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<第三十三話>作戦会議

 大野の方に近づきながら、姫子が話を始めた。


「大野刑事、まずは私がこれまでご家族から話を聞いて、まとめた意見を聞いて下さい。



 一点目ですが、昨夜の状況を聞いていた時、ご自身の部屋で各自で過ごされていた方が非常に多かったと思いませんでしたか。




 それは巌氏と美和さん、悠馬さんと薫さん、颯斗さんと瑠璃さんというそれぞれが気安く話せる相手が揃わなかった事が起因しているのかもしれませんね。




 巌さんと悠馬さんが打ち合わせを行い、瑠璃さんは夕食時のお父様との会話で不機嫌になっていたという状況が、互いの部屋に訪問する機会をなくしてしまったのでしょう。





 その結果、ご家族の誰かと一緒に過ごしていたという、本来ならば自然に分かるアリバイ確認が出来ず、現在のような時系列を考えるのが難しい状況を作ってしまっているように思われます。








 そして二点目は、私の失態の話にもなるので恐縮なのですが・・・。






 すみませんでした。私は普通に話を聞いていたつもりでいましたが、近年に再婚された連れ子同士のご家族という状況の把握が非常に甘かったです。




 そのせいで、ご家族への気遣いから生まれる遠慮から、私達に伝えたい話もきちんと言えなくなっている方がいるのだと、会話の途中から痛感していた事があるのです。






 それを大野刑事も感じられていたのかを、確認させて下さい。




 私が言っている話は、つまり『剣持家のご家族の方の中で、お話を伺っている間に、どこか含みのある話し方をされている方がいると感じませんでしたか?』という質問です。」




姫子は、大野にたずねた。





「含みですか?




 それは何かを隠しているような様子という意味ですよね。






 ふむ・・・、そう言われてみると、そうだったかもしれないですね。




 あとは、断言するでもなく曖昧な表現をしている人が多くいましたね。」




 大野は今の姫子の問いに対して、実の所そのような意識をあまり持って聞いていなかったのだが、その事を姫子に悟られないように気を遣いながら、話を合わせる事に決めて、答えていた。








「ええ、おっしゃる通りです。


 確かに私も気になっていました。曖昧な表現を用いる方が多かったですよね。


 やはり大野刑事も感じていたのですね。


 




 でも、それはやはり私の話の聞き方による影響もあったのだと思います。


 他の家族の話を言いづらい聞き方をしてしまっていたのが、その原因だったと思います。




 申し訳ありませんでした。




 ですから私は、この休憩が終わってから今度は少し聞き方を変えて同じ内容の話を再度確認してみなければいけないと反省していたところだったのです。






 先程、とても素晴らしいタイミングで大野刑事が取って下さった休憩時間のおかげで、よい切り替えが出来そうな気がしています。





 本当にありがとうございました。」




 姫子が嬉しそうな笑顔で、大野刑事に礼を伝えていた。





 姫子の笑顔には、ほとんどの男性が一瞬で虜になってしまうような引き込まれる魅力がある。

 本人にその自覚が無い事が問題と言えば問題なのだが、姫子はこの笑顔で数多くの刑事の捜査協力を見事に得ていた。




 「いやそんな…、休憩はたまたまですよ。」


  大野は、照れながら答えていた。




 「いいえ。




  私は、場の雰囲気を察して取って下さったのだとちゃんと承知しております。


  どうもありがとうございました。」




  このタイミングで、姫子は大野の心をガッチリと掴み、二人の捜査協力体制が整い始めていた。






 「それから、大野刑事に申し伝えておきたい事があります。


  話す内容に違和感がある方がいました。


  私の勘違いかもしれませんので、その方が誰かという事と私が感じたその内容についてを伝えておきます。




  もしもこの後の話し合いの場でも、その方がそのような事を続けるようでしたら、私が動いてみます。




  動き出す直前に、私から大野刑事に合図を送ります。


  そしてそのまま、その方が自白出来るような状況まで一気に持って行きたいと思います。  




  このような手順で進めて行ってもよろしいでしょうか?」




 


  姫子の提案は、大野刑事が主体ではなく、姫子が主体でこれからの捜査の進展が決まっていく捜査方法だった。




 このような捜査の進め方は、姫子と出会ってすぐの大野刑事であったならば、当然面白くなく、反発を受けてしまうようなものだった。




 しかし、リビングでの姫子の仕事ぶりを間近で見て、更にこの休憩時間中の二人の会話を経た事により、大野は当初とは打って変わって、彼女の捜査を信頼し、すっかり協力的になっていた。





「ええ、大丈夫です。


 どうぞ姫子さんのタイミングで好きなように動いて下さい。」






 こうして、事件解決に向けた大野・姫子のコンビが見事に誕生していた。


 



「どうもありがとうございます。では、私のタイミングで参ります。




 次々と話してしまいましたが、最後にもう少しだけ、すみません。



 教えていただきたい事と、お願いしたい事があります。






 教えていただきたい事は、大野刑事が確認していたらの話なのですが、美和さんが巌さんを発見した時に、その巌さんの部屋に駆け付けてきたお子さん達の順番です。




 次にお願いしたいことは、・・・」






 こうして姫子は、お風呂場以外にも気になっていた、幾つかの捜査の追加を、大野に依頼した。







 大野の対応は、迅速なものだった。


「今朝の子供達の部屋に到着した順番ですか。


 確認済です。瑠璃、悠馬、薫、颯斗だったと把握しています。




 そして追加捜査の件ですが、これから必要になるという事ですのでもちろん全て手配をしておきます。






 では姫子さん、これからリビングに戻って、ご家族からもう一度話を聞きますか。




 姫子さんの言う『違和感』には私も十分気を付けて話を聞いておきます。」






 大野と姫子は目を合わせてから互いに一つ頷き合い、一緒にリビングへと戻って行った。

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