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第34話:マジック・オブ・ラブ04


「この世を駆ける星の動きよー!」


 星辰論ならぬ精神論で現実逃避する姉御は……まぁ姉御で。テストも終わり、授業にも身が入らず、冬休みの突入とクリパを楽しみに過ごす冬の頃。


「あー」


 僕は家のコタツで下半身を温めていた。やっぱり足が温かいと全体的に許せる。その意味で靴下やブーツにも経済的に負担をかけている僕でした。


「さすがにそろそろヤバいんだけど」


「分かってるよぅ」


 うっうっと惜涙を流しつつネームを切っている姉御のスケジュール過密ぶりはまぁ何時ものことなんだけど、付き合わされるこっちにも負担はあるわけで。年末の教師も忙しいのは分かるんだけど、毎度こうスケジュールでチキンレースをされても。


「宗教大戦マジバスターのカルナちゃん和姦本?」


「凌辱したいんだけど心が許さないのよー!」


 ああ。可愛かったもんね。マジバスターのカルナちゃん。それでもコミケでは多分色々とあられもない姿を晒すんだろうけど。売れる売れないもあるだろうけど、やっぱり加虐的性行為って市場になるくらい人気がある。


「てなわけで両牙くん!」


 はいはい。


 ビシィと某裁判ゲームのカットでこっちを指差す姉御。


「コスプレして! で、抱かれて!」


「捕まるぞ姉御」


 事案だ。


 後、男の僕が誰に抱かれろと?


 いやわかるよ? 抱かれることは物理的な可能性で言えば肯定はできるよ? ただ問題はそのケが僕にはないことで。


「そもそも相手を何処から見繕うの?」


 今居る場所は愛すべき両親が遺した我が家だ。保護者代わりに姉御が居座っている。で、其処に居るのは僕と姉御と。


「……………………」


「あの。私を見つめてどうしようと?」


「ペニバンとかあり?」


「セクハラよ。上名先生」


 えーと。つまり。僕の処女が真理に奪われる……と。


「……………………」


「その沈黙が怖いわ。両替機」


「ぐ。ちょっと惹かれる自分が嫌だ」


「そんな願望持たれる私も嫌なんだけど」


「ダメ? 墨州くん?」


「そもそも教師ってそこは掣肘する側では?」


「でも実際に見た方がテンション上がるし」


「だったら私がカルナちゃんの衣装を……」


「は! マジバスター真理ちゃんをマジでバスター出来るの!?」


「やっぱり止めときます」


「なんでぇ!」


 あぁんと泣きつく。


「ていうかあの衣装……体形は両替機に合わせてるから私じゃ着れないし」


「じゃあ両牙くんはカルナちゃんになって。ヤらなくて良いから」


「そもそも前提条件がおかしいってここはツッコむところかなぁ?」


「まぁ着れと仰るなら着ますけども」


 中略。


「ジャーン!」


 で、マジバスターカルナちゃんのコスプレをする僕。


「よく間に合わせたね」


「今回は別の作業と並行だからスケジュール的に余裕見たのよ。あと上名先生がこう言うだろう事は分かってたし」


 それも悲しいけどね。


「萌えー!」


 で、女装コスプレイヤーを見た姉御はまぁ大興奮。


「着衣姦で行きましょう! 両牙くん! 撮影させて!」


「いいけど流出させないでよ」


「セキュリティに関しては万全だから!」


 一応ソレなりのソフトは確かに入れてある。実は姉御はコンピュータに強い。実はって言うか、そもそもパソコンが恋人みたいな処はある。


「ていうかパソコンって一種の性奴隷だよね」


 画面に恥ずかしい姿を晒され、色々とこう……その……解消されるわけで。


「じゃあスカートを摘まんで引き上げて! 本当は断りたいけど大好きな人に求められて羞恥に耐えながらパンツを見せる表情!」


 実際問題僕もオカズにされかねない。


「こ、こう?」


「エクセレント!」


 スカートの裾をつまんで持ち上げてみせる。この上なく恥ずかしいことをしている自覚はあるけれど、こっちにもコスプレイヤーとしての意地もある。


「四つん這いになってコッチにお尻突き出して!」


 捕まるぞ姉御。


「あと真理も何故撮影してるの?」


「すっごくアレなんで……」


 ドレなんで? ミファソラ?


「やっぱり両替機って性別間違えてない?」


 こんな趣味の片棒担いでいる人に言われたくないんですけど。元々姉御が売り子に連れ出して、そこから真理が悪ノリしたのが始まりだ。


「でも今じゃ上名先生のサークル売り子でそこそこ人気在るし」


 うん、まぁ、そんな自分も好きだけど。


「でも本当に真理を好きだって感情の方が強いからね? それこそ男なんだから恋愛感情と性欲の釣り合いもかなり苦労してるし」


「えーと……してるの?」


「そもそも何でしてないと思ったの?」


「だって意外と誠実だし」


「そりゃま。真理には嫌われたくないから」


「公衆の面前では辱めるわよね」


「好きの感情だけをより抜きするのって疲れるのよ本当に」


 君が好きだと伝えたい。


「ふ、ふーん。そうなんだ……」


 なにその反応。


「でも両替機にはスミスさんが居るしね!」


「それはそうなんだけど……」


 そこでその事情を持ってこられると反論も難しい。


「でも……マリンが居ても……真理に傍に居て貰いたいのは本当だよ?」


「わかってる。私は両替機に恋できないし」


「ツンデレ発動?」


「まぁそう受け取られるのもしょうがないけどさ。本気で私は汚いのよ」


「気にしなくて良いのに……」


「両牙くん! そこでアヘ顔!」


 ええい。良いところで邪魔をするな姉御。あと健全な男子学生に何を求めている。


「無理」


「じゃあせめてイってる顔!」


 どうしろと。


「墨州くんに襲われて果てた顔でもいいよ?」


「それなら何とか」


「いいわけないでしょ」


 振るわれた三番アイアンが僕をヘッドショットする。


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