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<第十一話>別荘到着

 巌の計画した家族旅行は、その出発をする前日になって、全員が仲良く一台の車で行くという事が出来なくなってしまった。


 せっかくの家族旅行の日だというのに、巌と長男の悠馬(ゆうま)には、急な役員会議が入ってしまったのだ。



 


 その結果、軽井沢の別荘に最初に訪れたのは、家から出発してきた残りの四人だった。妻の美和と次男の颯斗(はやと)、長女の(かおる)、次女の瑠璃(るり)である。



 そして巌と悠馬の到着予定は、夕方になった。二人は会議が終わった後に、会社から悠馬が運転する車で、駆け付けて来る事になっていた。


  


 ちなみに悠馬と薫が、巌の連れ子である。そして颯斗と瑠璃が、美和の連れ子である。









 穏やかな春の日差しが降り注ぐ別荘の入り口に、Vクラスのメルセデツベンツが静かに入って来た。


 颯斗の運転する車が、軽井沢の別荘に到着したのだ。



 美和は、運転をしてきた颯斗を労うように、先に車から降りていた彼の肩を軽くポンと叩いた。




 「颯斗、運転お疲れ様。どうもありがとうね。


  それじゃあ、荷物をそれぞれの部屋に運んだら、まず窓を開けて部屋の換気をする事。それが終わったら、リビングに集まって頂戴ね。」


  彼女は、後から降りてくる二人の娘にも聞こえるように大きめの声で言うと、別荘の扉を開けて中に入って行った。






 美和に指示された通りに、子供たちは自分の荷物を各自の部屋に運んで行き、部屋の窓を開けていた。そしてその作業が終わると、四人はリビングに集まった。




 「まずは全員でリビングの掃除をしましょう。そして一階の掃除が終わったら、各自の部屋は、後で自分達でやるようにね。」


 美和はリビングに置いてある家具の埃除けのカバーを外しながら、テキパキと子供たちに指示を出していた。






 「こんなこと、なんで事前に掃除業者さんに頼んでおかなかったのかな?」


  面倒くさそうに瑠璃が掃除を始めながら、小声で颯斗に話しかけてきた。




 「今回の別荘に家族全員で来る事を、『仲良くなる計画』って夫婦で随分と張り切って発表していたからじゃないのか?



  その為にわざわざ業者に任せないで、俺達がやる共同作業にしているんじゃないのか?


  そうだろ。いかにもあの仲良し夫婦で考えそうなアイデアじゃないか。



  でもさ、そんな風に言っていた張本人が、役員会議だとか言って抜けるし、お偉い兄貴様もいないじゃないか。


  『自分たちは違うから、掃除なんかは無しなんだ』みたいな所が、ちゃっかりしていると思わないか。




 大体今更の話で、もういい歳なんだから、わざわざ仲良くなる必要なんてあるのか?って思わないか。




 仲良くなるとかそういう風な子供じゃないんだよ、俺達は。


 そんな関係じゃないって事に、今回の旅行で夫婦共に早く気が付いて欲しいよな。」


 颯斗は、言われた通りにきちんと掃除をしながら、小声で瑠璃にぶつくさと答えていた。






 (いいな、瑠璃さん。お兄さんと一緒にお話しながら掃除をしていて。


  悠馬も予定通り一緒に来れたらよかったのにな…。)


  颯斗と瑠璃の兄妹が、掃除をしながら一緒に話している姿を、羨ましく横目で見たりしながら、薫は言われた作業を一人で黙々とやっていた。






 (やっぱり普通にしていると、今までの兄妹ずつにすぐに固まってしまうのよね。



  巌さんの心配していた通りだわ。


  車内でも薫さんはあまり話さないで、静かに乗っていただけだったし…。



  この旅行で少しでも打ち解けてくれるといいのだけれど…。






  はぁ、連れ子同士の再婚ってやっぱりなかなか難しいわね。


  私と巌さんはもうすっかり夫婦として順調に歩き出しているのに、どうしてなのかしら?)



  美和はこんな子供たちの様子を見ながら、慣れた手つきでサクサクと掃除を進めていた。



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