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第107話 MY FUCKIN' VALENTINE

■MY FUCKIN' VALENTINE


ユウカとアオイ、部活後の部室にて。


「一応用意はしてきたけどさ、やっぱり正直めんどくさくない?友チョコ制度」


「わかるー。好きで配ったり作ったりする人は別にいいけど、義務感はいらないよね?配られて「え、持ってきてないの?」みたいな空気になると最悪!」


「しかもお金かかるじゃん?ファミリーパックみたいなの買って持ってくるだけでいいならまぁそれでいいんだけど、それだとちょっと凝ったもの貰うとお返しとして釣り合わなくなっちゃうしなぁ。かといってそんなにお金はないし」


「そうだねぇ。その点義理チョコよりもお金かかるかも」


「そうなんだよなー。男子にあげる義理チョコなら別に義務感は無いしさぁ」


「ユウカちゃんは今年男子に誰にもあげてないの?」


「一応アンコンでお世話になったから佐々木君にはあげたよ」


「一緒ー!」


「だよなぁ。本来なら佐々木君一人分で終わるはずなのに…友チョコ文化滅ぶべし」


「でも1か月後のお返しのこと考えなくていいだけ楽じゃない?佐々木君とかホワイトデーに何人かに返さなきゃじゃん?あの人はこれくらいで…とか考えたら大変だし、お金もかかりそう。うわー、考えただけでめんどくさい!」


「確かに。でもまぁ男子なんてテキトーだからさ、せっかくこっちが渡しても1か月後に全部忘れて何もないヤツだっているんだし…」


「え、なにそれ実体験!?」


「!!!!!いや何でもない!!!!!」


「え、ちょっと聞かせてよ!詳しく聞かせてよ!」


「なんでもないってば!!!!!」


「聞かせてよ~!!!」


「あ~も~!!!バレンタイン嫌い!!!!!」



■瓦割り


帰宅後。

藤原さんのはラッピングされてたので、丁寧に開けてみる。

すげぇ、これ多分手作りだ。

トリュフ…うめぇ。

これ俺が食っていいのか?

大丈夫か?あげる人間違ってないのか?

ユリのを開けてみる。

あ、これ里崎堂(ここらでは結構有名な洋菓子店で、ユリの大好きなお店)のショコラフィナンシェだ。

あいつ里崎堂好きだなぁ、俺も好きだけど。

うん、やっぱうまい。

とまぁいくつか貰ったチョコを開けてみて食べてみた…で問題はこれだ。

カナさんがくれた業務用板チョコレートだ。

なにこれブロック塀?

中森さんがくれた板チョコは市販のなので手で割れるけど、これは手じゃ割れないだろう。

製菓用に溶かしてつかうやつだろこれ。

味はまぁ食べればおいしいんだろうけど…どうやって食えばいいのこれ?

あぁカナさんのニヤニヤした嫌な笑いが浮かぶ。

くそ!絶対食ってやるぞ!

とりあえず割ろうとしてみるけどびくともしない。

逆に手が折れるぞ?

肘鉄なんかしたら肘が壊れるぞ?

ハンマーか!

ハンマーなんてうちにないぞ?

レンジで温めて包丁で切るか?

温めた残りはどうしたらいいんだ?

あぁくそ、カナさんのニヤニヤした馬鹿にしたような嫌な笑いが浮かぶ。

包丁で削るか?

鰹節みたいになってくしゃみでもしたら大変なことになりそう。

ていうか全部食べ切るまでにどれくらいかかるんだこれ?

…このままかじるか?やってみるか?

ふぉ…ほごぉ…あ、固っ…あ、よだれが…あふぁ…あ、こうやって歯でけずるようにすれば…

歯が折れちゃうんだよ!!!!!

あぁくそ、カナさんのニヤニヤした馬鹿にしたようなねじ曲がった嫌な笑いが浮かぶ。

くそぅ、もうさっきからカナさんのことばっかり考えてる気がする。

え、これってもしかして…トゥンク…

これって…こ…こ…

このくそ固い業務用チョコレートのせいだよちっくしょう!!!!!

その日の夜、性格の悪い顔で笑いながらアフタヌーンティーを楽しむカナさんに見られながら業務用チョコレートに悪戦苦闘する夢を見た。

バレンタインデー終了。



■友チョコ~レイジとコヨミの場合~


「藤原さんおはよう」


「あ!佐々木君、おはよう」


「昨日はありがとう。チョコレート、すっごくおいしかった」


「食べてくれたの?ありがとう」


「つうかあれ、手作りだよね…?」


「そうだよ!トリュフみたいなの初めて作った。みんなにも配ったんだけど、どうだったかなぁ?」


「あ、そうなんだ…(察し)」


「でもバレンタインだから、佐々木君に一番大きくてきれいにできたやつ入れたんだよ」


「お!そうすか!!!!!ありがとう!!!!!本当においしかった」


「良かったー。なんか粉っぽくなってなかった?」


「なってないなってない!くちどけ良かったし、甘さもちょうどよかった」


「ならよかった。そんなにおいしく食べてくれてちゃんと感想も言ってくれるんなら、また今度何か作ってみんなに配るとき、佐々木君の分も用意しようかな?お父さんとお兄ちゃんにもあげたんだけど、感想が「うまい」だけだからつまんないんだよ…やっぱりちゃんとリアクションがあったほうが嬉しいし」


藤原さんはお菓子作りが趣味で、たまに作ったものを持ってきてみんなに食べてもらっているのです。

主に女子間ですが。


「え!いいよ悪いよ?」


「でもこんなにちゃんと感想言ってくれるの嬉しいし…佐々木君はチョコレートが好きなんだよね?」


「うんまぁ」


「じゃあまた何かチョコレート使ったもの探してみるね?」


「いやいやいや!ていうか大丈夫?」


「…大丈夫って何が?」


「いやほら、さぁ…付き合ってもない男子に、その手作りのもの食べさせるのって…いいのかなぁって」


「え?え…?」


「なんというかそのぅ、藤原さんの将来の彼氏に申し訳ないって言うかなんというか…」


「そこまで考えてるの!?…佐々木君って真面目だね」


そういうと藤原さんはクスクス笑う。

顔真っ赤にして走って逃げられるかと思ってたのでちょっとホッとする。


「そこまで気にしてないよ?お菓子作って誰かに「おいしい」って言われるの一番嬉しいし。それに佐々木君にだったら、また食べてもらいたいなぁ。で、また感想教えてほしい」


「俺に?」


「うん。ちゃんと感想教えてくれる人、好き」


「すすすすっすsssっす好き?????」


「!!!!!!!!!!!!」


顔真っ赤にして走って逃げられた。



■ネェクストコナンズヒィント、業務用チョコレート


「あ!レイジおはよう!って顔ヤバ!?寝不足?」


「昨日の夜悪夢にうなされて」


「どんな夢?」


「性格の悪い顔で笑いながらアフタヌーンティーを楽しむカナさんに見られながら業務用チョコレートに悪戦苦闘する夢」


「私超絶嫌なヤツじゃんwwwでもあのチョコそんなにインパクト残したんだwなら良かったわ」


「申し訳ないですけど燃えるゴミに出していいすか」


「さすがにひどすぎwwwコヨミンにお願いしてお菓子作ってもらったら?」


「もうちょっとかじっちゃってますし。なんかもう熊に引っかかれた丸太みたいに無残な感じになってます」


「頑張って食おうとしたのかよwwwありがとうwww」


「ホワイトデーは3倍返しします」


「絶対いらないからな!!!!!」


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