第1章 通信
ちょっと短いですけど、今日はアクセスが多かったので更新しちゃいます!
「FuckinTooBad! スクナ、時間切れだよ」
PiPiPi、PiPiPi、PiPiPi……
マーガレットがナムチたちに攻撃を仕掛けようとしたそのとき、共通無線で全員に対しての一斉通信が入った。
通信は訓練を見物していたコトシロからだった。
「WhataFuck?? コトシロ、戦闘中だよ!?」
「あっあぁ〜マーガレット師団長? 聞こえますぅ〜? 訓練中にすみませぇ~ん。 ちょっとぉ〜確認したいことがありましてぇ〜」
いつもと変わらぬコトシロの話し方に、マーガレットは苛立ちを隠さなかった。
「WhatFuckYoWant? 早くしろ!」
「いえねぇ〜この"訓練"はナムチの神光を覚醒させるためですよねぇ~?」
「そうだけど?」
マーガレットが苛立っていることに気がついているにも関わらず、コトシロはいつものように間延びした話し方を続けた。
「じゃあぁ〜もう"訓練"の成果は出ているのではないですかぁ~?」
「……そうかもね」
「ではぁ〜どうして"戦闘"を続けようとしてるのですかぁ~?」
「ふんっ! そんなの決まっているだろう!」
「はいぃ~?」
「ここで"戦闘"をやめたら、アタシがつまらないからだよ!」
コトシロは一瞬押し黙ったあと、いつもと同じ調子で続けた。
「……あぁ〜そうですかぁ~……う〜ん……すまんなぁ~スクナちゃ〜ん、俺には止められなかったわぁ~……通信終わりまぁ〜す」
「えぇっ!? コトシロ先輩!? ちょっと……」
驚くスクナの声が聞こえていたが、言うだけ言ったという体で、すぐに説得を諦めたコトシロは通信を終わらせた。
「ちょっと待ちなさいよ! それで終わり!?」
コトシロと一緒に訓練を見ていたミナカタが、思わずツッコんだ。
「コトシロ、あんた一応は副師団長でしょう! マーガレット師団長の暴走を止めるのは、あなたの役目でしょう?」
「いやぁ〜俺なりに頑張ったよ。 いちおう」
イズモ方面第3師団に所属する神衣主の中では、マーガレットに次いで年長者のコトシロは副師団長に任じられていた。
少数精鋭といえば聞こえが良いが、単に人数の少ない師団では様々なことを兼任させられていた。
「いやぁ~、だからぁ~お止め申し上げたよぉ~俺は、でもマーガレット師団長があそこまでやる気になっちゃねぇ~」
「そんな、いい加減な!?」
ミナカタはコトシロのやる気のない態度に苛立ちを隠さなかった。
「それを言うならぁ〜ミナカタ監察官も師団長をお諫め申し上げれば良いのではぁ~?」
ミナカタはギクッとしてコトシロを見つめた。
「……知ってたの?」
「まぁーねぇ~少数精鋭のヤマト帝国軍は何かしら兼務させられているからねぇ~」
「……否定はしないわ」
ミナカタは、ある理由があって、自ら志願してイズモ方面第3師団に配属されてきた。
そのときに配属の条件として出されたのが、マーガレット師団長とイズモの監察と報告だった。
「わざわざ曰くつきのイズモにくるなんてぇ~、まともな神衣主じゃないでしょ~?」
「……どこまで知ってるの?」
「一応、副師団長になのでぇ〜身上経歴くらいはぁ〜」
「そうなの……」
ミナカタは鋭い目付きで睨みつけてきたが、コトシロは些かも動じることは無かった。
「別にぃ〜誰にも公言するつもりはないのでぇ〜」
ミナカタは、ここで言い訳をしても仕方がないと、コトシロの言うことを否定しなかった。
「けれど、今の問題はそこではないわ」
「そうだねぇ~。このままじゃ、期待の新人くんたちがつぶれちゃうねぇ~」
「他人事みたいに!何か手はないの?」
「うーん……こっちよりもぉ~そっちに手があるんじゃなぁ~い?」
「えっ?」
PiPiPi、PiPiPi、PiPiPi
「ミナカタ、軍用の秘匿回線で緊急通信です」
ミナカタの神衣の御霊ヤサカが通信が入ったことを伝えた。
「ほらきたぁ~救いの手が! あとはまかせるよぉ~」
「ちょっと!?」
そう伝えるとミナカタの話も聞かず、コトシロは通信を切断した。
「ミナカタ、秘匿通信はどうしますか?」
再び尋ねるヤサカにミナカタは通信をつなぐように伝えた。
「こちらはヤマト近衛師団のタケ・ミカズチである」
このタイミングでタケ・ミカヅチ近衛師団長から緊急通信とは、偶然にしてはいささか調子が良すぎるわね、あのキツネ野郎、ミナカタはそんな心の声を押し殺して通信に応じた。
「はっ! こちらは出雲方面第3師団のミナカタ監察官であります」
「ミナカタ監察官、あまり時間がないのである。
急ぎ現在地を報告するのである」
「現在位置は哨戒ポイント①であります。正確な座標は……」
マーガレットとスクナが相対している裏側で、別の事態が動き出していた。
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