第16話 アメリゴ連邦軍事・外交評議会議事録
機密区分:最高機密
作成:第七艦隊情報分析部
配布先:連邦軍高官、アワイコロニー行政評議会、連邦外交評議会
バベル・エデン宙間企業評価報告書
状況概要
夕暮れの星セクターゲートウェイ事案に際し「バベル・エデン宙間企業」と称する武装コロニーが出現、我がアメリゴ連邦およびコロンブス共和国合同軍を攻撃中のバグズ艦隊を迎撃。
同組織は自称「商業企業」であり、現在アワイコロニーとの通商条約を締結した。
組織評価
1. 出自と性質
宇宙嵐により「転移現象」に巻き込まれた被災組織と判断
ゲートウェイ付近に突如出現した経緯は、我々の戦艦「アポロノス」の自爆とゲートウェイ破壊に関連する可能性
重要: 彼らは敵対的侵略者ではなく、災害に巻き込まれた被害者組織と認識すべき
2. 多種族共存体制
人類種、獣人種、竜人種、魚尾種、人翼種の五種族が共存
種族間の軋轢なく統合された指揮系統を持つ
人口約6万人の大規模コロニー
3. 軍事力評価
大型武装要塞「バベル」を保有
弩級戦艦3隻、大型駆逐艦5隻を確認
ただしタレットによる攻撃のみであったため戦力評価は一段低め
また、発展した魚雷の様な物や崩壊した質量弾の様な物を使用、独自の技術を発展させてると思われる
バグズ艦隊を効率的に排除する高度な火力と戦術能力
艦船修理・整備能力は我々の水準を上回る、それが経験による練度か、技術的な物かは不明
4. 経済基盤
独自通貨「アモンクレジット」を発行
採掘権と工場建設権をアワイコロニーから取得
技術水準が高く、特に工業・農業技術が発達
影響評価
1. アワイコロニーへの影響
マービン・サリエリ議長(サリエリ少佐の父)の報告によれば、バベルとの交易がコロニー経済を活性化
農業機械の供給により食糧生産が回復
バグズ襲撃による「アメリゴ連邦およびコロンブス共和国合同軍壊滅」と「アワイコロニーの虐殺」という最悪の事態を回避
2. 安全保障上の位置づけ
ゲートウェイ近傍という戦略的位置に存在
バグズ防衛の前線として機能
重要: 彼らとの友好関係維持は我々の安全保障上の利益に合致
3. 政治的影響
単純に豊かになったアワイコロニーにて、その状況を作り出したマービン・サリエリ議長とその息子サリエリ少佐に対する支持はあつく、次回のコロニー議長当選は確実と思われる
軍内部で、安価で整備出来る企業を発見した事からサリエリ少佐の評価が上がっている、アワイコロニーが軍に影響力を持つ可能性も、軍がアワイコロニーに影響力を持つ可能性もあるが、バグズ戦役の最前線の為、本国に及ぼす影響は少なく、官民一体となってバグワームに対抗していると、プロパガンダ作成の役に立つだろう
多種族共存モデルとして各国の少数派に影響を与える可能性もあり、宣伝方法によっては他国に社会不安を起こせる可能性
対応方針
短期対応(即時〜1ヵ月)
友好関係の構築・維持を最優先
損傷艦船の修理契約を継続
アワイコロニーとの通商関係を支援
中期対応(1〜6ヵ月)
技術協力協定の締結を検討
バグズ防衛における共同作戦の可能性を模索
諜報活動を控え信頼構築を優先、五種族共存状態に慣れた諜報員の用意が困難であると付け加える
長期対応(6ヵ月〜)
「バベル・エデン宙間企業」をアメリゴ連邦の影響圏内に留めるための外交努力
彼等の独自技術の調査と外交的な技術的転位
五種族共存モデルから学べる社会統合手法の研究と応用の可能性
マービン・サリエリ議長を通じた非公式チャネルの維持・強化
・軍事的協力の展望案としての上申
情報共有体制の構築提案
バグズに対する共同防衛訓練の検討
・軍の会計に財務面での調査依頼を求める
バベルとの取引による軍事予算への影響分析
修理コスト削減効果の定量的予測
長期的な経済効果予測
結論
ダグラス大佐の評価によれば、バベル・エデンは「長い年月をかけて築かれた共同体」であり、単なる海賊組織ではなく、独自の文化と経済圏を持つ組織と判断される。彼らの存在はバグズの脅威に対する新たな防衛線となり、アワイコロニーの経済再生に寄与している。
サリエリ少佐の初期交渉は適切であり、マービン・サリエリ議長のアワイコロニー行政評議会との連携も功を奏している。現時点では、彼らを敵視するのではなく、「宇宙嵐によって被害を受けた未知の組織」として友好的に接し、協力関係を深めることが我々の利益に適う。
署名:ダグラス・フロウ少将
日付:宇宙暦■■■




