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第十七話「アーリャの憂鬱」

「おお、湯気立ってる!あれがドメルワッカ民宿かな??」


 アーリャは今晩の宿となるであろう、そして悪名高き勇者一向の滞在しているとされる、ドメルワッカ民宿にたどり着いた——


 ドメルワッカ民宿は城のようなほったて小屋が何件も連なっていて、その一件一件に天然温泉の湯気の出口となる、煙突が立っていた。そして、その民宿、一件一件が頂点を目じるしにして、全体的に三角形の様相を呈していた——


「とりあえず、入ってみるか」


 すると、この民宿温泉全体を管理しているとされる、給仕?か何かの男が話しかけてきた。


「お嬢ちゃん、ここに一人で泊まるの?親御さんは?お金はあるの?」


 アーリャはカンカンになって——


「そんないっぺんに質問しないでよ、おじさん!一つ一つ答えるから!」


 給仕は呆気に取られて——


「ご、ごめんね、お嬢ちゃん。いっぺんに質問しちゃって……」


「ま、いいけど。」


「まず、あちしは一人で泊まる!で、お母さんはギャラン・テカ・シグマ共和国にいる。お父さんは、わかんない。そのうち会えるとは思うだけど……。お金はたんまりとお母さんから持たされてるから心配無い。以上!」


 給仕は微笑んで——


「ぎ、ギャラン・テカ・シグマ共和国!遠くから来たね〜、偉いよ。それで一人旅ってわけだ。わかったよ。今、この縦に伸びる、三角形のこの民宿一体の頂点の、松・竹・梅のコースの最上級の松コースの施設はシグルド勇者様一向が使用されている。と、言ってもそろそろ旅立つ、とも聞いてるけどね。で、お嬢ちゃんはどのくらいの予算の施設をお望みかな?相談に乗るよ?」


 (ここで、勇者たちを懲らしめにきた、なんて言ったらあちしの身も危ないな。ここは……)


「あ、あちしは一番安いコースでいいかなあ〜、へへ、へへへ……」


「わかったよ。平民コースだね。大丈夫、平民コースでも湯に浸かることはできるよ。ただ、夕飯が出ない。いやだよね?」


 まあ、一晩くらい食事が取れなくてもいいや、と思ったアーリャは——


「平民コースでいいです!あ、でもシグルド?だっけ?勇者様たちを一目でも拝みたいなあ〜なんて」


 給仕は大笑いして——


「平民コースでもいいの?変わってるねぇ〜、でも後から食事取りたくなったら、いつでもコース替えは可能だからね。あと、」


 アーリャは唾を飲み込んだ——


「シグルド様一向は、決して近寄りがたい連中じゃあないよ。どんな階層の宿泊民にも気軽に接してくれる。何なら今からでも会いに行けばどうだい?案内するよ?」


 アーリャは仰天した——


「えぇ!?そんな簡単に会えるの?……、でも、温泉と、食事の後でもいいですか?あちし、緊張しちゃって……。」


「もちろんオーケーだよ。ま、会いたかったら、いつでも僕を呼んで。ライトって言うんだ、僕の名前。君は?」


「アーリャ、アーリャ・コッポラ。」


 ライトは満面の笑みでアーリャを見つめて——


「アーリャ、か。そうか、アーリャ、君が大人になったら、さぞ美しい女性に変貌するんだろうね、今からたのしみだよっ」


 (ん?なんだ??)


 アーリャはなんともむずカユい、微妙な感覚を味わうのであった——


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