そして去っていく。
立ちあがるロッキー・ロック王子。
手には大事そうにコハクのペンダントを持っている。
「紅の麗しき魔女殿。世話になった。
マージが見つかったら御礼に来る。」
「あら、ふふ。占いの代金をその時に払うの?」
「 ! そうか。幾らだ?」
「5000ギンいただくわ。」
素寒貧らしいこの男。お金はあるんでしょうね?
服装も髪もボロボロだけど。
「…これでいいか?」
ポケットからくしゃくしゃになった紙幣を取り出す。
「まいど。」
ケイジ兄が受け取った。
「御礼なんか良いから。もう来るな。オマエ達がどんなにウチに迷惑をかけたと思ってるんだ?
オマエ達が迷惑をかけたお城の侍女はな、ウチの兄の婚約者なんだぞ!」
「そ、そうなのか?
だ、だが私はこの紅の魔女に心を奪われていてな…
また会いたいんだ。
……だけどマージも大事で選べないんだ。」
は?
開いた口が塞がらない。
「はあ?オマエ何、言ってるんだ?」
「ふざけた野郎でやんす!」
「頭かち割ってやるでがすよ!」
兄達も怒っている。
「ふざけた野郎だな!」
そこにロンドさんが入って来た。
廊下で様子を見ていたの?
「ロッキー王子。早くマージとやらを探しにいけよ。ぐずぐずしていたらアンタを不法入国で捕まえるぞ。
アンタがマージ達を誘き寄せる餌になれば良いんだが。
うーん、無理か?」
「わかった!これで失礼する。」
「ええ。もう来ないで。私にはその気はないしアンタなんて大嫌いよ。」
「……。」
ロッキー王子は出て行った。
「やれやれ。ひとりで見つけられる訳でもないだろうに。」
腕組みをするロンドさんだ。
「ロンド、ここを頼む。俺はアンディ様に報告するから。」
「そうだな!行ってこいよ、ヤマシロ。
占いの結果をお伝えして早く見つかるといいよな!」
ロンドさんは白い歯を見せて笑った。
大型犬を思わせる茶色の髪に茶色の目。
人の良さが感じられる。
彼は温かいオーラを持つ人だ。
エドワード様とご親戚だけのことはあると思う。
似ているのだ。…身に纏う雰囲気が。
ヤマシロさんも出て行った。
「ロンド様。あの王子は泳がされているのですね?」
「ええ、ケイジさん。多分尾行されてますよ。
でもねえ、世間知らずの王子が無事に砂漠の国に潜入できるとも思えないな。」
「あれでもシードラゴンの王家の血筋。
利用されたら面倒なのではないかしら。」
私の言葉に肩をすくめるロンドさんだ。
「多分、アイツは長生き出来ないのではないかな。」
「えっ?」
「ジークさんやセピア君が酷い目にあったからね。
監視はついてるけども、例えば彼が暴漢にからまれても助けはしないと思うね。」
「なるほど…因果応報だよな。リラさんがあんな目に会ったんだ。」
「…ええ。」
「じゃあ、オモテを見張ってるから。何かあったら声をかけてね。」
さわやかな笑顔を残してロンドさんは出ていった。




