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スイソーガー~小坂県立福浦西高等学校吹奏楽部~  作者: 闇技苔薄
一年生編

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第60話 ナツキ様の大混乱

「ナーツキ、おはよ!」


「ブツブツ…」


「ナーツキー、おはよー」


「ブツブツ…」


「ナツキってばぁ!」


「はぅあっ!?…お、おはよう。カナ」


「どしたの?なんか考え事?」


「なんでもない!」


「なんか昨日の夜から変なのー」


私は昨日の出来事(第59話参照)がまだ現実に起きたことだと直視できていませんでした。

だって、だって、女子からは告白されたことあるのに男子からは一度も告白されたことの無いこの私が、この全く女っ気の無い私が、男子から告白されるなんて!

しかも、しかもその相手はあの藤原君。

あの女子から大人気(モテるというわけではなく、可愛がられている)の藤原君ときたもんだ!

これは夢か?幻か?

私はやっぱり藤原君にからかわれているんでしょうか?



以下昨晩の回想シーン。


「お、俺、唐川さんのことが好きです!付き合ってください!」


「…へ?」


「うん」


「へえええぇぇぇぇぇえぇぇええええぇぇぇぇ!!!???」


ここで私は一瞬思考停止しました。

目の前は真っ白、声は出ない、何も考えられない。

目をまん丸にして口をパクパクさせていると、


「…びっくりしてる?」


私は無言で口をパクパクさせながら頷く。


「そうだよね。そんな、よく話すような間柄ってわけでもなかったし。いきなりでびっくりさせてごめん。いきなり答えなんて出せないよね」


私は無言で口をパクパクさせながら頷く。

ちょっとヨダレ垂れた。


「お願いします、考えてみてください!返事、待ってるから。…じゃあ」


そういうと藤原君は顔を真っ赤にさせて小走りで去っていった。

部室の裏には私一人がポツン。


「…ふ、ふぉ、ふおぉぉおおおおっぉぉおぉおおお?????」


私はわけのわからない声にならない声を出して部室に戻り、荷物を持ち、カナやナツキ様ファンクラブも無視して一目散に家に帰っていきました。

ご飯を食べていても、お風呂に浸かっていても、布団に入っていても、ずっと藤原君のことを考えていました。

嫌いってことじゃないけど、そんな親しくもないし、正直友達未満だと思う。

ただの吹奏楽部の仲間としか思っていなかった。

それが、それが、それがああああああああああああああああああああああああああああああ!!!

私はいったい藤原君のこと、どう思っているんだろう。

わからない。

その日はなんか体が火照って、なかなか寝付けませんでした。

ずっと、藤原君のことばかり考えていました。



「なんか悩み事あるんなら言ってよね~、私たち夫婦でしょ~?」


「はぁ」


カナのボケも頭に入ってこない。

考えられることは「私は藤原君のことどう思っているんだろう」だけ。

それも正常に考えられるわけではなく、ずっと頭の中がグルグルしているような状態。


「まぁ人には相談できないこともあるだろうから、嫌なら聞かないけどさ。なにかできることあったら言ってよね」


「うん」


こういうとき空気読んで無理やり聞きだそうとしないのは、カナのいいところ。

そこは正直助かった。

うーん、しかしどうしたらいいだろう。

こういう恋愛相談って誰にしたらいいんだろうか。

私の周りには相談できるような彼氏持ちの友達いないしな。

もちろんカナもフリーだし、なんかなんとなく相談しづらい。

私なんかよりカナのほうが可愛いし、胸も大きいし…ちょっとうるさいし言葉は汚いけどさ。

うーーーん。

いや、一人いた。

私の身近で彼氏持ち。

それは…ミズホさん。

あの人なら、彼氏いるし、告白された経験もいっぱいあるだろうし!

でも部活引退して受験勉強してるだろうし、迷惑じゃないだろうか。

うーーーーーん。

私は悶々としながら教室へと向かっていった。



今日一日は、授業中も部活中もそれぞれ集中して取り組んでいたけど頭の中は大混乱という感じでした。

あっという間に1日が終わり、練習終了。

帰る準備をしていると、一瞬藤原君と目が合ってしまいました。


「お、おつ、お疲れ」


「おおおおおおおおつひゃれ」


藤原君の搾り出すような挨拶に答えるも噛んでしまってなんだか恥ずかしくなって、俯きながら目を逸らしてしまった。

しまった、嫌われてるって思ったかな。

そういうことじゃないんだけどな。

チラッと藤原君の顔を見てみると、明らかに「ガーーーーーン」という表情。


「あ、ち、違う。そういう意味じゃじゃじゃ」


私はもうわけがわかんなくなっちゃって、アタフタしながらなんとか訂正しました。


「そ、うなの?」


「うん」


藤原君の顔を見てみると、今度は明らかにホッとした表情。

藤原君って意外と表情コロコロ変わるんだな、面白い。


「…」


「…」


その後はお互い無言で帰る準備、とはいってもお互いたまにちらちら相手のほうを伺ってしまいます。

視線、感じるなぁ。

藤原君に今の私はどう写ってるんだろう。

挙動不審な変なやつって思われてなければいいけど。


「じゃあ、か、帰る。お疲れ」


「おおおつかるぇ」


また噛んだ。

しかし、もし付き合ったら一緒に帰ったりするんだろうか。

帰るとき、いったいどんな話をするんだろうか。

私、ちゃんと喋れるだろうか。

…。

な!ば!私何付き合う前提でもの考えてるんだよ!

藤原君のこと好きかどうかなんてわかんないのに!

はぁ、なんか今日ホント調子狂う。



なんか今日は一日うまくいかなかった気がします。

ご飯を食べて、お風呂に入って、布団に潜り込む。

…やっぱり、ミズホさんに相談してみようかな。

受験勉強の邪魔になるだろうけど、ちょっとだけなら…ミズホさん恋ハナ好きだし。

決心してスマホを取り出し、メッセージを送信しました。


>ミズホさん、夜遅くにすみません。

>相談したいことがあるんですが、どこかで会えたりしないですかね。

>受験勉強もあるでしょうからそんなに長くはしません。


数分後、ミズホさんから返信がありました。


>どうしたの?私でよければ相談乗るよ?

>今度の土曜なんてどうかな?部活終わった後とか。


いやいや、いい先輩だなぁ。

でも相談内容が恋愛じゃ、ましてや私の恋愛じゃ、笑われちゃうかな。


>ありがとうございます。

>今度の土曜、13時に駅前のエチェバリア(ハンバーガー店)でいいですか?

>受験でお忙しいのに申し訳ありません、よろしくお願いします。


なんかちょっと堅苦しかったかな?

でも、私が軽い感じの文章打ってもおかしいかもね。


>了解!


そしてかわいい猫が「OK」をしているスタンプが送られてきました。

決まった。

相談することが決まってちょっと安心したと同時に、ミズホさんになんて相談しようか、というか何を相談すればいいのかよくわからなくなってきました。

まさか「ミズホさん、私、藤原君と付き合ったほうがいいですか?」なんて聞けるわけないし。

そんなん聞いたらただのアホだよ。

うーん。

多分、どうやって考えていったらいいのかわからないから相談したいんだな。

私は藤原君が好きなのかどうか、わからない。

どうしたらいいでしょうか、って感じかな。

うん、そうしよう。

そう言おう。

相談すべき相手と内容が決まって、ちょっとスッキリしました。

でもやっぱり藤原君のことが頭をよぎって体が火照ります。

うーむ、やっぱり今日もなかなか寝付けなさそうです…。


…。


ナツキちゃんから会って相談しただなんて、珍しいな。

しかも電話じゃなくて2人きりで直接会ってなんて…相当重要なこと?

新体制になったばかりだし、部活の悩みかな?

でもカナちゃんがいるから大丈夫だろうし、そういう悩みならシオちゃんに言うかな?

あとは人間関係の悩みとか?

うーん、敢えて私に相談…かぁ?

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ま!さ!か!

「私、好きな人ができました」か「私、告白されました」のどっちかとか!?

…あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!

これだ!!!

これだわ!!!

絶対これだわ!!!

テンション上がってきた!!!

受験勉強してる場合じゃねぇ!!!

今すぐ電話して聞きたいくらい!!!

でもそれはさすがに…しゃーない。土曜日気合入れていくか!

ナツキちゃん待っててね!

あー、受験勉強で荒んだ私の心に1つの清涼剤。

最近恋バナ摂取してないから…正装で行った方がいいかしら?

相手は誰!?告白したいの?されたの?

ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!


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