第二十五話「終」
しばらくの沈黙—
「もう分かってるはずだ、って……。うん、そうだね、お父さんにはばればれだったみたいだね。」
アーリャは神妙なおもつきになって——
「うん。決めてる。実は、あの勇者の腰にたずさえてた大剣、電子カメラで隠し撮りしてたんだよね。そして……、」
ぺドスは声を高らかに叫んで——
《いい!!それ以上言わんでよろしいっ!》
………
しばらく二人はどちらとも口を開かなかった——
そして、ついにアーリャが口を開いた。
「決行は……、明日。」
《こんなに親子で何も口に出さないでも意思疎通出来る、と言うのはやはり血がつながっている証拠だな……》
———そして翌日———
新しい朝。全ての物事、事象が様変わりする前章のように空は落雷、雨が土砂降りだった。人は太古から、天気は神の定められた罰であり祝福である、と、なんとかそれに抗おうと、あらゆる儀式、因習を持ってそれに立ち向かってきた。これは、誰の記憶にも残る、一番最後の希望の炎が燃える瞬間を味わう事になる一日である。
アーリャは勇者達一向がいる、松の部屋へと向かっていた。
(これで全部終わるんだっ、終わるんだっ!)
———そして松の部屋———
「勇者さま!シグルド様!いらっしゃいますかあ〜」
アーリャは叫んだ。
すると松の部屋の美麗な勇者は寝惚けまなこでベッドの上でごそごそしていた。
「なんだ?行く気になったか?歓迎だぞっ、ははっ」
しかし、アーリャはそんなシグルドの様子など気にもかけずに、ある行動にでた——
「チェキ、天に届けぇぇ〜!」
「写真:05 “選ばれし者の剣・エクスカリバー”!!“装着”!!」
アーリャはシグルドの元へ直進していった——
しかし、寝起きのシグルドは呑気に——
「どうした、抱擁しようってか、旅に行くことに決めたんだな!良かっ……、ナッ!?」
シグルドはアーリャの召喚した自らの大剣によって、無警戒、丸腰なのをいいことに、心臓をアーリャにひとつきにされた。
「な、なんでだ?意味が……、わからん……、グハァ…」
「おじさん、あんた、やっぱ悪人だよ。あなたは邪魔をするものだけ殺すって言ってたけれど、それ、私のパパだから。」
「?」
「あんたが言ってた、倒さなければいけない悪の帝王、って写真家ぺドスのことでしょ?」
「全部分かってんだ。昨日、お父さんと交信して、お父さんの頭の中の情報がブワァ〜〜って頭の中に入ってきた。そして分かったんだ、お父さんが知ってはいけない全世界の禁忌とも言われる情報を知った、その中身をね。つまり、あなたは勇者ではない、あなたは悪の帝王。本当はお父さんが勇者で、あんたが悪の帝王。騙される手前で気づいて良かったよ。
あんたはそれを世界中の一般人に知られるのを恐れて、ぺドスが悪だと偽った。バレてんだよっ」
「クソッ、死にたくない」
「お仲間さんもあんたが死んだら旅もできない。オールクリアね。じゃあ、あちし、旅の目的、終えちゃったから、もう故郷のギャラン・テカ・シグマ共和国に帰るね、じゃ!」
———そして、アーリャはウォルシュワ灯台の写真を使って故郷に帰り、全世界に勇者シグルドの悪行も知れ渡り、冷凍保存されていたぺドスも無事蘇生し、アーリャの元へ帰ってきた。
「お父さん、私、一流の写真家になれるかなっ?」
「もうなっているじゃないか。」
——END——




