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壱:「開いてる」
過去に別の場所に載せていた物を少しだけ推敲して掲載させていただきました。
拙さが滲み出た作品ではありますが、付き合っていただければ幸いです。
夜街に響く『獣』の声。
血の香りを滴らせながら、はるか彼方から吼える。
声に惑わされてはならない。
決して近づいてはならない。
『獣』の『牙』は獲物を逃さない。
『獣』にとって生命の価値は自身の血肉とし、満足させるための餌。
それ以上でもそれ以下でもない。
同じ『存在』であったとしても死を撒き散らし、生を奪う。
『獣』は忌避しなければならない存在。
もし、『獣』が『獣』と認識しなければ、大半の『人』が持つ生命の倫理観に気付けるのだろうか。
『獣』は『人』へと羽化することが出来るのだろうか。