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第15話 草食系男子


「イヤです」


「いいじゃ~ん、減るもんでもないし」


「イヤです」


「あーもう、文句言うな!これは先輩命令!」


「なんでですかぁ…恥ずかしいですよぅ…」


「うるせー!先輩命令じゃー!ただカツラかぶってステージ前に立って、「女子は皆、キノコが好きなのかと思っていました」って叫べばいいんだってばー!」


「う…うぅううううぅうぅぅ」


「カッコいいと思うよ?だって主役できるんだから!きっと会場から「キャー!キノコ、好きー!!」的な視線もらえるよ?」


「あんまうれしくねーーーー!」


なんの話か、と言うと2部の演出について。

演出係の方々が2部担当の指揮者(3年生の生徒指揮者の美馬彩さん)と打ち合わせをしていたときのこと。


「2部の最後、「幕張殿の9人」って最後のメロディでバンっと勢い出るから、その前に何かきっかけあったほうがいいですかね?」


「そうねぇ、なんか無いかねぇ。指揮者としてもなんか決め手があると勢いに乗っていけて楽しいし」


「主人公のセリフで始めたらかっこいいんじゃないですか?」


「んー、なるほど」


「うーん…でも3年生の男子とか、やっぱ最後だし吹きたいだろうしねぇ…うーん…」


こうやってみんなで考えていたのらしいのですが美馬さんの横で話を聞いていたカナさんが一言。


「ウチのレイジ、貸しますよ?」


これが事の発端らしい。

なにも知らずにトイレから帰ってきた俺を見るなりカナさん含む演出係のメンバーが俺に近づいてきて…以上のような展開になったのだ。

背景説明終了。


「だからー、レイジがちょうどいいの!2、3年生は吹きたいだろうし、レイジは「幕張殿の9人」3rdでしょ?そりゃーレイジのヴィジュアルは主役の大栗筍(おおくり しゅん)からはかけ離れているけども、でも!そこは目をつぶっても、レイジが一番やっても支障ない位置にいるんだってば」


「俺以外の男子だってやりたがる人、一人くらいはいるでしょう?ねぇ?」


周りにいる男性に目をやると、たちまちみんな目を逸らす逸らす。

くぉ~、なんで一人もこういう目立つのに対してがっついてくる人がいないんだ、草食系男子共め…。これがZ世代ってやつか!

男子の同級生がニヤニヤしながら見てやがる…ぜーったい面白がってる、まぁ確かに誰かがコレやってるのは見たいけども。

ってヤバイヤバイ、アイツのことは今はどうでもいい。なんとかこのピンチを乗り越えなければ!

…いや、でも待てよ?よく考えればおいしいっちゃおいしい。

うまくやれば「レイジ君かっこよかったよ」だの「レイジ君ちゃんとやってエライね。これ、ご褒美…chu」だのあるかも?あるかも?←童貞の妄想

なんてーの、この、恥ずかしがり屋の目立ちたがり。

や、やりたくはないけど…しょーがないなぁ!みんながそんなに言うんだったら、やらなくもないけどぉ?みたいな。


「んふ~、レイジ、みんなやりたくないって!」


「…ほらでも俺ってペットだから、セリフ言ったあと席に戻るの大変でしょ?後ろですから(でも厳しいですけどどうしてもっていうなら、ねぇ?)」


「ん?大丈夫。3rdだから一番端っこの席にすればすぐ戻れるじゃん、パーカスにちょっとお願いして」


「うぅ~ん…」←まんざらでもない様子で腕組み。


そこに前回初登場で、演出係の西野さんがモジモジソワソワワクワク入ってきました。


「ねーねーカナ、佐々木君がダメならナツキ様にやってもらったら?」


「おー、ナツキかぁ。確かにかっこいいかも。あの顔立ちと雰囲気はレイジよりは大栗筍に近いかもしんないし、なによりナナ達「ナツキ様ファンクラブ」が発狂モンだね」


「そうそう、想像しただけで…たまらんわぁ(鼻血ブシャー)」


「あー、でもダメだよ。あの曲ナツキ1stだし。できれば抜けて欲しくないと思うわ」


「あ痛ーッス」とでも言いそうに顔をくしゃっとさせ、ナナさんの意見はすぐに却下された。

でも確かにナツキさんがやったらすげーカッコよさそう!

って男がこんなすんなり認めちゃうのもどうなんだ!って話なわけだけど、「ナツキ様ファンクラブ」曰くそんじょそこらの男子よりもかっこいいわ、という意見はなんとなく納得できてしまいます。

悔しいけど、俺から見てもかっこいい。

それが理由で全然異性として見られない、っていう悩みがナツキさんにはあるんらしいだけど。


「えー、頑張ってよ~!カナ頑張ってなんとかナツキ様に演じてもらってよー!」


「いやムリだし、フスッ(笑)」


「鼻で笑うなぁーーーーー!」


「あーーー、まぁ話を戻すとだ。佐々木君はあんまやりたくない?」


美馬さんが話の方向を修正しました。


「あー、いや、まぁその、うーんとですねぇ。び、微妙ですねぇ(やってもいいかなぁ~?)」


「微妙ってどっちよ」


「えー、あー、いやー、正直あんま気が進まないですけども…(どうしてもって言うならやってもいいですけどね?)」


「んー、そっか残念。まぁ無理強いはさせられないし…でもやっぱ男子にやらせた方がいいよねぇ?」


美馬さんが西野さん他演出係に話を振ると、「でもあのセリフは男→女にいうセリフだからねぇ」「ちょっと抜けた感じの男感が出したいな」との意見。

そこで欠かさずカナさんが横から「じゃあレイジは最高じゃん。、超絶垢抜けてないし(笑)」と突っ込むと一同爆笑。


「そういや佐々木君ってなんか典型的な草食系男子だよねー」


「わかるわかる、なんか草をモシャモシャ食べてそう」


だって。

それって草食系男子の意味合いと若干違わね?

ただ雰囲気が草食動物ってだけじゃね?

うーん、一応男として「草食系男子」って呼ばれるのは微妙…かなぁ?

だってあまり異性にガツガツしてないってことでしょ?

そりゃー、俺だって一応思春期。

することはしてるし(失敬)、クラスの女子とかの制服からブラ透けてたらちょっと興奮しちゃうし、女子高生のスカートが短かったりすると「最近の若いのは実にけしからん」と思いつつ見ちゃうし、「女子大生」「お姉さん」って言葉大好きだし。

女性には興味深々ですよ。

ただクラリネットやサックスの子がマウスピース咥えてたりするのでは全くそういうこと考えないから!

これは俺のひとつのポリシー。

吹奏楽を侮辱しているようで絶対無理。

だってそんなことしたら翌日その人に大変申し訳なく思っちゃうだろうが!

女性の読者の方の大半が「男ってやっぱバカだなぁ」と呆れていると思うけど…多分男はバカなんだと思う、自覚あります。

…話は随分ゲスい方向に反れてしまったけれども、つまり何が言いたいかというと、草食系男子とは言っても決して女性に興味が全く無いというわけではない、ということ。

多少はあるはず!

ただ優先順位がちょっと低いだけなんだと思います。

「男なんて居なくても仕事があれば全然いいわ!」っていうOLと同じ感じかな?

よく「草食系男子をオトすには肉食系女子で!」と聞きますが、多分男性目線からしてそれは逆効果。

だって例えばシマウマはライオンが来たら食べられないように必死で逃げるでしょ?

草食系男子の人は目の前の草(趣味や仕事)に今は夢中で、そこに肉食系女子がガーッっと食ってかかったら正直「ジャマだ」って思うでしょう、だってこっちは目の前の草食べてるのに…。

基本、そっとしておいてほしいんだと思う。

中には食われるの待ってる人もいると思うけど。

もし、目の前の草食系男子をどうしてもオトしたい人は、肉食系じゃなくて相手に合わせて草食系になればあまり悪い印象にならずにいい感じになれる確率が上がると思う。

「この草(趣味や仕事)結構おいしいね」っていっしょに楽しんであげるといいかな、と思う。

男ってのは変にこだわりがあるのでそれをジャマされると怒るけども、同調してくれるとうれしいはず(まぁ女性側からして全く興味ないものを押し付けられるのも苦痛ですけどもね)。

相手をわかろうとすることが、オトす第一歩なんだと思う。

多分無理やり押し倒したりするのに効果があるのは、一部だと思う。

まぁ俺オトしたこともオトされたこともないんだけど。

え?一方的な男の意見だって?

ごもっとも、男って同調して欲しいけれども自分から女の好みに同調することって少ないからね。

やっぱ男ってバカですわ…子供なんだね。

わかってください。


「佐々木君大丈夫?なんかボーッとしてるけど?」


「は、はいいぃいぃぃぃい!?」


気づくと美馬さんが俺の顔を覗き込んでいた。

すみません、いつの間にかよくわからない自論を展開していました、今回吹奏楽と全然関係ないですね、すみません。


「そんなに草食系男子って言われたことが傷ついた?」


「い、いや、全然そういうわけではないっす」


「良かった良かった、あ、ところでなんかレイジ君がなんかボーッとしてる間にね、決まったから」


「?何がデスカ?」


「北浄義解役、藤原君(2年チューバの藤原船治(フジワラ コウジ)さん、中性的な顔立ちで有名のカワイイ系イケメン)がやってくれるって!よかったね~」


あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


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