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無人の一言  作者: みけねこ
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構内仕事はそれほど大変ではありません。

 電気の音がごく小さく、さり気なくビーっと鳴って、カラカラと何かが空回りするような音も聞こえる。それは空回りというよりは程よい加減で遊びが効いているという方が正しい。動力を伝えるベルトに負荷がかかっていない証拠だ。流れてくる箱はバーコードで区分されており、読み取り機が反応してコンベア内でオートマチックに仕分けられる。上三桁が行き先を表示し、後ろ六桁が品名と日付と小口番号を表している。特に上の三桁は見間違えて仕分けると後で大変なことになるため、数字には敏感にならなければならない。

 流れる時間が少しずつ経過するに連れて、ジリジリとまた違った小さく些細なさり気ない音が付加されていく。コンベアはやがて、分岐に箱を運ぶ。上の三桁を読み込み、読み込まれなかったものはすべて通り過ぎる。反応があればガコンと何かを折り曲げて叩いたような耳に響く音を立ててその箱をローラーコンベアへ押し流すのだ。


 そして彼はまた別の意味で興奮していた。もう3ヶ月この仕事をしている。仕分けのレールは最大で4箇所面倒を見ることができる。今日はその4箇所を見る日であるし、この仕分け作業に不思議なやりがいを感じ始めたからだ。仕分けられた箱は人力でさらにコードごとの札をつけられた鉄格子のキャリーへ投げ込まれる。テトリスのようにそれらの箱は鉄格子の中へ整理されていく。こうして仕事が始まると、小野は様々な不埒な思いを忘れて自らの仕事に対して熱を上げ、夢中になることができた。

 一番厄介なのは餃子だ。餃子がたくさん流れてくると、箱の採寸からして格子の奥へ縦に積むしかなくなる。そうすると次に大きな箱が来た場合、キャリーに枝番をつけて別途用意しなければならなくなる。すると、その用意しているロスで、ローラーコンベア内に箱がどんどん投入されて、レーンが渋滞してしまうのである。という具合に——。


何の変哲もない仕事です。

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