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ロージイの話。〜ずっとあなたが好きでした。だけど卒業式の日にお別れですか。のスピンオフ。  作者: 雷鳥文庫


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15/50

これから。

 それから、何回かサードさんが来られた。


業務の打ち合わせらしい。

連れて来られたベテランの女性社員達と、ウチの女性事務員のブランとの話が弾んでいる。

私はその度に書類を頼まれて用意し、おばさま方に説明をしているのだ。


サリーさんがお茶出しをすると、サード様の顔が明るくなる。


「やあ、サリーさん。

あれからメリイを通じて打診してみたんですが、龍太郎君は快諾しましたよ。

私が連れてくる女性に会いたいとね。」


「本当ですか!」

「ええ、今度都合を合わせて行きましょうか。」

話が弾んでいる。お邪魔してはいけない。

おばさま方と目配せしてそっと離れた。




「あんな恐ろしいドラゴンに会いたいとよく言えるものだ。ルートを問答無用で消したんだぞ。」

ケイジ兄は小さい声で言ってため息を吐く。


「ラージイ兄さんから話を聞いてるわ。」

「実は俺もいたんだよ、遅れて駆けつけた。中庭で騒ぎが起こってるのを知ったけど、出て行くタイミングを失って上の階の廊下から眺めていた。」

ケイジ兄の手は小刻みに震えている。


「確かに神獣様はお気に入りに優しい。特にメリイさんは彼の永遠の恋人だ。

サード様はメリイさんの兄上だ。お味方なんだろうよ。」

そこで、私を見る。

「つまり、彼女にひどい事をしたおまえは永遠の敵なんだ。」


背中に冷たいものが走る。


「あの時、アラン様やアンディ様もいて、神獣がする事には誰も文句が言えないし、止められないと言っていた。

グランディは彼等の縄張りみたいなものだ。

ギガント戦ではグランディを守ってくださったろう?

……

だから、いつ神獣がここに来ておまえや親族の俺を焼いても誰も文句は言えないって事なんだよ。」


「でも、サリー様は大丈夫なんでしょ?」

そんな危険なものに会おうとしているのか。


「ああ、サード様が口を聞いて下さるんだからな。

……おまえやっぱり優しいな。サリー様の身を気遣うのか。」

「だって、私を助けて下さったの。必要だと言ってくれたのよ。」

「そうか。」

兄はポツリと言う。


「ロージイ。もうすぐダイシ商会の建物も完成して従業員の寮も出来るだろう。そしたら、きっとダン様達もそちらに住むだろう。

……おまえはここに残れ。」

「兄さん。」

「そして、ダイシ商会も辞めて俺とホテルをやろう。」


「 ! 」


「もうすぐ毒姫の事も落ち着くだろうし、そしたら彼等はあちらに、マナカ国に帰るかもしれない。」

「占い師の仕事は?」

「ここでやれば良いじゃないか。グッズの権利はある程度あちらに譲るしかないだろうなあ。

お世話になったし。」


「ケイジ兄さん。そんな。」


兄の顔は強張っていた。

「サード様との繋がりがダイシ商会には出来た。コレからどうなるかわからん。

先の先を読め、ロージイ。」


「どう言うことなの?」


ケイジ兄は椅子に深く座った。

「まず、可能性は低いがディックが帰って来て、サリー様の婿になることを了解した場合。

おまえば邪魔者だな。少なくともダン様はそう思う。

サリー様はおっとりしてるから気がつかないかもしれないけどな。

ダン様が娘可愛でおまえを追い出す恐れがある。

万が一にでも婿と間違いを起こされたらいけないからな。」


「そんな!」


頭に血がのぼる。


それは私も考えた。サリー様とアイツが結婚したらどうなるか、とは。

でもその時はジャック、いや、ディックに追い出されると思っていた。


でもまさかダン様に不貞を疑われる存在になるとは。

なんだか哀しくなる。


「お、兄さんの思い込みかも知れないじゃない。ダン様はそんな。」


「ロージイ。冷静になればわかることだ。

色々言ったけど、それはまあ、多分ない。

きっと、ディックはブルーウォーターから帰ってこないからな。

……荷物を取りにとか、挨拶くらいには来るかもしれないが。

サリー様がブルーウォーターに行きたがるのは、龍太郎様のことばかりではなくて、ディックに会いたいからだろうね。」


私の顔も強張っていたと思う。



「後、もう一つの未来だが。ロージイ、本当は薄々気がついているんだろう?

ダン様がサード様とサリー様の縁談を望んでいることに。」


兄の言葉は容赦なかった。


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― 新着の感想 ―
確かに、このままではロージィはちゅうぶらりん。 さすがお兄ちゃん、前だってロージィを思ってくれてましたしね。 ダンさんだって人の親だし商人だし・・・ ちょっとばかりサードさんの良識を疑ってしまいます。…
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