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王女クルル
というか、よくこいつは鼻をつまむだけで店に入れるな。普通だったら鼻をつまむことはおろか、意識を持ってられるかってとこだぞ。
「おい、お前。よく鼻をつまむだけでいれるな」
「いや、大したことないですよ。ずっと鼻に浄化魔法をかけているだけですよ」
いや大したことないわけがないんだが・・・。
「そういう店主さんこそ鼻をつまむことはおろか普通に呼吸してますけど・・・」
「年期の違いってやつだよ。慣れれば問題ない。それで買ってくの・・・」
ゼータはキマグレ草を指差す。
しかしクルルは首を振った。
「私たちにそんなお金はありません---」
長いため割愛するが、要は100年以上も続く魔王との戦争において、金はいくらあっても足りない。国の政治に加え、戦時費用を考えれば、勇者であろうと娘が賢者であろうと彼らに与えられる金など無いに等しいのだ。
「なるほどね。この国もそろそろ終わりかな」
ゼータは背中を倒す。
「いえ、終わらせません。この国の王女として勇者パーティーの賢者として断じてそのようなことは起こさせません」
まぁせいぜい頑張りな。