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あたしは金の目を見つめた。コルロルはあたしを見ていて、あたしもコルロルを見ている。そんなシンプルな行為に、幸福の意味を学んだ。
吸い込まれそうって、こういうことを言うんだ。雪の気持ちだって、今なら分かる。溶けてなくなりそうだもの。
熱くて溶けるんじゃなくて、もっとこう……訪れた春の陽気の中、ゆるやかに溶ける牡丹雪のような。温かい空気に包まれて、自分と他との境目が引き延ばされていく感覚。
あなたが好きだと……ずっとずっと、好きだったんだって、伝えないと。
「コルロル、ちゃんと伝えたい。あたし、ずっとずっと、あなたを」
「おーい! コルロルー、レーニス!」
「レーニス、返事してー!」
呼び声の方へ顔を向ける。遠く上の方に、移動しているランタンの灯りが見えた。
「リーススとライアンだ! 2人とも無事だったのよ!」
「え、ちょっと待ってレーニス。今なにか、とっても重要なことを言いかけて……」
「リースス! ライアン! あたしたちはここよ!」
コルロルに感激を伝えてから、あたしはランタンの灯りへ向かって叫び返した。
荷物を持ったライアンを置いて、リーススが駆けてくる。彼女はそのままの勢いであたしに飛びついてきた。
「レーニス! 良かった……! 本当に、無事で……」、そう言ったあとで、リーススは少し厳しい顔をした。「でも、飛行船から飛び降りるなんて、無茶しすぎよ。あの時はもう、あなたを失ったかと……」
「そんなことよりリースス、見て!」、彼女の肩を掴み、あたしは自分の顔をみせつけた。
リーススは目をぱちくりさせる。「嘘……レーニス、満面の笑顔じゃないの……!」
「そうなの! ちゃんと心と繋がったやつ! あたし、嬉しいの。今とっても嬉しいの!全部わかる。あたしはリーススが大好きなのよ!」
リーススは少しぽかんとしたあとで、幼い子供みたいに顔を歪め、堰を切ったように泣き出した。
「リースス、大好き! 大好き大好き大好き!」、リーススの手を掴んで飛び跳ねる。コルロルが後ろで「いちおう確認だけど、それはまさか、僕よりも?」と不服そうな声を出す。
「……もうっ、やめてよ」、泣きながら笑い、彼女は涙をぬぐった。「なんだか私……報われた。本当に、報われたわ。レーニスの笑顔を取り戻せたんだもの。私の十年は、無駄じゃなかったのね」
「不思議な灯りが見えたから、それを目印に飛行船を停めて降りたんだ。正解だったらしいな。レーニスもコルロルも無事で、まさに奇跡……」、大きなリュックを背負って追いついたライアンは、あたしの後ろを見るなり足を止めた。
「もしかして……コルロルか? コルロルなのか?」
ランタンを持ち上げ、ライアンはどこか慎重な足取りでコルロルへ歩を進める。信じられない事実を、ゆっくりと受け止めるみたいに。
灯りの先で、コルロルは「やあライアン」と軽く手を上げて見せた。この時はじめて気づいたけど、どうやらコルロルは裸体らしい。
「なんだコルロル、人間になれたんだな! なんだよ、姿がこんなに変わったっていうのに、すごく自然じゃないか! ただちょっと、裸は自然すぎるな」、そう言って、ライアンは担いでいたリュックを下ろした。
「コルロル、ずっと裸だったのね……気づかなかった」
「気づかないってありえるの? 見れば分かるじゃない」
「それどころじゃなかったから」




