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第1話 ウィーアートランペッターズ!

あぁ~、いい天気!

今日は入学式。これからまさにこの俺の青春が始まろうとしている。

この小坂県立福浦西高校(通称フク西)から、チキン南蛮のように甘酸っぱくて、小さい頃に飲んだ解熱鎮痛剤のようにホロ苦くて、食べるラー油のようにスパイシーな青春が!



入学式を終えた新入生たちが体育館を出るといろんな部活の勧誘が待ち構えていた。

野球やサッカー、バスケにテニス、軽音に合唱といろいろなチラシ(たまに飴付き)をもらったけど、残念ながらもう決めてある。ゴメンね!

俺中学時代から吹奏楽部なんです!


俺の名前は佐々木玲人(ササキ レイジ)

今日から小坂県立福浦西高等学校(1年2組)に入学した、新高校一年生。

中学時代から吹奏楽部でトランペットをやっていた。

ちなみに個人持ちのマイトランペットはBick社の金色トランペット。

音色はそこそこ褒められるんだけど、アタックやタンギングとかカッチリ合わせる系が苦手。

あ、あとチューニングの時間はものすごく億劫。

ただトランペットを吹くのも合奏するのも大好き!

だから高校でも吹奏楽やるって決めてるんだ。

トランペット希望者多すぎないといいんだけど(多すぎると他の楽器に回されちゃう可能性あるからね)…。



というわけで部活勧誘をすり抜け教室に戻り、翌日からの授業などに関する多くの説明を受けた後、吹奏楽部の部室である音楽室に直行。

おお、なかなか新入生いるじゃん。男子は…ちらほら、ね。

まぁこれは中学時代から慣れてるし、今更あーだこーだ無いし。

お、中学時代の同じ部活メンバーのレイナ(Fl)やユカ(Cl)もいる。

えぇっと、トランペット、トランペットは何処だ?

いたいた!あー、2,3年生に男子はいないかー。

俺はとりあえずトランペットパートの近くに居た同級生らしきとても小柄な女子に声をかけてみた。


「あの~、俺もトランペット希望なんですけど、中学の時もトランペット吹いてたんすか?」


その女子の表情はみるみる強張っていく。

そして周りの先輩達も…アレ?

その女子は怒ったような表情で、肩をブルブル震わせながら口を開いた。


「わ、私はトランペットのパートリーダーのシオリですっ!!!」


え…あ…あれ?


「ミズホぉ~、新入生の男子に同級生扱いされたぁ~~~!」


シオリさんという3年生(!)の先輩は、ミズホさんという大人っぽいロングの黒髪の女子に泣きついていった。

ミズホさんはシオリさんの頭をナデナデしている。


「わー、男子だ、男子!ナツキー、男子が入ってきたよー!」


ミズホさんの後ろから、とても元気な声と笑顔の女子がやってきた。


「私、トランペットパート2年生の益田加奈です!よろしく!」


「え、え~っと、佐々木玲人です」


「おー、おー、レイジ君か!ナーツキー!早くぅー!」


ボーイッシュな感じのナツキさんは他の新入生の相手をしていて、来られなさそう。


「ごめんね~、何人か来ててね。あーもうシオさん、いつまでいじけてるんすか!」


「だってー、2つも年上なのにぃ~!」


シオリさんはミズホさんから離れようとしない。

なんか…マズイことしちゃった…?


「あー、キニシナイ!いつものことだからねー!それよりトランペット経験者?学校の楽器でちょっと吹いていかない?」


「はい!」


久々のトランペット。

手になじむ重さ、マウスピースの金属の味、息を吹き込むと程よい抵抗。

懐かしい、すごく懐かしい。

自分の楽器より少し抵抗は少なくて、吹きやすい。

楽しい!中学校時代を思い出す!やっぱ俺はトランペット吹くの、大好きだ!



見学初日から1週間くらいは仮入部期間中なので、その日から毎日1時間程度見学、学校の楽器をいじったりして参加している。

5日ほど経つと、見学に来る人が決まってきて、初めて来る人も減ってくる。

楽器未経験者の人を部の先輩達が熱心に指導(接待)しているのも、減ってきた。

トランペットパートはというと…どうやら俺含めて入部希望者は経験者2人のようだ。

もう一人の人は、1年4組の松川由梨さん(あ、ちなみに俺、レイジは2組です)。

お互い年頃(ポッ)なせいかあまりたくさん話してはいませんが、真ん中分けセミロングのなかなかカワイイ娘。

う~ん、来週から本入部なんだけど、どうやらペットの新人はこの2人になりそう。

最近は2人だけだし…もうひとりいた初心者の女子は、パーカッションにいってしまった…。

うん、まぁパート決めで争わなくてよかった。

経験者が5~6人入ってきたら、どうしようかと思った。

しかも俺よりうまくて…イケメンで…背が高くて…楽器が上手で…リア充で…いいヤツで…。



そして本入部兼パート決定日。

他パートは経験者の移動があったりしたが、ペットパートはそれもなく俺と松川さんの2人が入った。

1年生は21人、うち男子俺含め4人!うん、結構いるほう!

ちなみに2年生は23人、うち男子2人。

3年生は19人、うち男子3人。

おお、9人ったら、上出来じゃないっすか!寂しくご飯食べなくてすむw


パートが決まったあと顧問の井口繁先生(46、音楽教諭)の挨拶、そして1年生の各自己紹介、最後にパートごとのレクということで、パートごとに分かれていった。



「おー、じゃあ1年生!もう一回自己紹介ね!」


そういってパートリーダーのシオリさんは、俺たちのほうを指差し、ビシッ!


「え?あ、はい!…………ちょ、む~、あーもういい!私からやる!」


キョドって反応できずにいたら松川さんに怒られちゃいました…。


「えーっと、松川由梨(マツカワ ユリ)と言います。ホント、あんまり上手じゃないんですけど、頑張ります!よろしくお願いします」


ちょっと怖かったけど、しっかりしてそう。

俺もしっかりしなきゃ、怒られそう。ていうかもう怒られた。

立場決まっちゃったか!?


「じゃあ次、えと、佐々木玲人(ササキ レイジ)です。えー、男子一人ですがぁ、頑張ります。よろしくお願いします」


そして次は2年生。


「はい!トランペット兼2年指揮者の益田加奈(マスダ カナ)です!かわいい1年生が2人も入ってきてくれてとっても嬉しいです!よろしくお願いしまーす!」


生徒指揮者かぁ、ペットもうまいんだろうなぁ。

ニシニシ笑っててサバサバしてて、かわいい。


唐川夏樹(カラカワ ナツキ) です。えー…よろしくお願いします」


ボーイッシュでクールな感じ。

あまりしゃべらない人なんだろうか?あ、でもカナさんに「もっとしゃべれよぅ~!」って小突かれてるし、怖い人じゃなさそう。


次!三年生!


荻野水穂(オギノ ミズホ) と言います。高校から始めたんで、あまり上手くはないんですが、よろしくお願いしますね」


うおー、やっぱキレイなひとだなぁ、おっとりしてるけど大人っぽい。

楽器は高校からやり始めたのか。


「最後!パートリーダーの角中詩織(カクナカ シオリ) です!改めて言いますけど!3年生ですから!」


うっわ~、すげーこっち見てる…初日のこと怒ってるぅ…。

童顔で身長も低いけど、すごくしっかりしてそう、いかにもパートリーダーって感じ。


「と、言うことで、今年のペットパートはこの6人でやっていきます。よろしく!」


そんなわけで、この6人のメンバーでトランペットパートが始動。

…。

これ…来たんじゃね?来たんじゃないの、コレ!

やべぇ、ドキドキピュアーな、青春ストーリー、始まっちゃうんじゃね?


「あー!急なんだけど、このあとペットパート歓迎会と称してどっか寄り道してくんだけど、2人とも大丈夫?」


お、男1女5でいきなりどこか寄るだってー!?

こ、これはぁああああああqwせdrftgyふじこlp;@:「」


妄想爆発してたこの時の俺を、殴ってやりたい。

やっぱそんな甘々な甘っちょろいもんじゃないよね、吹奏楽。

と認識するのに、あまり時間はかからなかった。


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