修行帰り新しい一日
――ガチャ
勇気はとりあえず家に帰った。出来たてほやほやの彼女を連れて。勇気は実家から学校に通ってるのではなく、安いアパートから通っている。一人暮らしだな。
「ただいまー」
勇気はそこそこ出来るやつで、掃除も料理もできる。
「お邪魔します」
「どうだ、綺麗だろう!」
「はい!綺麗だと思います。私、整理整頓は苦手な方で……尊敬します!」
「そうだろうそうだろう。ところで気になったんだが、どこで寝泊まりしていたんだ?」
「あー。私は幽霊なのでどこででも寝泊まり出来るのですが……、公園のベンチが多かったですかねぇ。」
え、まじか。公園のベンチか。でも幽霊だから誰にも見えないし別に大丈夫だと思うが……。可哀想だな。
「で、1週間前の話なんですけど」
「おお、何かあったのか」
「はい。いつものように公園のベンチで寝ようとしたのですが…後ろの草むらから音がしたんですよ」
公園の草むらから音がしたのか。それは怖いな蛇とかだったらまた怖い。俺は幽霊は大丈夫だが蛇は苦手なんだ。
「ちょっと気になって見に行ったんですが……」
あれ、霊香の様子が段々とおかしくなってきてないか。なんか顔が赤く……これもしかしてあれ、あれじゃないか?
「すごい……ことを……」
「ん?すごいことってなんだ?」
やっぱアレじゃん。絶対あれだよ。俺の知らない未知のものだ。公園でするなんて、なんでけしからん奴らなんだ。
「男の方が女の方にすごい……すごいキスをしていたんです!!」
「キスかーーーい!」
いや、キスなのかい。もっとあれだ凄いことしていると思ってた。うん。やっぱりダメだ。こういう修行もしといた方がいいかもしれないな。耐性を付けとかなければ…。
「はい……。公園でするなんて私だったら恥ずかしいです……。」
「ま、まぁいいんじゃないか。夜の公園は誰も来ない…はずだからな、自由にしててイイジャナイカ」
「そう…ですよね!自由は素晴らしいことです!」
「うんうん。よしご飯食べてないだろう。俺が作るよ」
「大変ありがたい話なんですが…実は食べれないんですよご飯。」
「やっぱり幽霊だしすり抜けたりするのか??」
「はい。。残念です……。」
んー。何かいい方法ないかなぁ。あ、そうだ。料理に霊力を加えれば食べれるんじゃないか。昔聞いたことあるぞ、
霊力が込められた食べ物は美味しいと…。まぁ関係あるかわからないけどとりあえずやってみよう。ものは触れるんだしな。
「ちょっと待ってろ」
「は、はい!分かりました。」
※
「出来たぞ~」
「わぁ!すごいです。すごく美味しそうですね!」
すごい目を輝かしてる。正直めっちゃ可愛い。こんな可愛い子が彼女でいいのかってレベル。
「食べれるかどうか分からないが…。試して見てくれ!」
「は、はい!」
霊香は箸を使って食べようとしている。どうだろう。食べれるだろうか…。心配だ。
パクっ
「っ 」
「美味しいですぅ…」
「おお!!食べれたか!」
「はい!食べれました…。ありがとう…ございます…」
「なんで泣いてるんだよ」
「だ、だってーー…。久しぶりに食べたもんで、感動して……。」
やばい。可愛い。泣いてる所も可愛すぎる。幽霊にこんな可愛い子がいたなんて。なんか俺も泣きそうになる。
「そうか!よかった。どんどん食べていいぞ!」
「はい!ありがとうございます」
いや、それにしても…めっちゃ食べるな。うん。そんなに嬉しかったのかな。どんどん食べていいぞとは言ったが、すごい食べる。女の子が食べる量じゃないぞ、いや俺がおかしいのかな、これが普通なのか。
もぐもぐもぐ…。
※
「いやー、いっぱい食べましたー!勇気さんありがとうございます。!」
「うん。いいんだけどよ、霊香。めっちゃ食べるな、正直びっくりした」
「え、そうですか。私的にはまだ少しお腹が空いてるのですが…」
「うそ…だろ…。ま、まぁいい、よし今日はもう寝よう!霊香は俺の部屋で寝るといい、俺はリビングで寝るから」
「いいんですか??」
「まぁ、だって幽霊だったとしても女だろ?彼女だとしても一緒に寝るのは恥ずかしいからな」
「そ、そうですね!分かりました」
なんか落ち込んでるように見えるな、いやそんな事はないか。
別に一緒でいいのに……。
「ん?今なんか言ったか?」
「な、なんでもないですよー!さ、さぁ寝ましょう!」
「そうだな明日も早いしな」
「おやすみなさい勇気さん」
「ん、おやすみ」
こうして俺の一日は終わった。