表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/48

<第二十九話>巌の夢

「悠馬さん、颯斗さん。


 どうか少し落ち着いて下さい。




 お二人が一日も早くお父様の巌さんのように、一人前の仕事が出来るようになりたいと努力なさっているという事は、今のお二人の話からとてもよく伝わってきました。





 今こうして話だけを聞いていた私にも、それがきちんと伝わっているんです。



 ですから毎日会社で一緒に仕事をして、その姿を間近で見ているお父様や会社の方々に、それが伝わらないはずがありません。





 だからこそ()()()()傍に置いて、自分の仕事の事をもっとよく伝えたいとお父様の巌さんは考えられていたのではないでしょうか。






 そしてそれは、どちらか一方にだけにというのではなく、むしろお二人が同時に学んで、協力していって欲しいと考えていたのかもしれないですよね。




 今回の颯斗さんの異動に込められた巌さんの気持ちをそんな風に考える事は出来ませんか?」




 姫子は、ゆっくりと二人の方を見ながら話していた。








「姫子さんの言う通りだよ。




 まったく二人とも、体はそんなに大きくなっていたというのに、まだまだ考え方は驚くほど子供だったようだね。






 巌はよく私に話してくれていたんだよ。




 やがて息子二人が協力し合ってホテル事業を今よりもっと大きくしていってくれるようになるのが、自分のホテル事業の中の一番の目標なんだってね。




 そう、まさに姫子さんが言ってくれた通りの目標。


 




 それが巌の最高の夢だったんだよ。






 今回の旅行を計画した理由だって同じだよ。




 二人が、いやお互いの子供たちが、なかなか打ち解けないから企画したんだよ。この旅行をきっかけに、少しずつでも話す機会が増えてくれればいいってね。






 さっき悠馬さんが後悔しながらでも思い付いて話してくれた事は、まさに巌が将来の二人に望んでいた姿だったんだよ。」




 美和が姫子の話に答えながら、四人の子供達に向かって話していた。








「少し言い争うような話し合いにはなってはしまいましたが、先程悠馬さんと颯斗さんが、お互いにご自身の心の中で思っていた気持ちを正直に話す機会が出来た事は、結果的には、とても良いことだったと思いますよ。






 ですから、ご夫婦で企画されたこの旅行の意味は、ちゃんとあったと言えると思います。」




 姫子が笑顔で断言していた。






「ありがとう、姫子さん。私もそう信じていますよ。




 そして巌もきっとこの話を聞いて、今喜んでくれていますよね。」


 美和がしんみりと言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ