」

マージは絶句している。




カチャリ。。




 その時、男女が入って来た。

最初いた女性と、先程ブラッキーと呼ばれていた男性だ。

二人が私をチラリと見る。

女性は半分泣きそうな顔で、男性は私を射殺すような目で見た。


まるでインクを水に落としたように、黒い不安がじわじわと広がっていく。


どう言うことなの?


チラリとセピアさんを見るが、彼の目はうつろであたりを見回している。

チルさんがどこにいるか。目で探しているようだ。



「では、始めましょう。」


巫女姫が手を広げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ロージィ、ますます不安になっていますね、当然ながら。 過去は消せないし自分でもわかっているだろうけど、どれだけ自分が疎まれているかを目の当たりにしておびえずにはいられないでしょう。 ロージィ視点ではわ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ