第3話 物資搬入
獣人種の女の子に捕まった、後から魚尾種の年配の男性が申し訳なさそうな顔をする。
「あー、後の方は商務部長さんだね、俺は大丈夫だから話があるなら会議に行こうか?」
「エネルギーセルのブランディングデザインの件?」
「本気で付加価値をつけるならテレビ局を借り繰り返し広報を打つべきです。消耗品は政治活動の街宣車洗脳と同じ繰り返しが重要、会社にいいイメージを持ってもらうとかそう言うカッコつけのブランディングは高級品だけです。」
「あーブランド化デザインの発注依頼だけがそっちの部署に回って、言い出しっぺの俺を捕まえたって事かな?」
大手電器メーカーサラリーマンのクリスマスツリーのやり直しを思い出す。
「悪いが今回は意味の無い印刷だけで大丈夫なんだ。」
エネルギーセルの生産量を増やす研究の末に、高性能で生産しやすくなったのがバベルのエネルギーセルだ。
「バベルの技術を隠すために、コストをかけて高性能エネルギーセルを作ってますアピールをするためのもの、売る時の値段を変える必要は無い、むしろ苦労して作った物を普通のエネルギーセルと同じ値で売ることで恩を売ってるんだ。」
そこでふと思う。国際通貨としても使われるエネルギーセル、それに対し消耗品と言うイメージは無かった、むしろバベル戦役の小説で買いだめや先物取引で値段が上がった事から、ウクライナ戦争とかで値上がりする金みたいだなと……
「エネルギーセルは消耗品じゃない、通貨だ、共通通貨の無いこの時代なら特に、価格の変動は望まない」
おや?がっかりした表情がアイディアを思いついたような表情に変わっている。
「エネルギーセルの広告ではなくエネルギーセルと言う広告媒体を使った宣伝!!」
「そう言えば生産時の調整で発光の色を変えれると聞いたことがある気がするな。」
確かエンジニアが飲んでる所に酒を渡しに行った時に、エネルギーセル生産革命の話しと、雑学として色を変えれる様になったと聞いた。
技術の秘匿のための工夫だが、この工夫で何か出来ないだろうか?
「どうだろう、古代の王様は通貨に自身の顔を掘ったと言う、デザインしだいではバベル・エデンの売名に使えるかもしれない。」
「!!」
「バベル・エデンの品物に共通するデザインやロゴと言うのも……、戦略センターの広報プロジェクトから予算を引っ張ろう、バベル商品のデザイン統一やってみてくれないか?」
「はい喜んで!!」
「もう行ってしまったよ、元気なもんだね。」
はははそうですなと乾いた笑いをこぼす。
「さて商務部長せっかく出し困ってる事などあれば教えて欲しい。」
「そうですね、ササーン神聖帝国の件で少し問題が。」
今バベルはバグワーム領域とつながるゲートウェイの近くにある。
このバグワーム領域を3セクターほと抜けるとササーン神聖帝国と言う魚尾種の宗教国家に繋がると分かった、バグワームの間引きが済んだ今、一部の高速艦船なら行き来は難しくないため密輸まがいの事で利益を得ているのだ。
「バイト人員が集まらないです。輸送も梱包も機械で出来ますが、バベルやアメリゴ連邦の痕跡を消すのは人間が効率的です。しかし単純作業のためやりたがる人は少ない。」
「ふむ、梱包資材事態を変えるのはどうだ?さっきのバベル商品のデザイン統一に合わせて無印梱包デザイン予算は出そう。」
「ありがとうございます部署で色々動いてみます。これを機会に各部署に梱包積載プロトコルの統一を働きかけて見ます」
商務部長は頭を下げるとバイオ燃料への加工や食料品加工も効率化出来そうと呟きながら去っていった。
「俺は視察に戻るよ、ササーン神聖帝国の事で思う事があるかもしれないが無理はしないように。」
貨物船の改装、物資の積み込みとクレンジング・ランス(バグズの間引き)作戦で使用した艦船の整備と補給、安全確保と利益の追求、どちらも順調に進んでいる。