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第18話 バグワームの残骸

バベル移動要塞のある夕暮れの星セクターに隣接するバグワーム領域――

赤色遠征軍セクターと呼ばれる無数の小惑星が漂う暗黒の宙域を、バベル・エデン哨戒艦隊が静かに進んでいた。


最前線、旗艦ヘラクレス級駆逐艦《星風》は、4隻のケルベロス級哨戒艦と菱形編隊を組み、宇宙の闇を切り裂くように航行している。


「第3警戒区域、異常なし」


ブリッジで魚尾種のオペレーターが淡々と報告した。

人翼種の女性艦長は艦長席で静かに頷く。翼は微かに震えていたが、声は落ち着いていた。


その時、センサーアラームが鋭く鳴り響く。


「警報、未確認小型艦船群接近、距離400TL!」


オペレーターの声が一段高くなる。

ブリッジの空気が一瞬で引き締まった。


「数は?」


「……最低でも12、続々と増加中。推定20隻以上。エネルギー反応補足、対象バグワーム小型艦!」


「全艦、戦闘配置。駆逐艦を前衛、中型艦は後方で撃ち漏らしに対処!」


艦長の号令が響く。《星風》の艦体が静かに加速し、ケルベロス級も即座に陣形を再調整する。


「防衛ステーションに警報送信、要塞本部にも即時通報!」


「了解、通信回線確保!」


「敵艦、加速中。突撃パターン!」


「距離350TL、全砲門、射撃準備!」


ブリッジの照明が赤に切り替わる。

各種族のクルーたちが持ち場に散り、緊張の面持ちで計器を操作する。


「プラズマタレット命中、バグワーム小型艦、原型を保ったまま機能停止!」


「回収班、残骸を補足。スクラップ回収船に連絡!」


「小惑星の影からさらにバグワーム接近!」


「数が多い、進路をY軸10時方向に。敵群集を引き離し距離を取れ!」


人翼種の艦長が冷静に指示を下すと、ケルベロス級哨戒艦が素早く編隊を再構築し、《星風》の後方に散開した。


「敵小型艦、残数14隻」


魚尾種のオペレーターが報告する。


「数は少ない、落ち着いて処理しろ。撃ち漏らしは各自で対処」


数分後、最後のバグワーム小型艦がプラズマ砲で撃破された。


「戦闘終了。損害なし。回収班、準備完了」


間もなく、バベル・エデンのスクラップ回収用大型貨物船アストロ・リサイクラーが戦場に到着した。


巨大なアームが静かに伸び、バグワームの黒い円柱形の残骸を掴む。

船体ごと圧縮機に送り込まれると、ギシギシと音を立てて四角いスクラップブロックへと変形されていく。


「圧縮完了、資源コンテナに格納します」


魚尾種の回収班員が報告する。


圧縮されたバグワームの残骸は、特殊合金や高密度セラミック、希少鉱物の塊として再資源化される。

バベル・エデンの工場では、この資源が新たな船体部品や工業パーツへと生まれ変わるのだ。


「まるで宇宙の掃除屋だな……」


人間種の若い整備士が、モニター越しに呟いた。


「設備があればあれも資源だ、バグワームとの戦いは続く、息切れしない様に戦い続けなくてはな」


人翼種の艦長が静かに答えた。


バグワームの脅威は続く。だが、バベル・エデンの人々は、その残骸すらも資源として未来へと変えていくのだった。

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