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ロージイの話。〜ずっとあなたが好きでした。だけど卒業式の日にお別れですか。のスピンオフ。  作者: 雷鳥文庫


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32/51

神獣。

 女性専用のホテルが、オープンした。

そして占い師としての仕事も再スタートである。

「ありがとう、ロージイさん。その節はお世話になりまして。貴女の占いは本物ですわ。妹が見つかったのは貴女のおかげです。」

リラ・メルヴィン様が大きなバラの花束を持ってお越しになった。

「これは開店祝いとお礼ですの。」

「あら、わざわざ。兄にことづけて下されば良かったのに。」

「いえ、そんな。ラージイ様はお忙しいのですし。」

兄の名前を口にすると赤くなるのね。


微笑ましい気持ちで見つめる。

花を受けとり、

「ではこちら飾ってね?」

「ハイでやんす。」

ヤッキーに渡す。


「赤い大輪のバラ。ロージイ姐さんにピッタリでやんすよ。」

口笛を吹きながら奥へ持っていった。


「どうぞ、おかけになって。」

二人きりになったところで話を切り出す。

「ところでララさんはお元気ですか?」

「ええ、もうすっかり。一緒に暮らしてます。そろそろ仕事を探さないと、と言ってますわ。」

ああ、そうか。お城の寮を追い出されたからね。

「侍女試験に受かる程優秀な方ですものね。すぐに、お仕事は見つかりますわよ。」


「だといいのですが。…しばらく男性はこりごりとか。」

軽くため息をつくメルヴィン様。

「そうですか。」

「あのブレスレットなのですが。」

「あ、はい。」

そういえばセピアさんが持っていったきりだわ。

処分されたのだろう。

「良くないものなので、処分したのですけれど。」


「あ、それは構いませんの。実はあちこちで安く売られていて、あの子の目が覚めたようなんです。」

「まあ。そうですの。」

「ええ、それも女性にモテる効果があると言う触れ込みで。」

苦笑する。効果が無かった訳ではないからだ。

「近くの雑貨屋にありましてね。海竜様の加護があるとか言って持ち込まれたそうなんですの。

シードラゴン島の王子と言う男がお連れをゾロゾロと連れて。」

「はあ?」

目をパチクリとした。


「何ですか?そのシードラゴン島とか?海竜様とか?」

眉間にシワが寄るのを感じる。


「海竜伝説と言うのがありますの。ご存知かしら?」

「いいえ?」

メルヴィン様は手を組んで息を吐き出す。


「私はマナカ国近くの海岸沿いの領での生まれなんです。」

「はい。」

「マナカ国と砂漠の国の沖に俗に瑠璃の島と呼ばれる島がある事は聞いたことがあったのです。

正式名称はシードラゴン島。そこには小さな王国があって、守護神は海竜様なのだと。」

「そうなのですか。」

「ええ。御伽話みたいなものだと思っていました。

この世界には、いくつか神獣がいて、それぞれ空、大地、海を守っていると。」

「……。」


私だって以前は御伽話だと思っていた。

……メリイさんを守護するドラゴンが現れるまでは。


「ご存知よね?火龍ファイアードラゴンの龍太郎様のことは。」

メルヴィン様が気まずそうに私をチラリと見る。

「…ええ。」


私達兄弟は。いや、私は彼の怒りを買っているのだから。


「それから、ブルーウォーター公国は白狐様が守ってらっしゃる。

ウチの妹はその結界に弾き飛ばされたわ。」


メルヴィン様が力無く笑う。

「白狐様はグランディの宮殿で不届き者を焼き払われたことがあるの。

それは私もこの目で見たわ。他所の国の暗殺者だった侍女は目の前で消滅した。

本当に…凄まじいお力をお持ちで、エドワード様を慕っておられる。」

「元第一騎士団のエドワード様ですね。ケイジ兄が大変お世話になりました。」

「ええ、あの方は立派な御方。」


エドワード様がブルーウォーター公国にいるから、白狐様もそちらにいるのだと言う。

神獣様達はお気に入りの人間に優しい。


逆に言うとその他の人間はどうでも良いと思っているフシがある。


そしてメルヴィン様は続けた。

「空を駆ける龍太郎様。大地を走り抜ける白狐様。

その二大神獣は存在した。

それならやはり海竜様もいてもおかしくないわ。」

「伝説の通りにですか。そして瑠璃の島、シードラゴン島を守っていると。」


「ええ、そうするとそのシードラゴン国の王子様は海竜の加護を受けていると思われるわ。

……髪も目も青空のように真っ青なのですって。

遠く神獣の血を引いている、と本人は語っているそうよ。」


神獣の子孫?


そんな事がありえるのだろうか。


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― 新着の感想 ―
ブルーウォーターではあんなこと言って、と一笑に付されることが、グランディでは半信半疑の信のほうに傾きがちなんでしょうか。 実際に神獣と対話した経験でもなければ、そうなのかと思ってしまう。 そりゃ、口が…
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