第7話 紐付きコロンブス商人
バベル・エデン中央ドック、そこには貨物搬入口などの外縁部の外縁部の様な賑わいは無い。
「紐付きでしょうか?」
「今調べさせている」
「情報班から報告です。スターライン・トランスポートのロバート、やはり紐付きです。金の流れと通信記録が不自然でした。」
「予定通り、ゲルラッハ副官に進行を報告しろ。」
「了解。」
年季の入った作業服に、擦り切れた端末ケース、バベルの白を基調とした清潔なドックに場違いな作業服姿の男が降り立つ。
「スターライン・トランスポート」社のロバート、彼の背後には、コロンブス共和国の企業や政治家の影がちらついていた――。
「スターライン・トランスポート社様でしょうか?」
バベルの職員が声をかけると、男はハッとしたように頭を下げ、名刺を差し出した。
「……あ、はいそうでっせ。ロバートと申します。貴方はバベル・エデンのご担当様で?」
名刺にはコロンブス共和国の中小輸送会社「スターライン・トランスポート」の個人事業主としてロバートの名前が書かれている。
「はい、ロバート様ですね。お話は伺っております。どうぞ、こちらへ」
案内される途中、ロバートは周囲の異種族クルーたちに目を丸くする。
「うわ……ほんまに異種族の人が……失礼しました」
「構いませんよ。リアム副官、お連れしました」
「初めまして、バベル・エデン宙間企業所有者、総司令官オーナー・Y・メッセンジャー、よろしくお願いします。」
「同じく副官、軍務執行官リアム・G・フィアナです、本日は補佐を勤めさせていただきます。」
「本日はお時間をいただき、誠にありがとうございます。弊社のような小さな会社が、直接バベル・エデン様とお取引のご相談など、僭越とは存じますが……」
ロバートは恐縮しきりで頭を下げ、手元の端末で資料を開いた。
「コロンブス共和国の物流需要に合わせてバベル・エデンが以前に買い集めた貨物船群を購入したいと、ええわかりましたリストを用意させましょう、船型や納期、予算などをお教え願いますか?」
オーナーは柔らかく微笑み、あえて相手の話をよく聞いた上で話始めた。
「本当に、ありがとうございます……!」
取引の成立、ロバートの表情には、安堵と驚きが入り混じっていた。
「いえいえ、バベルの造船所が稼働し始めたので中古船を手放したいと考えていたところです」
「……造船所、ですか」
ロバートは一瞬、目を見開いた。だが、すぐに平静を装う。
オーナーは心の中でニヤリと笑う。「食いついた」
造船所と言う言葉を無視はできないが困惑の方が大きいと言った所か、だけどこいつがボディカメラを起動させているのは分かっている、この場で聞き逃しても後から確認させればいい。
「しかし取引成立後に言うのも難ですが貨物区画を空で航行するのは機会的損失でしょう。今アメリゴ連邦で造船需要が伸びていると言うのは我々の耳にも届いております。」
高騰を知ってて中古船を手放したと伝えつつ次の言葉を伝える。
「どうでしょう船体部品を貨物船に積んでいっては?」
「……えっ、用意出来るんですか?」
「ええ自社消費量を考えてもこの位の量を販売できます。」
量の多さに困惑するロバート、自分の扱える量をはるかに超える量にオーナーの意図を読み取ろうとその顔を見る。
「新造の貨物船一覧もお渡ししましょう、ロバート様、そう驚かないでください、貴方の人脈に期待してこちらのリストを用意したのです、是非有意義に活用してください。」




