第十九話「殺戮の真相」
「わたしの名前は勇者、シグルド様にお仕えする、戦士、バーハーと申す!腕っぷしなら誰にも負けん。」
「そうですか。あちしの名前はアーリャ。写真家目指してる。」
すると戦士バーハーは、
「写真家!いいねぇ、芸術家、アーチスト、ってわけだ。カッコいいねぇ、お嬢ちゃん、ヒューヒュー」
「茶化すのやめてください!それに、あちし、あなたがた勇者一向を心から軽蔑しています。カニカニ村の人々を殺戮するなんて……」
「おお〜っと、待って待って、お嬢ちゃん。確かに茶化したのは悪かったが、カニ族に関する問題はこっちにも言い分があるんだぜ?」
アーリャは疑いの眼差しで——
「え?」
「お嬢ちゃんはどうか知らないが、俺たちはあのカニカニ村のカニの入り口を見た時、一番に思いついたのが、この村ではカニが食えるんだ!という第一印象だ。お嬢ちゃんも案外そうだったんじゃないのかい?まあ、いいや。それからだが、うちの一向の魔法使いの女、ソラリスが、最初に会ったカニ族にこう言っちまったんだ。「カニ料理食べたいんだけど、あなた、おいしいカニ料理屋知らない?」って……」
「あちゃ〜〜」
(それは禁句でしょ。あちしも危なかったけど……)
「その瞬間、奴らカニ族は「敵だ〜!」って村のカニ族全員集めて、俺らを本気で殺しにかかってきた。そうさ、俺らも最初は奴ら、喋るカニ族を殺そうなんて一瞬たりとも考えてなかった!本当さ。しかも、奴ら、こちらが話し合おう、って防戦一方になりながら、交渉しているのに、一言も聞いちゃいない。そこで、うちの指揮系統全てをになう勇者、シグルド様が「こいつら、だめだ。殺そう。じゃなきゃ殺される。」と、苦渋の決断を下したワケよ。トップってのは時に残酷な決断を強いられる。しかも、全責任はシグルド様が取るって言うんだ。で、俺らがその後そいつらを食っちまった、てウワサも流れているらしいが、これは俺らを憎んだ、生き残りのカニ族がふいてるだけだ。俺らは襲ってくるカニを確かに殺したが、皆殺しにはしていないし、食ってもいない。保証する。その証拠に今日の夕飯はこの、ドメルワッカ民宿の松コースに泊まるまで食ってなかった。」
「じ、じゃあ、なんであんた、イカのお造りの存在知ってたのさ?」
「そりゃあ、村で見かけた唯一の食べ物屋の看板が目に入って店の中を見たからだよ。もちろん、そんな血生臭い争いがあった後に、そんなものを食べる気にもならず、見送ったがな……。店主はちびりながら、これでも食って、見逃してくれ、って懇願してた。まあ、悪いことしたな、とは思ったがな、そんな醜態晒させてしまって、な……」
アーリャはぼぉ〜として——
「おじちゃん、もしかしてイイひと?」




