第1章プロローグ
Fワードなどを造語に変更、文章も一部書き直してアップしなおしています。2022年3月25日追記
「ModaFuxx!?」
突然の衝撃に驚き、ナムチは操縦席で叫んだ。そんな驚きの声に反応することもなく、感情のない声が返事をする。
「ヨモツシコオ、直下の黄泉平坂から出現。迎撃を」
「Gaddemm、ハクト! んなことぁもうわかってる!?」
「それと……あたしはあなたのママとはしていない」
「そんなこと言ってる場合か? だったら誰としてんだよBitxx!」
「……あなたじゃないことは確かね」
眼前には足元にできた黄泉の世界の入口・黄泉平坂から現れた異形の化け物・ヨモツシコオが、腐臭をまき散らしながら大口を開け、半身を地上に現して、今にもナムチが搭乗する機械人形・神衣につかみかかろうとしていた。
「ヨモツシコオの攻撃行動を確認。 一時、後退を推奨」
「FuxxOff!?この状況で後退できるかって!?」
崩れた建物や壊れた自動車などが転がる荒廃した旧時代の市街地跡で、7メートル程の機械人形・神衣と、暗い穴から這い出してきた人によく似た異形の化け物・ヨモツシコオが対峙していた。
ナムチは操縦席横にある球体状の操縦桿を強く握り、目の前に迫るヨモツシコオに、神衣の拳を叩きつけるように動かした。
神衣はその黒く光る神鉄の右腕を前に突き下ろした。
「SuckMyFuxxinDixx!」
神衣の右拳が大口を開けて迫るヨモツシコオの顔面を殴りつけた。
GuCChaaaaa!?
神衣の拳は異様な音とともに、ヨモツシコオの腐った頭蓋骨をブチ破った。
Fuxx!突き抜けちまったとナムチが思っていると、突き破った顔面から飛び散った腐汁が神衣に降りかかった。
「いやぁー!身体が汚れる」
ハクトと呼ばれた女性が嫌悪感を隠さずに叫んだ。
ナムチが座る操縦席にも腐った肉の悪臭が漂ってきた。
「FuxxinStinxx! クッセッ! これ誰が洗うと思ってんだよ」
「腐った頭をぶち抜いたのはナムチでしょ?」
ナムチが苛立って答えると、ハクトが自業自得と言わんばかりに言い返した。
「それに、神衣の浄化も主たる神衣主のお仕事」
「ShutYoMouth!」
冷静に答えるハクトの言いざまに、ナムチは苛立ちながら「黙れ!」と叫んだ。
Vaaaaannnmmm!!!
戦闘中にも関わらず操縦席で言い合いを続けるナムチとハクトに構うこともなく、頭部を突き破られたヨモツシコオは、破壊された部位を再生しながら神衣の腕に食いついてきた。
黄泉返った死者の怪物であるヨモツは、頭を失おうが心臓を潰そうが、たとえバラバラに引き裂かれても活動を停止することはない。
自己再生を繰り返し乍ら徘徊し続け、ただ周囲にある生き物を捕食しようと襲ってくる。
「うぅっ……右腕の感覚が気持ち悪い」
神衣は玉鋼と呼ばれる特殊な金属で作られているため、基本的にはヨモツシコオに喰われて吸収されることはない。
しかし、腕をカジカジとかじられる感覚は神衣に宿る意思をもつ制御AI・御霊のハクトにとって気持ち良いものではないようだった。
「なら協力しろよ、ハクト!」
この世界で既に死んでいるヨモツを消滅させる唯一の方法は、オオヒルメの塔から照射される神なる光「神光」で浄化するしかなかった。
ナムチはあまり協力的ではない自分の神衣に宿る御霊ハクトに協力するように命令した。
「はぁ……了解」
渋々といった様子でハクトが答えると、神衣の左掌に鏡のような装飾が現れた。
ヨモツシコオは、右腕を口に咥えたまま、自分の新しいが神衣の拳で突き抜けることも意に返さず、腐汁を飛ばしながら声にならない雄叫びを上げて、ナムチの搭乗する神衣に掴みかかってきた。
死者の化け物・ヨモツにあるのは生き物を取り込み、自らの糧とすることだけだった。
そのためには傷を負うことはおろか、身体が崩れることも厭わない。
他の生物を取り込めばすぐに再生するだけであり、そもそも痛みなどの感情も持っていないようだった。
ヨモツにあるのはただ他の生き物を取り込んで吸収し、さらに強く巨大な化け物になることだけだった。
ナムチを襲ったヨモツシコオはまだ人の形を保っており、そこまで異形化が進んではいないようだったが、動くもの、生き物を捕食しようという本能に従って襲いかかってきていた。
ナムチは右拳をヨモツシコオの口から引き抜こうとしたが、突き抜けた拳が再生された頭にガッツリとはまって、引き抜くことができなかった。
「Sxit! 腕が抜けねぇ!?」
ナムチの神衣を押し返しながら、黄泉平坂から地上へ完全に姿を現したヨモツシコオは、右拳を口咥えた状態のままでさらに突進してきた。
「Vraaaaaaaaabub!?」
「ハクト、押し返せ!」
右拳を咥えたヨモツシコオの雄叫びが響く中、ナムチは操縦席に置かれた宝玉を握って御霊ハクトに指示を飛ばした。
さらにヨモツに咥え込まれた神衣の右腕を振り上げ、左掌の鏡を突っ込んでくるヨモツシコオの胸のあたり当てるように思念を送った。
「Go!FuxxYoSelf!!」
ナムチが叫んだその瞬間、左掌の鏡から眩いばかりの神光が照射されヨモツシコオの胸を照らした。
すると照らされたヨモツシコオの胸は、ボロボロと黒い煤のようになって崩れ始めた。
雄叫びを上げていたヨモツシコオの瞳から徐々に輝きが失われていくと、ゆっくりと動きを止めた。
ハクトがその様子を確認して答えた。
「ヨモツシコオの活動の一時停止を確認。」
「YaHoo! 殺ったぜー!」
ナムチは操縦席で喜びの声を上げた。
しかし、喜ぶナムチにハクトは落ち着いた声で警告した。
「まだよ。 油断しないで、一時停止しただけよ」
「神光でぶち抜いたんだから浄化終了だろ?」
「さあどうかしら?」
動きを止めたヨモツシコオの胸には、神光の浄化によって出来た大きな穴が空いていた。
その穴は煤化しながら徐々に広がっていっていたが、突然煤化が止まった。
「警告。ヨモツシコオの完全浄化に失敗」
至近距離で神光を浴びせたため、光が直接当たった胸部以外の浄化に失敗したのだ。
濁った瞳に再び暗い光が灯ると、ヨモツシコオが再びゆっくりと動き出した。
「……ToldYo」
ハクトは浄化が失敗することを見越していたように、得意気にナムチに告げた。
「FuxxYo! 今、そんなこと言ってる場合かよ!?」
焦ったナムチの叫びが操縦席に響いた。
再び動き出したヨモツシコオは、口に右拳を加えたまま、腕を滑るようにして突進してきた。
「VraaaaaaaaabubShuShurrraaa!?」
ナムチは咄嗟に神衣の左拳でヨモツシコオを振り払うように殴りつけた。
殴られたヨモツシコオは空いていた胸部の大穴から砕け散った。
突進してきていたヨモツシコオは、悪臭と腐汁をまき散らせながらバラバラに崩れ、腐った腐肉が神衣に降りかかった。
「Oh!Sxit!?」
ナムチの搭乗した神衣は、再びヨモツシコオの腐った体液まみれになり、悪臭は操縦席の中まで漂ってきた。
ナムチはあまりの臭さに思わず吐きそうになって口元を押さえた。
さらにバラバラに砕けたヨモツシコオは、体は上半身と下半身に別れ、腕や足も千切れた状態だったが、それでもまだモゾモゾと蠢いて再生しようとしていた。
首から下がもげてた頭部は、神衣の右腕に残ったままでガチガチと歯を立てて齧り付いていた。
「うぅ……気持ち悪い」
「……それはこっちのセリフだよ……おぇー!?」
ナムチはハクトのつぶやきに答えながら、悪臭とあまりに醜いヨモツシコオの姿を見てたまらず嘔吐した。
「Sxit! ちょっと汚れた操縦席もちゃんと綺麗に掃除しなさいよ」
「うゲェーっ! その前にアレの始末だろ」
自らの嘔吐物にまみれながら、ナムチは神衣の右腕に食いついたヨモツシコオの頭を、左手で引きちぎるとポイっと投げ捨てた。
体を再生させようと蠢いていたバラバラになった手足や体の上に落ちたヨモツシコオの頭は、傍にあった自分のちぎれた腕や足を喰らい始めた。
「Fuxxin化け物は見境ねーな」
「それがヨモツっていう化け物だからね。 それより今度こそ失敗しないでよね」
ハクトはナムチに嫌味たらしく言うと、神衣の右掌に左掌と同じ鏡の装飾を出現させた。
「Fuxxoff! わかってるよ!」
ナムチはハクトに応えると、神衣の両掌を地べたで自らの腕や足を喰らって蠢くヨモツシコオに向けた。
「FuxxYoBitxx!」
ナムチが操縦席で叫ぶと、神衣の両掌から先ほどよりも更に眩い神光が照射され、ヨモツシコオを照らした。
「……前から思ってたけど、神光を照射する掛け声が「FuxxYo」ってどうにかならないの?」
「あぁ〜ん? ちゃんと照射できてんだからいいだろ!」
「ちゃんとねぇ……」
ナムチとハクトが言い合いを続ける中、神光を浴びたヨモツシコオはボロボロと煤化して消えていった。
「……ヨモツシコオの完全条件を確認」
「Yea! 今度こそちゃんと殺ったぜ!」
「ちゃんとできてたかどうかはあれだけどね」
「ShutaFuxxup! 結果AllRighだろ!?」
ナムチはハクトの指摘に不貞腐れたようにそっぽを向いた。
ナムチは気が付いていなかったが、浄化を終えた神衣の右掌に浮き出ていた鏡にはうっすらとひび割れが入っていた。
ナムチはどうにかヨモツシコオを浄化することができたが、ヨモツの腐汁に塗れた神衣の悪臭と、ナムチが嘔吐した汚物は消えてはいなかった。
「ゲロくさっ!? Gerrroooooo!」
ナムチはあまりの悪臭に再び嘔吐した。
「ナムチ、機体と操縦席を清掃は自分でしなさいよ!」
ナムチに労いの言葉をかけることもなく、ハクトは淡々と指示した。
「それとさっきからずっと司令本部から通信が入ってるけど、戦闘中だから無視したわ」
「What?」
「なんか定時連絡がどーとか、通信無視は懲罰だとか言ってるけど?」
ナムチが口についた汚物を手で拭いながら、顔を青くしていた。
「ヨモツと戦闘中ということは?」
「そんなの伝えられる訳ないじゃない。 戦闘中なんだから」
「ですよね……」
ナムチがどう言い訳をするべきか考えていると……
「あっ!? ほらまた通信きたよー! 今度は緊急回線だ……GPSで位置を把握して、救助部隊を送るって! ナムチ、早く返事しないと」
操縦席にはナムチの悲しい叫びが木霊した。
「FeelSoFuxxedUp!?」
80〜90年代のオタク・サブカル時代に育ったアラフィフのおっさんが、自分の趣味嗜好を満載にした小説を書いてみました。
とりあえず半分くらいまで書き溜めたので、少しずつ投稿していきたいと思います。
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