3
「リースス……レーニス……」、潤む目が、あたしとリーススを交互にみたかと思うと「ありがとう! 君たちって、最高だ!」、力強い腕は、軽々とあたしたちを抱き込んだ。その勢いに、踵が浮く。
「ありがとう……本当に、なんて言っていいか……母親に、本当のことを話すよ。俺はあなたの息子だって。受け入れてくれるか分からないけど、このままの俺を愛してもらえるように。きっと、うまくいく気がするよ。今なら、どんな困難だって一足飛びで越えられそうだ」
ライアンの笑顔は、会ったばかりの頃と同じで、相変わらずまぶしかった。でも、あの時よりもずっと柔らかくて、親しみを感じることができた。今のあたしには分かる。あたしたちは、友達になれたんだ。
「お礼を言うのは、私の方よ」、リーススは穏やかな表情で彼を見上げる。「あなたには、たくさん助けられたわ。私じゃ言えないような言葉で、私やレーニスを勇気づけてくれた。ライアン、あなたは綺麗な人よ。私たちが、あなたを想っているから」
ライアンは固まってリーススの顔を見た。それから数歩、なにかに押されるように下がる。かと思うと、手のひらで目元を覆ってしまった。その下で、笑顔の形を残した口から、弱い笑い声が漏れた。
「はは……まさか、こんなふうに言ってもらえるなんて」、ライアンは目元を抑えていた手を下ろした。「ずっと、俺には誇れるものがないと思っていたけど……君たちという友達ができた。俺の誇りだ」
それからあたしたちは、ジュースの瓶で乾杯をした。今まで気づかなかったけど、あたしたちはすごく喉が渇いていたらしい。
ライアンは瓶底を空へむけ、喉を鳴らして一気に飲みほした。ぷはーっと息を吐いてから、「これはまた、ぬるくて最悪だな」と嬉しそうに言った。
「今が最高だから、最悪のジュースでちょうどいい」、コルロルは瓶口を何度か口に運び、少しずつジュースを飲んだ。
「言い忘れたかもしれないけど、コルロル、君も俺の友達だ。無骨な男の友達でもいいだろう?」
「無骨な男だからって断るほど、僕の心は狭くない」
「へえ。それは初耳」
あたしはコルロルをじっと見ていた。なんとなく見ていただけなんだけど、コルロルはそわそわした様子になり、意を決したように口を開いた。
「レーニス、さっきのことなんだけど」
「おじさん、大丈夫かな。1人みたいだったけど」、コルロルと同時に言った。ジュースを飲んで落ち着くと、ふと気になったのだ。ライアンが飽きれた顔をする。
「レーニス、君はあれだけのことを」
「いいの。分かってるから言わないで」、ライアンが言おうとしていることは分かるので、ストップをかける。「心配してるってわけじゃないの。ただ……おじさん、星空を綺麗だって、言ってたから……ため息がでるって。それがなんだか、印象に残ってるだけなの」
「ははん?」、ライアンは片頬を持ち上げる。「なるほどね。あれだけ強欲な人間が、夜空の美しさに感動するのが、腑に落ちないんだな」




