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第1章 ナムチとハクト そして……

ちょっと短いですが、時間ができたので新規投稿します。

書き溜めていたのをコピペと思ったんですが、いざ投稿しようとすると直したくなってしまいます……

 イズモ師団司令部で漸く作戦会議が終わろうとしていた頃、ナムチはひとり神衣カムイの格納庫に来ていた。

 格納庫では作金者カナダクミたちが、あすのヨモツとの戦いに向けて徹夜で神衣カムイの整備を進めていた。

 ナムチは作金者カナダクミたちに話かけることもなく、ただぼーっと自分の神衣カムイを眺めていた。


「こんな夜中にどうしたんだい?」


 突然やってきた声もかけることもせずにいるナムチに、いつの間にか後ろにやってきたハクトが声をかけた。


「うーん……なんとなく来ちゃった」

「WhataFuxx! なによそれ? あたしら彼氏彼女じゃないんだらか」


 はにかんだ笑顔をみせながら、妙に寂しそうに言うナムチを、ハクトが揶揄って笑った。


「確かに! 今朝、キマタやミイと別れて、俺、ちょっとおセンチになっっちゃってるのかな?」

「フフっ……ナムチらしくないわね。 でも、そういうのも人間ぽくって、あたしは嫌いじゃないわよ」

「人間っぽい? 俺が?」


 ナムチは驚いたように声を上げた。

 記憶の無いナムチは、これまでスクナの他に親しくなった人間がいなかったため、本当に身近な、親しい人との別離を今回、初めて経験したのだった。

 ナムチは情や愛という感情を理屈では理解しているつもりだったが、今、自分が感じているもやもやとした感情がなんなのかよくわからなかった。


「ナムチ、あんたは今、寂しいと思ってるのよ」

「これが寂しい気持ち……」

「失いたくない、離れたくないと思っている相手と、どうしても別れなければならないときに感じる感情よ」

「俺はキマタとミイと別れたくないと思っている?」

「家族になったんでしょう? なら当たり前じゃない」

「……そう……なのか?」


 ナムチは俯きながら自分の胸をその手で押さえて呟いた。

 ハクトはそんなナムチの姿をみて、フッと笑顔を浮かべると訊ねた。


「そんなもやもやした気持ちになるなら、家族になんてならなきゃ良かった?」

「……いや。 あいつらと一緒にいるときの温かさや嬉しさはとても心地よかったから、家族になったことを後悔はしていないよ」

「なら、今、感じている寂しさの分だけ、次に再会したときに喜びも大きくなるんじゃない」

「そういうもんなのか?」


 ナムチはよくわからないといった表情でハクトをみると、寂し気に笑ってみせた。

 ハクトはそんなナムチを眩しそうに見返すと言った。


「そういうもんなんじゃない。 まあ、あたしにもわからないけど」

「なんだよ、偉そうにして、ハクトにもわからないのかよ! DontFuxxwizMe!」

「YoFuxxYorSelf!」


 言い合いながらナムチとハクトは顔を併せて笑った。


「あの子たちにまた逢うためにも生き残らなきゃね」

「ああ、そうだな! ハクト、頼むぜ」

「WhoDaFuxxarYoTalkinbout! ナムチ、あんたがドジ踏まなきゃ大丈夫よ」

「ScrewYo! そっちこそドジ踏むなよ」


 目の前に立つ神衣カムイが、楽しげに言い合い続けるナムチとハクトを、ただ黙って見つめているようだった。


新記ヤマト五拾壱年長月廿三日、神光テラに照らされ、地上からは月はおろか星すら見ることのできない夜空の中天に、満ちた月がかかったとき大地にそれは現れた。

 イズモ師団本部から南西約2キロ、地表にぽっかりと空いた直径200メートルを超える巨大な黒い穴。

 穴の中を覗き込んでも、深淵の先に何があるのか全く窺い知ることもできなかった。

 その穴の真っ暗な奥底から、大量の何かが音もなく地上に這い上がってきていた。


Grrrrruuuuuaaaaaa!


 巨大な穴・黄泉大坂ヨモツオオサカから這い出してきたのは、数万体にも及ぶヨモツシコオやヨモツシコメだった。


読んでいただき、ありがとうございます。

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