1.いきなりのシリアス
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ハーレム予定は今のところないので、ハーレム好きな人は読んでいってください!
「ヒッ!」
慌てて声を潜める。
今僕の目の前では凄惨な光景が広がっていた。
血は花のように舞い散り、肉は柔らかそうな極上さを誇っていた。本来ならば鳥のさえずりすらも聞こえてきそうなこの森の中で、僕が見ている光景だけが、その異を唱えていた。
初めて見たバラバラな死体。それは僕でも驚くようなものでできていた。
ドラゴン。炎をまとい、雷を操る空の支配者。トカゲの王様。僕の前にあったのはまさにそれだった。
それは死してなお、美しさを保っており、僕の体を震わせるほどの威圧感を放っていた。
「これが、ドラゴン…。」
気づけば、僕は死体に手が触れられるほどの距離に近づいていた。すると、頭の中にノイズのようなものが聞こえてきた。
『わたしのかわいいこ…あなただけでも…』
まだ生きているのか!そう思ってしまったが、ドラゴンに動く気配などない。死体は死体。それよりも、気になったことがある。
「私のかわいい子…?ッ!まさか…」
僕は大急ぎでドラゴンの周囲を走り回る。大きさにして、約18メートルはあろう巨体だ。まだまだ子供の好みには少々つらいものがある。
そして、僕は「それ」を見つけてしまった。
「ドラゴンの、子供?」
紫がかったその蛇のような生物は、ゆっくりと目を開けて、僕をにらんできた。
その目を見た途端、僕は蛇に睨まれた蛙のように動けなくなってしまう。
これが生物の格の違いか。僕は頭が真っ白になって、ただこの状況を見ていることしかできなくなっていた。
僕の頭と同じような大きさのドラゴンの赤ん坊は、ゆっくりと僕へと近づいてくる。
これで僕の人生も終わりか。短い人生だったけれども、最後にこんな経験ができて良かったな。
そんなことを思っていると、すぐ目の前にまでドラゴンの赤ん坊は近づいていた。口を僕の頭ほど開け、僕へとかぶりついた。
「んー!!」
何とか絞り出したその声も、口の中にいる今となってはもう遅い。
諦めの極致に達し、僕が目を閉じて待っていると、ペッ!と僕の体が穏やかな風で包まれた。
恐る恐る目を開けてみると、そこにはどこか満足げな雰囲気を出したドラゴンの赤ん坊が、親ドラゴンにかぶりついているところだった。
「何だったんだよ。いったい。」
べとべとの涎に包まれた体で、僕は引けた腰をたたき出し、ぶるぶると震える足で家へと帰る。
帰路はどうということもなく、両親にも、沼に落ちた、と言ってごまかしておいた。
だってあれは僕のだけのものなんだから。
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