第二十話「勇者シグルド一向」
「いい人かどうかはわからんが、カニ族を殺したくて殺したんじゃないってことだけはわかって欲しい。オレたちも心が傷んだんだ。本当さ。」
「そっか。じゃ、あちし、その勇者様に会いたい。もしかしたらイケメンかも知れないし……、へへ。」
「ははは、シグルド様がこども好きかどうかは知らんが、今から会いに行ってみるか?何ならお嬢ちゃんの分も松コースの宿泊料肩代わりしようか?美味しいもの食べたいだろ?イカ料理もいいが。」
アーリャは考えた——
(どうしよ?いいのかな?このバーハーって戦士の人めちゃくちゃいい人じゃん?よ〜し)
「お願いします!お金はあるけど、ご厚意に甘えて松コース、奢ってもらいます!!お願いします!!」
「よしきた!ついてきな。」
松竹梅の松を頂点とした、このピラミッド上の宿泊施設だが、頂点へはエレベーターでつながっているらしい。アーリャとバーハーは同じ移動装置に乗って——
「ねぇ、勇者様、ってかっこいい?ねえ!?」
バーハーは苦笑いして——
「どうだろうな、主観によるだろ、タイプっていうのか?そういうのは……ワハハ」
そして移動装置は頂点に達し、松コースの領域に達した——
「えええ〜〜、何コレェ〜〜、金ピカだああ〜」
アーリャとバーハーが到着した松コースの宿泊先はアーリャの予想以上に豪華絢爛であった。まず、壁、天井、床、全てが黄金でできており、目がくらむほど金ピカだった。そして、この時代の最先端技術である“テレビジョン”が部屋の奥のスクリーンに映し出されていた——読者の時代でいえば、テレビである——
「わあああ〜〜、テレビジョンだあ〜、すごいすごい!!」
バーハーはにっこりとして、
「そうだろォ?テレビジョンは今の世の中、滅多に見れるもんじゃないからな。」
「そして——」
バーハーはアーリャの視線を部屋の食卓に移動させて——
「これが我らが勇者様一向だ——」
そこには——
黄金の部屋の輝きに、光負けない、金の眼をして、王冠を被った、美男子の勇者シグルドと、魔法使いソラリス、僧侶カエルンバの姿があった——
「誰だ?そのがき?」美男の勇者シグルド。
口は悪いらしい——
「こどもォ〜?私嫌い」と魔法使いソラリス。
「こどもは天からの祝福なり、アーメン」こちらは僧侶のカエルンバだ。
「あちし、あちし、……、え〜と…」
アーリャは緊張でなかなか言葉が出なかった——




