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第1章 ヨモツ掃討

GW投稿❷です!

ヨモツ一気に浄化するためのコトシロ立案の作戦がいよいよ始まりました。

果たして成功するのか?コトシロは生き残れるのか?

良かったらご一読ください!

何とか❷回投稿できました\(^o^)/

 発信の合図に合わせて飛び出したオオゲツヒに合わせて、マーガレットはモルゲンシュテルンの柄を握りしめて神光テラを注入すると、鎖がヨモツテンションを縛り上げられるように、一定のテンションと強度を保つように調整していた。

 コトシロもマーガレットと同様に、鎖に混ぜ込んだ自らの玉鋼タマハガネが千切れないように、伸びていくスピードに合わせて神光テラを注入していた。

 鎖の先端にある星玉をもったまま、オオゲツヒは凄まじい勢いで加速しながら、まず密集状態でワラワラと迫ってくるヨモツの右側面を飛び抜けていった。

 波打つ鎖がヨモツシコオの横っ面をかすめていったが、ヨモツたちは人々が避難しているシェルターの方向に向かって前に進むことしか考えていないのか、鎖に全く興味を示すことはなかった。

 小さい個体で体長2メートルにも満たないヨモツたちを一匹も取りこぼさずに一括りにするには、ある程度の勢いを維持したまま、鎖を地面に落とさずにぐるっと巻き付ける必要がある。

 ヨモツは黄泉大坂ヨモツオオサカから出て一直線にイズモ市民が逃げ込んだシェルターの方向に向かってきており、市街地から一気に押し返したとはいえ200mあまりに広がっていた。

 流石にトリフネが高速移動可能な鳥型神衣カムイでも、直径200メートルの集団を一瞬で鎖に巻き付けるのは不可能だった。

 ヨモツの右側面を飛び抜けてヨモツの集団の後ろに回ったオオゲツヒは、左に旋回を始めていた。

 しかしスピードに対して旋回の角度が足りておらず、このままの軌道では歪な楕円となってしまい、ヨモツを縛り上げることはできなくなっていた。


「ちょっ! オオゲツヒさぁ~ん! ここのままではぁ~鎖がぁ~ちゃんとヨモツに巻き付かないよぉ~」


 鎖に併せて融合した玉鋼タマハガネ神光テラを注ぎ込み続けていたコトシロが、このままではヨモツを縛り上げられないと悲鳴を上げた。


「ShutaFuxxup、コトシロ! 大の男がギャーギャー騒ぐんじゃないよ!」


 オオゲツヒは鎖を持った右手の手首を上に捻り上げた。

 すると、浮き上がった鎖が傍で歩いていた複数のヨモツを巻き込んで、締め付けていった。


「要はこいつらに鎖が巻き付きゃいいんだろ? 細工は流々仕上げを御覧じろってね! アワ!!!」

「はい、オオゲツヒ様」

速鳥ハヤトリを起動!」

「承知!」


 オオゲツヒの御霊ミタマアワが、神衣カムイトリフネに搭乗する自らの神衣カムイの背中に、ランドセルのように折りたたまれていた神装・速鳥ハヤトリを起動させた。

 速鳥ハヤトリ神光テラが注入されると一瞬光り輝き、神衣カムイの背中に折りたたまれていた骨組みが、左右対称に大きく広がった。

 背中に展開した速鳥ハヤトリは鳥の翼のような形をしており、その姿はまるで背中に翼を生やした天使のようだった。


「Wao! FuxxinCool!」


  神光テラを帯びて光輝く翼を羽ばたかせ、天空を駆けるオオゲツヒの姿に思わずナムチが感嘆の声を上げた。


「あのぉ〜見た目だけぇ〜カッコつけられてもぉ〜、鎖はまぁ〜ったく巻き付いて無いんですけどねぇ〜」


 息も絶え絶えの状態で鎖に神光テラを送り続けているコトシロが、嫌味たっぷりに批判の声を上げていた。


「ShutaFuxxup、コトシロ! 本番はここからだよ」

「ヒイィッ!!!」


 オオゲツヒはコトシロを黙らせると御霊ミタマのアワに再び指示を与えた。


「タイミングを頼むよ!」

「承知!……3、2、1、今です!」

「「RocknRoll!!! カシラニカイコナリ フタツノメニイナダネナリ フタツノミミニアワナリ ハナニアズキナリ ホトニムギナリ シリニマメナリキ コレヲトラシメテ タネトナシタマイキ」


 オオゲツヒが祝詞を唱えると、 神衣カムイの背中から生えた翼が金色に光輝き、一枚一枚の羽根から神光テラを鱗粉のようにして、凄まじい勢い後方に吹き出し始めた。

 すでにかなりの高速域に達して参加を始めていたオオゲツヒだったが、速鳥ハヤトリから噴出する神光テラの加速が加わり、さらに暴力的なまでに凄まじい速さで逆方向へ爆走を始めた。


「スゲェーな!!! FuxxinCool!!!」


 しかし、その美しいシルエットとは裏腹に、操縦席ではオオゲツヒが凄まじい加速に耐えながら、御霊ミタマアワに声を振り絞って指示を飛ばしていた」


「ぐうぅぅ、Damn……アワ……このまま……Fuxxinヨモツ共を……ぐるっと十把一絡げにするよぉ!!!」

「はい……承……知……」


 急加速しながら急転したオオゲツヒは大量のヨモツを凄まじい勢い巻き込んで引きずりながら、超高速で鎖を引いていった。


「Fuxx! モルゲンシュテルンを離すなよ!」


 爆発的な加速で文字通り吹っ飛んでいくオオゲツヒに対して、モルゲンシュテルンの柄を持って鎖をコントロールしていたマーガレットは急加速で引っ張られる鎖の勢いに思わず手が離れてしまいそうになっていた。


「……ペギー、大丈夫」


 マヒトツネは柄を握っていた両手を鎖で巻き付けて、手が離れないようにしていた。


「FuxxinBitxx!? いきなりぃ〜加速するなよぉ〜」


 悪態をつきながらもコトシロもなんとか玉鋼タマハガネを切ることなく、オオゲツヒの加速についていけているようだった。

 急加速で反転してきたオオゲツヒだったが、ヨモツの集団に鎖をぐるっと巻き付けるためには、もう一度転回する必要があった。

 このままではU字状態で後ろからヨモツたちを引き出すだけで、まとめて締め上げることができなくなっていた。


「やっぱりぃ〜シュミレートがぁ〜足りなかったかぁ〜? このままぁ〜神光テラを流してぇ〜後ろからひき潰しちまうかぁ〜?」

「コトシロ様、それだとヨモツの凡そ3割は残存すると思われます」

「マーガレット師団長ぉ〜、どうしますかぁ〜?」


 このままでは一括りに纏めるのは難しいと判断したコトシロが、次善の策としてU字にひき潰すことを提案した。


「それでヨモツの7割を浄化できるなら……」


 マーガレットが次善の策に同意しようとしたその時……


「ちょっと……待った!」


 急加速の加重に押しつぶされながら、オオゲツヒが通信を入れてきた。


「ぐうぅぅ……マーガレット! モルゲンシュテルンを持って……こっちに……こっちに走ってこい!!!」


 オオゲツヒはモルゲンシュテルンを持って鎖の支点となっているマーガレットに、鎖を持ったまま向かってくるように叫んだ。

 オオゲツヒが回転し切れずに円を描けないならば、支点となっているマーガレットがオオゲツヒに向かって移動すれば輪を閉じることができると言うのだった。


「マヒトツネ、いけるのか?」

「……予測演算……いけるよ、ペギー!」

「よし! コトシロ、アタシに捕まりな!!!」

「はぁ〜い! タマクシちゃ〜ん」

「マヒトツネ様、失礼します」


 貧血と神光テラの準備で動きの取れないコトシロに代わって、タマクシが神衣カムイをコントロールして、マーガレットの神衣カムイの背中に取り付いた。


「…ComeOn、マーガレット! 早く……しやがれ……!」


 高速で飛び続けて息も絶え絶えのオオゲツヒから催促の通信が入ってきた。


「ふんっ! さっきから人を呼び捨てにしやがって!? そこはマーガレット師団長だろうが、FuxxinBitxx!!! マヒトツネ!!!」

「……走行速度、飛び出す角度を計測……Now!!!」

「Yeah!!! オオゲツヒ、FuxxYo!!!」

「ちょっ!? オオゲツヒをブッ飛ばしちゃダメですよぉ~!!!」


GGGGGashaaaaaaannnnnNNNNN!!!!


 背中に飛び乗ったコトシロの叫びをかき消すようにマーガレットが、手に持ったモルゲンシュテルンを振り翳して、オオゲツヒに向かって走り出した。

 タイミングを合わせてオオゲツヒもマーガレットと交差するように進行方向を調整していた。


「ぐぬうぅ……アワ、速鳥ハヤトリを……」

「Roll……します」

「……FuxxinRoll……Baby!!!」


 マーガレットとオオゲツヒが交差することで、モルゲンシュテルンの鎖はヨモツをグルッと囲みこんだ。

 直径60メートルの巨大な鎖の輪の中にほとんどのヨモツたちを巻き付けて、オオゲツヒとマーガレットは交差する瞬間、神衣カムイの手を合わせてタッチした。


「……マーガレット師団長・・・、あたしの仕事はここまでだよ!」

「ふんっ! オオゲツヒ、デカい口を叩くだけのことはあるじゃないか。 あとは任せな」

「RocknRollだぜ!」


 オオゲツヒはすれ違いざまにマーガレットにそう告げると、鎖を持ったままマーガレットの左後方に飛び抜けていった。

 オオゲツヒとは逆方向に走り抜けていくマーガレットにヨ、モツを囲んでいるモルゲンシュテルンの鎖の輪が急激に締め付けられ縮まっていく。


Gaaaaassssssshhhhhhhhhaaaaaann!?


 マーガレットは高速で走り続けながら、背中で待機しているコトシロに合図を送った。


「コトシロ、最善の準備はできたぜ! ありったけの神光テラをぶちかませ! KickTheirAxx!!!」

「はぁ〜い、でもぉ〜僕はぁ〜Kickよりぃ〜Kissのタイプなんですけどねぇ〜」


 マーガレットからの合図を受けたコトシロは、ぶつぶつと文句を言いながら鎖と同化させていた玉鋼タマハガネに元々の姿である剣・天逆手アマノサカテとしての形状を呼び起こさせた。


「タマクシちゃ~ん、いっくよぉ~!」

「コトシロ様、神光テラ最大出力で放出します!」


 神衣カムイの操縦席の左右に置かれた思念を送るための球状の操縦桿がコトシロの思念を受けて淡く輝き出すと、その中心に勾玉が浮かび上がってきた。

 淡い光はコトシロの腕から全身へと広がっていった。


「あばばばば……こ、こ、ここりゃ~脳が焼き切れそうだわぁ~」

「コトシロ様、気をしっかり!」


 コトシロの思念を変換した膨大な神光テラが逆流してコトシロにも流れてきているようだった。

 コトシロには幼子を抱く美しい母親の姿、そしてその母親から引き離される絶望的な悲しみ、真っ暗な中で静かに眠りつく瞬間、誰のものともわからない様々な記憶が走馬灯のように脳裏に現れては消えていった。


「……これはぁ~誰かの……記憶ぅ~?

「コトシロ様、しっかりして下さい! 血が!?」


 ふと気が付くとコトシロは鼻から血を垂れ流していた。


「なんだ……これは……???」


 コトシロは鼻をこすって手についた血を眺めて、一体、何が起きているのか、我を忘れたようになっていた。


「コトシロ、FuxxinWakeup、Axxhole! 神光テラをぶちかませぇー!!!」


 一瞬、意識を飛ばしかけていたコトシロだったが、マーガレットの一喝で目を覚ました。

 コトシロは頭を左右に大きく振って目を覚ますと、顔を上げてタマクシに指示を出した。


「タマクシちゃ~ん、神光テラ最大放出!!!」

「コトシロ様、いけます!」

「カゲマクモアヤニカコキ ツミハヤヘコトシロヌシノオオカミノオオマヘニ」


 コトシロが祝詞を朗々と唱えあげると、ヨモツを縛り付けていた鎖が輝きを増していった。

 鎖の輝きと比例するように、鎖で縛り上げられていたヨモツから黒い煤が凄まじい勢いで上がっていた。


「コトシロ、オオゲツヒ、一気にきめるよ! あたしが合図したら一気に神光テラを注ぎ込んだ鎖を締め上げる」

「言われなくてもあたしはこのままブッ飛ぶだけだよ!」

「こっちはぁ~もうすでにマックスですからぁ~いつでもどうそぉ~……ところで合図ってぇ~なんですか?」


 いつでもどうぞといいながら、心の準備が必要だとコトシロが至って真面目に合図を聞き返した。

 マーガレットはニヤリと笑うとさも当然という様子で答えた。


「そんなの決まってるだろう」

「あれだな!」

「はい?」

「「FuxxYo!!!」」


 マーガレットとオオゲツヒは当然とばかりに叫ぶと、さらに輪を閉じるように、それぞれ逆方向に加速した。


「はあぁ? そんなのぉ~知らねぇ~しぃ~!!!」


コトシロは突然のスタートに文句を言いながらも、一瞬遅れて神光テラをさらに鎖にこめていった。


「ツミハヤヘコトシロヌシノオオカミノオオマヘニ……」


 するとヨモツを締め付けていた鎖は神光テラを注ぎ込まれてさらに輝きを増し、ヨモツを真っ二つに引き裂いて浄化した。

 さらに引っ張られた鎖が、その輪を縮めていくと、浄化されたヨモツの後ろにいたヨモツを引き裂き、さらに後ろと、次々と圧し切って浄化していった。


「アマツマーラ! アマツマーラ! アマツマーラ!!!」

「コレヲトラシメテ タネトナシタマイキ」


さらにマーガレットとオオゲツヒも鎖を引っ張りながら、コトシロを支えるように鎖に神光テラを注いでいった。

 3人の神光テラを帯びたモルゲンシュテルンの鎖は、ヨモツシコメやヨモツシコオなど数千体のヨモツを次々と真っ二つに引き裂きながら、全く勢いを衰えさせることなくに一気に浄化していった。

 鎖が完全に引ききられ、輪ではなくマーガレットとオオゲツヒを結ぶ直線となったとき、黄泉大坂ヨモツオオサカから出現したおよそ1万人にもおよぶヨモツは一気に浄化され黒い煤へと消え去っていた。

 そこには真っ暗で底の見えない黄泉大坂ヨモツオオサカの巨大な大穴だけが、ぽっかりと地面に大口を空けていた。


「Yeah!!! ハクト、やったよ! ヨモツを一気にやっちまったよ!!!」

「ええ! やったわね!」


 モルゲンシュテルンの鎖の輪から逃れたヨモツシコオを各個撃破で浄化していたナムチが、作戦成功を目の当たりにして喜びの声を上げた。


「ふぅーどうやら作戦は成功だね」


 モルゲンシュテルンを手元に戻しながらマーガレットが安心したように声を上げた。


「……周囲に十数体のヨモツが残存。 取りこぼしは少数」

「あれだけの数の中から、残っているのが10体くらいならNoProblemaだよ」


 周囲の索敵を終えて報告してきたマヒトツネに、マーガレットが機嫌よく相槌を打った。


「マーガレット師団長、残ったヨモツはこっちで片付けます。 ナムチもいくよ」


 マーガレットとコトシロの神衣カムイを守りながら、ナムチと同じように輪から逃れたヨモツシコメを各個撃破していたミナカタが、ナムチにも声をかけて取りこぼしたヨモツの掃討にむかった。


「おい、コトシロ? 生きいてるか?」

「……なんとかぁ~生きているみたいですぅ~……もう神光テラはおろかぁ~鼻血も出ないですけどねぇ~」

「コトシロ様、鼻血はさっき出していましたが?」


 マーガレットからの通信に青い顔をして鼻の下に血を拭った跡をつけたコトシロが、タマクシの真面目なツッコミにぐったりした表情で声を出さずに笑っていた。


「ハハハ! コトシロ、帰還したら好きなだけ休ませてやるよ」

「ついでにぃ~血になる美味い肉も頼みますよぉ~」

「ああ、ヤマト中央から取り寄せた極上の生肉を届けてやるよ」

「おぉ~マジかぁ〜!!! 肉喰いてぇ~!!!」


BeepBeepBeepBeepBeepBeep!!!


 マーガレットがご機嫌な様子でコトシロに極上の肉をやると言ったそのとき、けたたましい警戒音が全ての神衣カムイの操縦席に響き渡った。


「WhataFuxx!? マヒトツネ、どうした? 」

「……黄泉大坂ヨモツオオサカから大質量の何かが出てくる? FuxxinBig!?」


GohGoGoGoGGGGGGGGGGoooooooooohhhhhhhhh!!


 黄泉大坂ヨモツオオサカの真っ黒な巨大な穴の底から突如現れた巨大な爪を持った腕が、ミチミチと音を立てて、黄泉大坂ヨモツオオサカの穴を押し広げるようにして地面に爪を喰い込ませながら、何かとてつもない巨体を地上に現そうとしていた。

読んでいただき、ありがとうございます。

良かったらブックマークや評価、いいねもお待ちしております。

執筆の励みになります。

次の戦いが、ナムチの章の最後の戦いになります。

なるべく早く続きを投稿したいと思っています……

思ってはいるので、気長にお待ちください(>人<;)

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