表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スイソーガー~小坂県立福浦西高等学校吹奏楽部~  作者: 闇技苔薄
一年生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/125

第45話 水着回?何それおいしいの?

バスから荷物を降ろしその後トラックから楽器を積み下ろした俺たちは、楽器をホテルのロビーにいったん置き、自分たちの荷物を宿泊するホテルの部屋に置いた。

宿泊する部屋は男女混合パートごと!なんていい話は当たり前のように無いわけで、男子は男子で1部屋に固まることになった。

ちなみに女子たちは基本パートごと。


「あーぁ、この一部屋に男子全員押し込められるとか、夢も希望もないな」


「それは言うなや」


悲しい童貞たちの会話。

きっと他の部屋では女子たちがキャッキャウフフして「○○ちゃんは誰が好きなの?」やら「○○ちゃん胸大きいね」だの話を夜するはず、と童貞たちは想像する。

想像するだけ虚しくなったので、さっさと自分の荷物を整理してから学校指定の運動用のジャージとTシャツに着替え、その後ロビーに置いてある楽器を合奏練習を行うホールへと運びに向かった。

こういう合宿ってさ、よくマンガとかアニメだと水着回とかそういうのあるもんじゃん?

まぁここ高原だから水着シーンとか皆無だし、むしろ朝方はちょっと寒いくらいだから逆に着込むっていうね。

ロビーに行くとジャージの女子。

たまにハーフパンツ履いてる人もいるけど、それっていつもの体育の授業と変わりないじゃん。

夢も希望もないな。



ホールに楽器を運び入れ、パイプ椅子や譜面台を準備し、全体合奏できる準備は完了した。

さて早速合宿での練習開始!の前に昼12時。

ということで合宿のメニュー最初は昼食となり、ホテルの食堂で軽めのランチを取った。

もちろんここでも基本なんとなく男子は男子で固まる。

別に女子から迫害を受けているわけでも話しかけられないわけでもないけど、なんとなく集まってしまうねん。

仲間意識っていうか団結力っていうか、そういうのはひしひしと感じる。

俺達、仲間だぜ!


「午後は13時半からホールに集まってください!さっそく練習開始しますので、それまでに楽器と楽譜の準備しておいてください」


昼食の最後の「ごちそうさまでした」の後、部長のマナミさんの一言の後一次解散。

各自部屋に戻り、話したり休んだり。

俺は乗り物酔いの頭のふらつきがまだ若干残っていたので、軽く昼寝することにした。

まぁ結局同期に邪魔されてあまり寝れなかったが…。



「それでは、これから本間西高校吹奏楽部の夏合宿が始まります。みなさん地区大会での演奏で思ったことがいっぱいあると思います。うまくいかなかった個所、反省点もいっぱいあると思います。それらは昨日(第43話参照)ある程度挙げてもらったと思うので、それを意識して今日からの2泊3日進めていってください。また反省点ををつぶすだけじゃなくて、県大会に向けて演奏をより良いものにするよう発展することを意識してください。1日中丸々吹奏楽に使えるなんてそうそうありません。せっかくなので絶対に有意義に過ごしてください」


「はい!」


「それでは確認になりますが、17時半までは個人練習、パート練習を各パートごとに自由に時間決めて組んでください。各練習場所はパートリーダーに伝えてあります。セクション練習は明日組む予定ですので、やりたい個所をピックアップしておいてください。今夜練習する組み合わせ決めます。18時から夕食、19時半から21時まで全体合奏になります。それではみなさん、今日一日よろしくお願いします!」


「よろしくお願いします!」


井口先生と部長マナミさんの挨拶で、俺たちの夏合宿がついに始まった。

俺たちペットパート6人が集まると、カナさんが手を挙げた。


「シオさーん、ウチらの練習場所ってどっこでっすかー?」


「ホテルの外の丘の上だって」


「おお!解放感満載!音量も気にしないで練習できるっすね!」


「調子ん乗って音割るなよー」


「りょー!」


シオさんについていき、到着した場所は高原の中の小さな丘の上。


「おー!スゲー!めっちゃいい景色じゃないですかー!おまけに天気もいいし、絶好の合宿日和ですなぁ!」


「そこまで暑くもないですし、やっぱり高原は涼しいですね」


カナさんとユリがキャッキャしている。

その後ろをシオさん、ミズホさん、ナツキさん、俺が追いかけている構図。


「おーいはしゃいでコケて楽器壊すなよー」


振り返ってみると確かにとても見晴らしがよく、周りもホテルと木ばかりで気持ちがいい。

菅野平高原は冬はスキーができるので、きっとこういう場所が多いんだろう。

夏は涼しいので、部活の合宿でいろんな高校や大学が訪れるのだそうだ。

ちょっと遠くを見るとテニスコートやサッカー場もあり、それぞれ練習や試合をしている。

こんな気持ちのいい場所で楽器の練習ができるなんて、最高だね。

しかも今日は風が無くてよい。

ほら、風があると楽譜飛んで行ったり、譜面台倒れたり、髪の毛ばっさばさになって楽器吹くどころじゃなくて大変じゃん?

おまけに砂とか巻き上がって目に入ったり、最悪楽器傷ついたり…。


「風無くていいですね」


ナツキさんも俺と同意見だ!


「そうだね、一応私髪の毛縛ってきたけど、今日は大丈夫そう」


長い髪の毛縛ってるミズホさん、正直くっそかわいい、てか美人。

ただ着ているものは、学校の体育用の半袖Tシャツとジャージ。

Tシャツには「3-1 荻野」と書いてある。

うーん、色気無い。

改めて他の人の格好も見てみる。

ミズホさん、ナツキさん、ユリと俺は半袖Tシャツとジャージ。

シオさんとカナさんは半袖Tシャツとハーフパンツ。

改めて言うが、うーん、色気無い。

女子5人もいてこの開放感なのに、なんなんだこの格好は。

普段の学校生活とは全く違う状況なのに、この格好だけで現実に引き戻されてしまう。

ほらさ、なんかさっき同じような話したけどさ、マンガやアニメの部活ものだとさ、文化系でもかなり強引に水着回とか持ってくるじゃん。

文化系部活なのに合宿で海行って、レクリエーションとして水着回(しかもスクール水着でない)。

文化系部活なのに休日にプールみんなで行って水着回。

よく大人たちが「今思うとあの頃(学生時代)は恵まれていたんだな。制服に体操服…」とか言ってるけど、現役高校生の僕にはよくわかりません。

ほらこういうところですよ、作者さん。

菅野平高原って合宿で使われること多いんでしょ?

きっとプールとかあるでしょ?

ちょっと強引に「息抜きとしてあそこのプールで泳がせてみよう」みたいな話作っちゃえばいいじゃない。

かなり強引に「潮風で楽器やばそうだけど、合宿場所は海にしよう」とかしちゃえばいいじゃない。

私服で合宿来ちゃって肩とか太ももとか出しちゃうちょい問題児エロキャラとか作っちゃえばいいじゃない。

なんでこういうとこだけ結構現実路線なんですか。

ほらこういうところですよ、作者さん。

だからブクマもアクセス数もポイントも増えないんですよ。


「おーいレイジ、景色に見とれてないで早くこーい!」


「はぅあ!」


シオさんに呼ばれて我に返る。

振り返るともう俺以外みんな丘の上に集まっていた。

「景色に見とれていたわけじゃない、現実に絶望していたんだ。すまん、みんな」と涙をぬぐいつつ俺は小走りでシオさんたちのもとに向かった。

6人全員集合。

各自並んで譜面台をセットし、シオさんのほうを見る。

するとシオさんがニィっと笑う。


「さぁ、今から合宿の始まりや。今日から2泊3日、お前ら覚悟しとけよ!」


…夢も希望もないな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ