表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロージイの話。〜ずっとあなたが好きでした。だけど卒業式の日にお別れですか。のスピンオフ。  作者: 雷鳥文庫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/58

トパーズ色の瞳には。

誤字報告ありがとうございます。

「つまりなんだ?セピアにその…過去の出来事が関わってこんなことになったってか?」

アンディ様が声をあげる。


「…すみません。そこまではわかりませんけども。

先程からトパーズの色のイメージを強く感じるのです。」


「…そうか。」


「アンディ様、多分そうですわね。

…今、小さな女の子が来ていますわ。」

メアリアン様の声が響き渡った。

その目は半眼になって何かをとらえている。


「ええっ!」

…小さい女の子が来ているですって!?

そして水晶玉を指差す巫女姫。


「訴えてますの。『ワタシの名前はチル。お姉ちゃんのマージが、ごめんなさい。』と。トパーズ色の瞳を涙でうるませて。水晶玉の上にいますわ。」


確かに。水晶玉がトパーズ色に点滅したように…見える。

蛍の光のように儚く。か弱く。


「チルか…間違いなくホンモノだ。その名前が出るとはな。

あの日、セピアのやつがオレに縋り付いて泣きながら叫んでいた名前だよ。」

アンディ様の顔が歪む。


「ね、ねえ。メアリアン。魂下ろしをする?」

ランドさんがメアリアンさんの袖口を引っ張る。


「…いいえ。それはセピアさんが見つかってから。

彼と彼女を会わせてあげましょう…」

メアリアンさんは慈母の様に微笑み、水晶玉のちょっと上を見つめる。


「うむ。それには土地神様のお力が必要でごわすな!

ネモ様にお願いして立ち会ってもらいましょう!

長丁場になったら拙者だけでは荷が重いですな!」

エドワード様はウンウンと頷く。


「そうだな。エドワード。これは洒落にならない話だ。ネモさんにも聞いてもらわなくては。

もしかしたらリード様にもご同席を願うかもな。

…側妃絡みの事件だ。」



十年くらい前にあった、リード様暗殺未遂事件。

第三王子の母である側妃が首謀者だった。

その時王妃様はリード様を庇って深い傷を負われた。

側妃達は逃げたが、彼らは途中でセピアさん達の住んでいる忍びの里を襲って、強奪と殺戮をした。


数少ない生き残りがセピアさんだと言う。


(セピアさんの家族同然で許嫁のような少女もたった10歳で命を落としたのだ。)

そして、側妃派の残党狩りをしたのがアンディ様だと言う話だ。


「おう!ネモ様は可哀想な女性に弱い。きっとチカラを貸してくれるでごわすよ。」


「マージって。こないだのシードラゴン島の奴らですね?」


ケイジ兄がポツンと言う。


「……ああ、かなりの因縁だぞ、これは。」

アンディ様は頭を抱えた。


「チルは言ってますわ。『お姉さんは私が死んだのはグランディのせいだと思ってる。一緒に育ったのに、自分だけ生き残ったセピアに憎しみを抱いてるの。』と泣きながらね。」


「セピアは悪くないでござろう。奴だってその時10歳の子供だったでごわすからな。」

エドワード様が憤慨する。


彼のようにまっすぐな人間にはわからないのだ。

やり場のない怒りをぶつけてしまう気持ちが。


「メアリアンさん、チルは他に何か言ってないか?」

「…『お姉さんがセピアを殺そうとしてる。黄色い光と海竜様の金貨のチカラが守ってるけど、死にそうなの、早く助けて!!』と。」


「何だと!なあ、ロージイ!場所を占えないか!

セピアが捕まっている所だ!」


素早くカードを手繰る。そしてめくる。


「中央」「西南」「洞窟」


「ここから、西南の方向。マナカ国の洞窟ですわ!」


「そうか!」


アンディ様が立ち上がる。


「アンディ殿、行くのでござるか?」

「当たり前だろう?エドワード。」

その目と髪は吊り上がっている。


「落ち着くでござる!

闇雲に行っても見つからないでござるよ。

しかも他所の国だ。王家の影が大勢で押し寄せたら国際問題でござろう。」

エドワード様が必死でアンディ様を押さえている。


「ロージイ、もう少し絞りこめないか、頼む!

セピアは死にかけてんだろ…早くしねえと。」

頭を掻きむしるアンディ様だ。

クマの様にウロウロと歩き回っている。


「あのアンディ様がこんなに理性を無くすとは。」

ケイジ兄が立ち尽くす。

「ええ、ケイジ様。セピアさんは大事に思われてるでやんすね。」

ヤッキーやガリーも目を丸くしている。


「そうだ、ネモ様に連絡を取ってみるでござるよ。

動物達の目を使って探ってもらうでござる。

マナカ国の洞窟とわかっていればすぐに判明するでごわす!

何、拙者達の希望を無下にするネモ様ではござらぬ。」


「そうだな!エドワード!その方が早いか!」


私も必死でカードをめくる。何か手がかりは出ないか。


「石」「湖」「グランディ」


えっ?



そこに走りこんできたのはヤマシロさん?


「アンディ様!海竜様と神龍様のお力で、セピアを確保しました!」


「ホントか!?ヤマシロ!」


「ええ、レイカさんのお力ですよ!ニ神獣に頼んでくれたんです。

石に包まれたセピアはグラン湖に運ばれたんです。

神獣様たちのチカラで命は取り留めました!

今病院に運ばれたところです。」

満面の笑みのヤマシロさんだった。


「ブルーウォーター公国物語」の「214話 真打ち登場」にリンクしてます。

どうぞ、そちらも合わせてお読みください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ものすごい因縁話になってきましたね。 ロージィが解放されたのはよかったのでしょうが。 ロージィの、エドワードさんに対する言葉がすごく切ないです。 そう、まっすぐな人を見ていると、時々羨ましいやら切な…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ