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第1章 告白

 突然やってきたイヴァにナムチは食堂で話をしようと伝えた。


「スクナを呼んでくるから、食堂で待っていてくれるか」


「わかったわ」


 イヴァはそう返事をすると、ナムチに食堂の場所を聞いて出て行った。


「変わらないな」


 ナムチは訓練生時代と同じように、余計なことは言わずに淡々と物事を進めるイヴァを、懐かしく思いながらスクナを呼びに向かった。


 同じフロアにあるスクナの部屋に着くと、ドアの前で声をかけた。


Knock Knock


「おいスクナ、起きてるか?」


「……」


 部屋からは返事がない。

 ナムチはもう一度声をかけてみた。


「スクナ! いるんだろ?」


「……」


 やはり部屋の中から返事は無かった。


「もう寝ちゃったのか? おーい、スクナ!」


 そう言いながら何気なくドアノブに触れて回してみると……


GaChaRii


 どうやら鍵はかかってないようだった。


「スクナ、入るよぉ〜」


 声をかけながらナムチは扉を開けてスクナの部屋に入った。

 中はナムチと同じ間取りの部屋だったが、綺麗にかたずけられて整頓されていた。


「おーい、スクナ! いないのか?」


 ナムチがキョロキョロと部屋を見回してみたが、ベッドにも姿はなくスクナはいないようだった。


「スクナの奴、どこに行ったんだ?」


 仕方なくナムチは主人のいない部屋で、ベッドに腰掛けて待つことにした。


 備え付けの小さなデスクには、訓練生の頃に撮ったナムチとスクナの写真が置かれていた。


「懐かしいな……ってまだ1年も経ってなかったか」


 ナムチが訓練生時代を懐かしんでいると、入り口から声が聞こえてきた。


「なに勝手に人の部屋に入ってんの?」


 ナムチが声のした方を見ると、部屋の入り口に濡れた髪をバスタオルで巻いたスクナが立っていた。


「よっ! おかえり、スクナ」


「おかえりじゃないよ! 人がシャワーを浴びてる間に勝手に部屋入るなよ」


 シャワーをあびてきたスクナはTシャツに短パンというラフな服装だった。


「悪い悪い! なんかイヴァが話がしたいってやって来てさ」


「イヴァが?」


「あぁ、とりあえず食堂で待たしてるから、用意が出来たらきてくれよ」


 イヴァの件を伝えると、ナムチはベッドから立ち上がり「先に言っている」とスクナの部屋を出て行こうとした。


「ちょっと待って、ナムチ」


「えっ!? どうした?」


 スクナがナムチを呼び止めた。


「……イヴァと話をする前に言っておきたいことがあるんだ」


「なんだよ改まって」


 ナムチは再びスクナのベッドに腰をかけた。

 部屋に入ってきたスクナは簡易冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを2本出すと、1本をナムチに投げて寄こした。


「おっ! Thanks」


 ナムチは受け取るとキャップを開けて一口飲んだ。

 スクナも黙ってキャップを開けると、ごくごくと半分ほど飲み干した。


「なんだよ、風呂上りで喉乾いてたのか?」

「うん、まあ、そうかな」


 そう言いながらデスクに備え付けの椅子に腰掛けたスクナは少し緊張しているようだった。


 イヴァがやってきたのは、自分がヤマト中央に帰還することと関係があるとスクナは思っていた。

 帰還を決めたことをスクナはまだナムチに言えずにいた。

 夕食を共にしたコトシロやミナカタは知っていたのかもしれないが、彼らもそのことに触れることはなかった。


 スクナは夕食のときにも何度も伝えようとしたが、何か言いだし辛くなってしまい、後で、後でと先延ばしにして、ここまできてしまった。


「それで話ってなんだ?」


 ナムチはいつもと変わらず、ニコニコと笑いながらスクナを見ていた。

 時間はもうないここで伝えよう、スクナは意を決して話し始めた。


「あのナムチ、僕は……その…」


「あっ!? そーいえば俺からもスクナに話があったんだよね!」


「えっ!?」


 スクナがなかなか言い出せずにいると、突然、ナムチが別に話があると言い出した。


「スクナ、ヤマト中央に帰ったらキマタとミイのことを頼むよ!」


「えぇ!? なんで……」


 ナムチはスクナがヤマト中央に帰還することを知っているかのように話し始めた。


「いやぁ~ヨモツとの戦いが終わっても、俺はすぐにヤマト中央には行けないだろうし、マーガレットのBBAババアはイマイチ信用できないだろう? だからスクナに色々と頼んでおこうと思ってさ」


 ナムチは軽い調子でスクナに戦いの後のキマタやミイのことを頼み始めた。


 そう言ってナムチは笑った。


いやぁ~俺はヨモツとの戦いが終わっても、すぐにヤマト中央には帰れないだろうし、マーガレットのおばちゃんはイマイチ信用できないだろう? だからスクナに色々と頼んでおこうと思ってさ」


 ナムチは相変わらずニコニコと笑いながら、スクナにヤマト中央に連れて行かれるキマタやミイのことを頼み始めた。

 焦ったスクナはナムチを制止して言った。


「ちょっと待って! 僕はナムチにヤマト中央に帰還するって話してないよ!」


「そうだっけ?」


 帰還の話はしていないと焦って訴えるスクナに、ナムチは驚いた様子も見せなかった。


「なんで知ってるの?」


「うーん、食事中もなんか言いたそうにしてたし、さっきも真剣な様子で言いづらそうしてたから、スクナはヤマトに帰るって決めたんだと思って」


「Whatz? 僕の様子を見て気づいたって言うの?」


「まぁ、そんな感じ。 残って一緒に戦うならそんな言い難くないでしょう」


「それはそうかもしれないけど……」


「一緒に戦えないのは残念だけどな」


 そう言ってナムチはアハハと笑った。


 普段は空気が読めなくて周りを怒らせてばかりいる癖に、こういう時には妙に勘が鋭くなって気を使ってくる。

 ナムチは昔からそういう奴だった、とスクナは今さらながらに思い出していた。


「ナムチ、君の言う通り僕はヤマト中央に帰ることにしたよ。 だからキマタとミイにも出来うる限りのことはするつもりだ」


「おう! 宜しく頼むぜ!」


 屈託ない笑顔を見せるナムチに、スクナは改めて尋ねた。


「ナムチは怒っていないの? 一緒に戦おうとしない僕に……」


「へっ?」


 ナムチはスクナの質問に、何か理解できないようにキョトンと間抜けな顔をした。


「なんで怒るんだ? スクナが自分で考えて、それが正しいと決めたことだろ? だったら俺はそれを信じるよ」


「ナムチ……」


「そりゃ一緒に戦えたら頼もしいけど、決めるのはスクナだし、スクナが決めたことに俺は文句を言わないよ」


 スクナは自分が思っている以上に、ナムチが自分のことを信頼して尊重していてくれていることに気が付いた。


「ありがとう、ナムチ。 僕はやっぱり知りもしないイズモの人たちを守るために、自分の命を懸けるのは何か違うと思ってしまうんだ。 だからヤマト中央に帰るよ」


「そうか、わかった」


 ナムチとスクナはお互いの右手の拳を軽くぶつけ合って笑いあった。


「……遅い」


 その頃、食堂の前では鍵が閉まっていて中に入れなかったイヴァが、待ちぼうけを食わされて寂しく佇んでいた。


 最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

 なんとか連日投稿できました!

 しばらく不定期投稿になりますが、ご容赦ください。


 少しでも面白かった、続きが気になると思って頂けましたら、ブックマークや評価をお願い致します!

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