第23話 経済の大地震
バベル・エデンのコロンブス共和国現地企業が大企業として認められた時、複数の戦略が始動していた。
コロンブス共和国のオフィスでの会話
「コロンブス共和国首都圏から拡大派を完全に排除します」
リアム副官がホログラム画面を操作しながら説明した。
「保守派の有力議員協力の元メディアシティの建設を開始、コロンブス共和国に一定の発信力を持つメディアを手に入れる事が出来ます。」
バベル・エデンの人気を使った拡大派の追い落としがとどめになり、わずか数ヶ月で拡大派企業は撤退した。
「オーナー、今回の首都圏撤退を理由に拡大派の掌握が完了したそうです。」
『ヌーベル・フィレンツェ重工』CEOハモンド・O・ジャズと宇宙貿易企業『プレスター・ジョンプラン』のCEOエンリケ・P・マデイラ、以前取り引きしたメンバーだ。
彼等を中心に各企業を統合整理し拡大派を統一、アメリゴ連邦とコロンブス共和国周辺セクターに活動の本拠地を移していた。
「『ステラリス・エデン』の株式上場が認可されました」
「市場の反応は予想を上回っています、株式の追加発行を発表しても株価の上昇は止まりません」
ステラリス・エデンの株価は公開初日から急騰し、コロンブス共和国内の個人投資家から法人まで、あらゆる層が株式取得に殺到した。
「コロンブス共和国のメディアシティを動かせ、経済を過熱させろ」
現地バベル系企業群は次々上場し、送られてくる報告はコロンブス共和国での資金調達が順調に進む事を示していた。
一兆4千億クレジット、価値にして小型コロニー1つ分、充実した宇宙艦隊1個艦隊に匹敵する資金を手に入れた時点で次の作戦が実行される。
「先物取引に企業株、売り出されている土地にも注目しろ、各ルートより一斉購入」
莫大な資産がアメリゴ連邦に流れた、本来の歴史であれば、首都を失ったコロンブス共和国の資金がアメリゴ連邦に流れバブルが起きる。
だが今回は、バベル・エデンが市場を動かした。
「拡大派も今回のバブルに噛ませろ、保守派内での対立を促す為にも大企業にも通達しろ」
アメリゴ連邦の金融街。
高層ビルの谷間で、新たな経済現象が始まっていた。バベル系ファンドから拡大派大企業、保守派大企業の一部からほぼ同時にの大規模投資が投下
不動産・宇宙開発・防衛産業に流れ込み、株価は右肩上がりの上昇を続けていた。
「バベル・エデンの投資で、アメリゴの軍需株が6ヶ月で40%上昇しました」
リアムがレポートする。
「連邦政府も軍拡予算を拡大を発表し、好景気に拍車をかけています」
オーナーは宇宙船の窓からアメリゴ連邦首都の夜景を眺めながら言った。
「一度動き出した流れは止まらない、生産業が経済の過熱に追いつけなくなるのは時間の問題、土地だ土地を転がせ。」
「今なら乗るはずだ、政府にコロニーを買わせろ、戦艦や駆逐艦の大型を発注させろ。」
「経営者一族が保有株を売り始めたな、現地職員を派遣して直接買いに行かせろ」
嗅覚の鋭いバベル・エデンの職員と、現地で子会社化した貪欲な投資ファウンドが丸々太ったアメリゴ連邦経済に喰らいつく
誰もが目の前のご馳走にありつこうと、資金という名のフォークとナイフを持参した
経済の過熱を抑えるはずの官僚は政治家と軍の突き上げで動けず、官僚自身も大きな経済の流れと人類種の統一国家と言う自負から動こうとすらしなかった




