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第5話 安全化と船舶需要

「宇宙船の需要増加と価格高騰、バグワーム間引き作戦『クレンジング・ランス』で宇宙の安全が確保されたからな、船体部品の価格はうなぎ登り、コロンブス共和国から受注ために使者が来ると……」


文章をなぞる。艦船の在庫があると見ての取引の申し出と推測


「転移後に貨物船と採掘船をタダ同然の価格で大量に買ったからな、それで興味をひいたのだろうが……、バベルの規模に度肝を抜かすだろうな。」


データパッドを指で滑らせながら、俺は思わず口元を緩めた。昔から新聞や読書が好きで文字を読む事に苦は無かった。


パラドゲー(パラドックス系戦略ゲーム)に熱中した経験もあり、数字の変動や資源の流れを読み解くのは大好物。


「報告書か、これを読むのは正直楽しいが……」


ページをめくるたび、各部門の努力や工夫が行間から伝わってくる。


新たに契約した貨物船のリスト、採掘船の稼働率、補給線の最適化、どれも現場の知恵と汗の結晶だ。


「読めるからこそ、皆の努力の痕跡が読みとれる――」


ふと、窓の外に目をやる。バベルのドックでは、夜通し作業が続いている。

誰もが不安を抱えながらも、手を動かし、役割を果たしているのだ。


「働いてる間は余計なことを考えなくて良いからな……皆、不安なのかな?」


小さくつぶやきながら、コーヒーにミルクを注ぐ。カップから立ち上る湯気が、静かな執務室に溶けていった。


数字の裏にある人間の想いを思いながら、俺はもう一度報告書に目を落とした。


「オーナー、コロンブス共和国との会談があります。」


部屋の入口で待機していた秘書が、定刻を告げるように声をかけた。


彼女の手にはコロンブス共和国の紋章が入った公式書類データが握られている。


「報告は読んだ、艦船の在庫目的のコロンブス共和国との会談、そこにバベル・エデンが造船業を開始した事実を突きつけ、建造契約を結ぶ事で莫大な収入を得るそうだな?」


オーナーは窓から離れ、中央の会議テーブルへと歩みを進めた。


テーブル上のホログラムには、既に交渉予定の貨物船のモデルが立体表示されている。


「はい、詳しい話はメネリク社長が纏めてます、内容的に先方は貨物船の購入を求めている様ですね。」


リアム副官はデータパッドを操作しながら説明した。ホログラムの貨物船モデルが拡大し、その内部構造が表示される。


「ああコロンブス共和国に関する事前ミーティングには俺も参加したい、直ぐに準備をする。」


俺は、制服の襟を整えた。


彼女の表情には、単なるビジネスの話以上の何かが読み取れる。


大丈夫、皆んなもそうなら俺も頑張れる。

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