第二十二話「魔法の証明」
「うん、電子カメラ。この際、勇者さまたちには明け透けに言うけど、これ、母さんから渡されたんだけれど、ただのカメラじゃないの。撮ったチェキ(その場で現像される写真)を空に掲げると、その写真に写った被写体、能力が具現化するの。嘘みたいでしょ?」
勇者シグルドは一旦、物思いに耽った様子だったが、すぐに平常になり——
「今のこの時代、ニュースが写った“テレビジョン”にしろ、最新科学はもう、うちの魔法使い、ソラリスが使う魔法ともみまがう程、巧妙に複雑化してるのは理解出来る。しかし、撮った被写体を具現化?それはもはやオカルトの領域だぞ、それは……」
アーリャはジタバタして、
「あ〜、めんどくさいなあ〜、今、証明するのに一番手っ取り早い方法は〜っ、え〜と、そう、この『青紫色の鳥』の写真を使うね!ちょっとバーハーさん、そこの窓の扉開けてください!!」
バーハーは一瞬戸惑ったが、すぐに部屋の扉を開け放った。すると、アーリャが一目散に窓の前まで行き、青紫色の鳥の写真を天に掲げた——
(なんだっけ?天に届けぇ〜!!か……)
「チェキ、天に届けぇぇ〜!」
写真から機械音がする——
「写真:01 “バード”!!“変身”!!」
すると今となってはもう当たり前の光景ではあるが、アーリャの背中から青紫色の鳥の羽が飛び出した——
シグルドは目をカッと見開いた——
アーリャは一度助走をつけるため、窓から遠ざかって、そこから、シュタタタタ〜と、開け放たれた窓へ突進し、そのまま窓からジャンプした——
戦士バーハーは、
「この高さ、この旅館の最高階だぞ!!死ぬぞ!!」
と言った。
そしてその言葉通り、窓からの景色に、アーリャは見えない——
最悪の事態を配慮したバーハーは、
「おい、ソラリス!何でもいいから魔法使ってあの少女を救え!」
「わ、わかったわよ……」と、ソラリスがいい終わる前に——
「その必要はないよ〜〜」
と、アーリャの声がした——
バッサバッサと青紫色の翼で下降から上がって来て、窓越しにシグルド一向の眼前に現れた。まるでおとぎ話の魔法使いが魔法のホウキで低空から急浮上するかのように——
パチ、パチ、パチ、パチ……
「素晴らしい。エクセレントだ。美しいよ、その妖術。」
勇者シグルドはその金色の瞳を輝かせて拍手をし、賛辞を送った——
「分かった、分かったよ。そのカメラはただのカメラではないことがな。証明されたよ。」
「で、テレビジョンのニュースで三年前に亡くなっていたと言っていた、ぺドス・コッポラの件だが——」
アーリャはやっとか、と言った表情で窓から部屋の中まで舞い戻り、羽をしまいながら、
「このカメラね、たびたび、ぺドスお父さんと連絡が取れるの。でも、不定期だし、そっちからの一方通行で、こっちからは連絡取れないんだあ〜」
シグルドは眉間に一本だけしわを寄せて——
「死人と連絡か……。」
シグルドは頭を整理し終わったのか、
「今度も承知した。目の前で妖術を見せられたのだからな。ただでさえ、ウチにはとんでもなく物騒な荒魔法を使う魔法使いが一人いるからな。すぐ慣れるだろう。」
魔法使いソラリスは、
「誰のことよおぉ〜〜?」
と、皮肉げに言った。
「お前、俺たちと一緒に旅に出ないか?」




