妹。
「そうでしたわ。貴女はララと同級生でしたわね。」
「ええ。」
メルヴィン様の妹さんのララさんはクラスメイトだった。
綺麗な子だった。あまり彼女達は似てはいないけれど。
私や兄達のように。
(だからメルヴィン様は私達兄妹が似てる似てないに敏感なのね。)
「いつも優秀なお姉さまを自慢してらっしゃいましたわ。」
これは本当の事だ。
だけど、
「姉は私程美しくないから仕事に燃えてるの。ウフフ。そして私の学費を出してくれるのよ。」
と言う言葉が付いてくる。
同じように学費を城勤めの兄から出して貰ってる身としてはなんだかな、と思っていた。
彼女は、ララさんは本当に器量自慢で。私に対抗意識を持っていた。私はルートを選んだが、彼女はもっと高い地位の令息達に声をかけていた様な気がする。
あまり関わりたくなかったから良く覚えてはいないけれど。
「貴女はいつもそう言ってくれたわね。」
「本当の事ですもの。」
本人には良いウワサしか届けないのが私の方針だ。
逆に、
「○○さんが貴女のこと悪く言ってたわよ。」
とご注進してくる人は多いけれど、それは鵜呑みにしてはならない。
告げ口した人の捏造の場合がある。
それよりも。
「○○さんが貴女の事を褒めていました。」
と言う方が円滑な人間関係に役立つ。
言われた方は言った方、伝えた方両方に好意を持つのだ。
そうやって私は生きて来た。
「……貴女は占いもなさるのよね?」
深くため息をついて私を見るメルヴィン様。
ほらきた。やはり悩みは妹絡みか。
金の無心に困りはてたか。妹に見下されていた事に気がついたか。
「ええ。」
「……貴女の事が気になっていて会いたかったのも本当なの。でも、占って欲しかった気持ちもあって、ラージイ様に貴女との面会をお願いしたの。」
「宜しいですよ。本当はホテルが改装してからの再開でしたけど、ご恩があるメルヴィン様の為でしたら。」
そして、チラリとラージイ兄を見る。
「そうだね、ロージイ。私の顔を立ててくれるか。」
「もちろんですわ。お兄様。」
阿吽の呼吸である。これで彼女はますますラージイ兄に心酔するだろう。
「感謝致しますわ…ラージイ様。」
「では、準備がありますから。少々お待ちください。」
立ち上がり自室に帰る。そして占い師の衣装を取りだし着替えた。気持ちが引き締まる。
水晶玉とカードを用意して、キツめのメイクをしたら紅の魔女、ロージイの完成だ。
「おっ、久しぶりの姐さんのお姿。やはり決まってやんすねえ。」
「世界一の美魔女でがんす。」
「ほほほ。二人ともありがとう。」
そしてメルヴィン様の前に座る。
「ま、まあ。見違えたわ。なんと美しく神秘的な魔女様なのかしら。」
彼女の顔が赤くなった。
「私は占い師のロージイです。さあ、何を占って欲しいのでしょうか。貴女のお悩みは何ですか。
私に話して見て下さいませ。」
さあ、カウンセリングの始まりだ。




