バグワーム襲来
「緊急事態発生! 夕暮れの星セクターのゲートウェイに大規模な転送反応あり、これは――!? バグズL級の動力反応!! それもM、S随伴艦含む大艦隊です。ビートルやドラゴンフライの小型中型相当の随伴機多数、バグワームの大規模襲撃です!」
艦内アラームの警報音が鳴り響き、俺はその音に叩き起こされた。
「――何だよ、うるせぇな……」
目を覚ますと、見慣れたゲームの拠点施設――のはずだった。
ああ、ゲームにダイブしたままログアウトし忘れたのかと納得しようとして違和感。
この寝台も壁の端末も何処か汚い、汚れがある。
「違う生活感があるんだ。」
ウィン、扉が開き綺麗な人が入ってくる。
「オーナー、指示を!」
目の前に立つのは、副官のリアム。ゲームの中では無感情なNPCだったはずの彼女が、今は人間さながらの険しい表情で俺を見つめている。
反射的に、考える間もなく指示を出す。
「各自迎撃開始! 艦隊は第一種戦闘配備、出撃用意が出来次第報告しろ!」
了解しましたとその場を足早に去る彼女を見送り思わす尻もちをつく。
「何がどうなっている?」
ああバージョンアップか、ダウンロードでもしていたんだろう、襲撃イベントなら座っている場合じゃない。
俺はそう納得して戦闘指揮所へ向かう。
扉が開き、 戦闘態勢に入った要塞の映像 が目に飛び込んできた。
大型・中型含む無数のタレットが一斉に旋回し、バグワーム艦隊を補足。
ドゥーン、ドゥーン、ドゥーン!
タレット特有の発砲音と共に、蒼白い光弾が宇宙空間へと放たれた。
レーザー砲が蒼白い閃光を放ち、レールガンが超音速の実弾を撃ち込む。
「オーナー状況を報告します。」
俺はオペレーターの声に返答しつつ、端末を操作して指示を出そうとして手を止める。
オペレーターが口頭の指示に反応し、次々と戦闘指示が出されているのだ。
「NPCが……俺の声に反応している?」
考える暇もなく、 突然、重力を感じた。
戦闘指揮ユニットに足を踏み入れた瞬間、足元がずしりと重くなる。
顔面から床と挨拶した。
「……痛っ!!!」
現実の痛みがある。
ゲームじゃない!!
「オーナー、大丈夫ですか?」
「……問題ない、指揮を続行する。」
オペレーターたちがそれぞれの持ち場へと駆け込む。
無重力区間では技術要員がレバーを使い、壁沿いに滑るように移動していく。
「重力制御、戦闘モードに移行! 非戦闘区画は無重力エネルギーをシールドに回せ、戦闘指揮ユニットと砲術ユニットは標準重力を維持!」
「戦闘要員、急げ!」
私服のままで駆け込んできた整備士が、上官に怒鳴られていた。
「貴様、何をやっている! 戦闘配備時に私服とは何事か!!」
「す、すみません! すぐにスーツを……」
「すぐに着ろ! ここは戦場だぞ!」
一方、オペレーター席では、新たな異常が報告される。
「IFFシステムが異常あり! 味方識別ができません!」
「何だと!? バグワーム共の電子妨害か!?」
「違います! これは……識別コード自体がこのデータベースにないんです!」
ブックマークと評価、感想をお願いします。
誰かが見てくれてる事が励みになります。