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ロージイの話。〜ずっとあなたが好きでした。だけど卒業式の日にお別れですか。のスピンオフ。  作者: 雷鳥文庫


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繋がっていくもの。

誤字脱字報告ありがとうございます。

「そう、なんですか…ごめんなさい。ちょっと混乱して。」

リラ様は頬を赤く染める。

「こちらこそごめんなさいです。言葉足らずの長兄が悪いのですわ。

ちゃんと伝えるように私からも言っておきます。」


でも、と言葉をつなげる。


「私はリラ様が義姉さんになってくださったら本当に嬉しいです。」


「ふふふ。楽しそうなお話をしていますね。良いなあ。しあわせな話は聞いてるこちらの心まで温かくしてくれます。」


セピア色の人影が現れた。


「あら、来ていたの?」

「ええ。ロージイさん。ちょいとコチラで仕事がありましてね。手が空いたので。」


「あ、貴方は。先日いらっしゃったアンディ様の部下の御方。妹と共々、お世話になりました。

シードラゴンの者たちからお救いいただきまして。

それに以前、妹が入院したのを見つけてくださったのですよね?」

リラ様は急に現れたセピアさんに驚いている。


「ええ、まあそうです。

改めまして、こんにちは。リラ様。私はセピアと申します。

グランディ王家の影でしてね、貴女のことも存じあげておりますよ。」

芝居がかって深くお辞儀をするセピアさん。

頭をあげて薄く微笑む。

「だいたいお城勤めはシンゴやヤマシロが多かったンですケドね。」


またシンゴさんの名前を出しては私をチラリと見る。

もう。やめてほしいわ。


「でもね、そんな私でもリラ様のような優秀な侍女様は以前から存じあげておりましたよ。」

そして満面の笑みを浮かべる。


「私はこのロージイさんの婚約者なんですよ。これからは親戚付き合いがあるかもしれませんね。」


「ま、まあ!そうでしたの?」

リラ様は心の底から驚いている。

「まあ、一応まだ婚約者?という事になっていますわ。

彼は虫除けを兼ねてますの。」

「…厳しいなあ、ロージイの姐さん。

そろそろ絆されて、セピアさん、大好き♡になったりしませんか?」

相変わらずヘラヘラと私の言葉を受けながすセピア色の男。

「私は貴女のそのトパーズ色の瞳に首ったけなのに。」

「…ま、まああ?」

リラ様は目をパチクリさせて私とセピアさんを見ている。


「ふふふ。ありがとう?」

とりあえず軽くいなしておく。

リラ様の方が少女のように顔を染めている。

純情な人だ。


「…あー、もう。油断も隙もありゃしない。」

ため息をつきながら入ってきたのはケイジ兄だ。

「セピアさん、妹に会いに来てたんですね。

グランディで昨日、かなりの捕物があったと聞きましたが。その件で?

また神獣様の怒りに触れた者がいたとか。」



セピアさんが真顔になる。

「耳が早いですね。ええ、神龍・龍太郎様の大事な金貨を盗んだ馬鹿者がいたんです。

それはなんと、海竜様が海底から見つけて、親愛の印にプレゼントしたものらしいのです。

その金貨は加工して、龍太郎様のお気に入りにプレゼントする為に、グランディの宝飾品に預けられていたんですよ。そこを狙われた。」



「えっ。そんな貴重なものが盗まれたのですか?」

びっくりだ。それは神獣様も怒り心頭だろう。



「後は白狐様まで加わって、窃盗団とストリートギャングやらを掃討したのです。

三大神獣揃い踏みですよ。

今までグランディの宝石店が軒並み被害に遭っていましたからね、リード王子様指揮の元に徹底的に排除された。」


「まあ、そうだったのですか。」


リラ様が驚いている。秘密裏に行われたのだろう。


「例の金貨はもちろん、盗まれた品は押収されました。

その中には、あのラピスラズリのブレスレットがありましてね、今回の窃盗団も付けていましたよ。」

「えっ?」


「それで海竜様・グラッシー様の怒りを更に買ったのです。

借金のカタに取り上げたと言うものですから。

自分ところの島民を虐めたな?って。」


ふうん。あのブレスレットは祟るわね。


「あの島の人たちは島に送り返したのでしょう?

ナルシストの王子は現実を見て、彼女と結婚でもしたのかしら。」


マージとか言ったわね。茶色の髪でメガネをかけていた。一瞬男性かと思った。


「ええ、ウチに押し入ってきてそのまま見張りとして居座ってた娘さんね。

私に感謝しろ、と言ってたわ。

『ロッキー王子様は私に、必要以上に女性を痛めつけるところを見せたくない。と言うの。

だから頬を殴る以上のことはしなかったのよ。

貴女が女性としての尊厳を保てるのは私がここに残ったからよ。』とね。

そしてもう1人残ってる見張りの男をチラリと見たの。

『コイツと、2人で残されてない事を感謝して?』と。」

リラ様の手は震えていた。


「それは怖い思いをされましたね。」

思わず抱きしめる。


「……そのマージって娘はね、ロッキー・ロック王子の側近の娘です。兄妹の様に育ってたらしい。

一つ歳上でね、王子は姉の様に慕っていた。

そのうち恋情を自覚して常に自分の側に置くようになったとか。

伊達メガネや髪で顔を隠すようにさせてね。

島に置いとくと他の男に取られると思ったのでしょうが、花嫁探しの旅にまで連れてくるとはねえ。

マージを第二夫人や愛人として囲うつもりだったんですかね。」


セピアさんがため息をついた。


「ふうん。色々と拗らせている男だな。

多分、そのマージとやらにも振られたんだろ。」

「ふふ、ケイジさん。ご明察です。

彼女はその気はなかったらしいんですよ。

出来の悪い弟の世話をしているつもりだったとか。

ま、自分の前で別の女を口説く男なんか嫌でしょ。」


「馬鹿な男ね。」


私の口からは、それしか出なかった。





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