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ロージイの話。〜ずっとあなたが好きでした。だけど卒業式の日にお別れですか。のスピンオフ。  作者: 雷鳥文庫


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52/68

病室にて。

 馬車から降りる。

ヤマシロさんを先導にラージイ兄、私と入って行く。

ロンドさんは後ろに付いている。


「ロンド君じゃないか?」

「あれ、ジークさん。どうですか、具合は?」

ロビーでいきなり声をかけてきたのはジークさんだ。

ひとまわり痩せている。

「うん、今歩行訓練をしているんだよ。」

「そうですか。」

彼の後ろには背の高い細身の女性が立っていてこちらを、じっと見てくる。

病院のスタッフなんだろうか?


「 ! 貴方はロージイさん?!」

「ええ、ジークさん。お身体は大丈夫ですの?」

「…ま、まさか?私に会いに?」

頬を染めるジークさんだ。え?そんな勘違いをする人だった?

「違いますよ。妹は()()()のセピア君に会いに来たんですよ、ジーク様。」

「あ!これはラージイ様。そうでしたね…」


「え!婚約者?」

「しっ、フリーゼさん、お静かに。」

ロンドさんが口に指を立てる。

「あの…ショ…は…」

さっきの女性の目が見開いている。

なるほど?病院のスタッフではなくてジークさんの関係者なのね?

そうよ、私はジークさんにはちっとも興味はないのよ?

安心してね?


「こっちへ。アンディ様とレイカさんも来てるはずですから。」

ヤマシロさんが誘導する。

「まあ、レイカさんも。お会いしたいと思ってましたわ…」

胸が温かくなった。




 病室に近づく。

ヤマシロさんがノックをする。

ああ、この向こうにセピアさんが。ドキドキする。


「ヤマシロか?入ってこい。」

アンディ様の声だわ。

「失礼します。」


中に入る。

アンディ様、レイカさん!

そしてメアリアンさんも?


あとは付き添いかしら?良く似た男女が。

身に纏った気配でこの人達も影なんだな、と分かる。


……そしてセピアさんがいた。




「セピア君!」

ラージイ兄が叫ぶ。

「セピアさん!」


「ロージイさん!ラージイさんも!」

セピアさんの目が私達をとらえる。

そして満面の笑みを浮かべた。


ああ!良かった。生きている。笑っている。

視界が霞む。


「あああ、良かった、無事なんだな!」

ラージイ兄が駆け寄る。

「セピアさん…もう大丈夫なの?あ、顔がまだ少し腫れて?」


まだ後遺症があるのね。ジークさんだってやっと歩ける様になったと。

セピアさんはジークさんより酷い目にあったのだから!

ああ、本当にまた会えるなんて…。


「でも…よ、良かった。生きていて。

この目で見るまでは…安心出来なくって。」


自分の頬を涙が伝って落ちるのを感じる。


生きている。本当にもう、それだけで。

アンディ様から生死不明と聞いたときは、胸が潰れるかと思った。


私に執着しているから会いに来るはず…

と、言われて。

あれから身の回りに何か気配がしないかと。

助かったと言われて、命の危機を脱したと聞いてどんなに安心したか。


ポタポタと涙は溢れ落ちる。


「ろ、ロージイねえさん…」

セピア君の頬に赤みが差す。


ラージイ兄さんも涙目でウンウンと頷いている。


アンディ様はチラリと横目でレイカさんを見ている。

その表情は柔らかい。


ああ、そうだ。

レイカさんにもお礼を言わなくては。

あの時も助けて貰ったし、今回だって。


「レイカさん!」

「アッハイ?」

栗色の髪を揺らして、濃い緑色の瞳が私を見る。


「お会いしたかった!」

「わ、わたくしにですか?なっ、なぜに?」

ふふ、私のテンションに引かれているわ。

キョトンとした顔にも人の良さが滲み出ている。


「先日、ランドさんにもお会いしましたの!」

「愚兄にですか?」

「とても、似てらっしゃいますのね?」

「オホホ?良く言われます。」

「あったかくて善良で。」

「よして下さいよ、照れるじゃありませんか…」

眉尻を下げて笑うレイカさん。


「お二人とも…芯からお優しくて心根が綺麗な方ですわ。側にいらっしゃると安心しますの。」


レイカさんの顔が赤くなる。


「それに、レイカさんの御尽力でセピアさんが助かったと聞いております!」

「いえいえ。私はペンダントやらを食べさせただけですから。

貴女の黄色の光…トパーズの加護が凄かったですよ。」

手を左右に振って謙遜なさる。


「でも神獣様にお願いをして下さったのでしょう?」


「アッハイ、まあ。良くご存知で。」


本当に有難う!レイカさん…

貴女のおかげですわ…

思わず抱きついてしまった。

目を丸くして驚いてらっしゃるわ。

温かい。リラさんみたいにこの人もお姉さん、という感じがする。

だから、つい口から出てしまった。


「おかげ様で、私の婚約者のセピアさんが助かりましたわ……」


今まで自分からセピアさんのことを婚約者、と公言したことはあまりない。

一応、仮だし。だけど…。



「本当だよ、セピア君!生きていてくれて良かった!」

男泣きしている、ラージイ兄。

そう、これは言っておかなくては。


「ケイジ兄もヤッキーもガリーも会いたがっているの、とても心配しているのよ…」


セピアさんの所へ行く。


そして手を取る。


「私達は似たもの同士だと、無くしそうになったら…益々、それがわかったから。」


言葉が溢れてくる。涙も止まらない。


良いんじゃないかしら、もう。

意地なんか捨ててしまおう。


…この人が私に寄り添ってくれるならば。

ずっと側にいてくれるならば。



「……ロージイ、さん…」


セピアさんの目が私をじっと見てる。

そして泣きそうな顔になる。




コンコン。

「やあ、入っても良いかな?」

「ネモさん!」

アンディ様がドアを開ける。


「キューちゃんに送ってもらったんだ。彼は帰ってしまったけど…魂下ろしに必要なチカラはたっぷりくれたから、安心してね?」


メアリアンさんが頭を下げる。


私と兄は固まった。


ネモさん?いえ、ネモ様?

あのブルーウォーターの支配者が?

ここに?

でもその特徴的な、薄荷色の目…。




魂下ろしですって?ここで?






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― 新着の感想 ―
これはちょっとロージィが哀れ・・・
知らないって怖いね(-_-;)ロージーあちこちで爆弾撒きまくりだぁ。 まさかフリーゼさんまで居合わせるとは... でもまぁこれでちょっとは目が覚めればいいかも? ただロージーを敵視しそうで心配かな~ …
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