6
「コルロルだー! やったぞ! ついに捕まえたんだ!」
今まさに薪へと火が灯され、煙が立ち昇りはじめた頃、誰かが叫んだ。兵士の大群が、大きな荷車を引きずり、帰還した様子が見える。荷車には、コルロルが縛り付けられている。荷車に入りきらず、手足はだらりと地面をこすっていた。
「私だ! 私の情報提供がコルロル確保につながったんだ!」、すかさずガルパスおじさんが主張しに飛び出してきた。彼の大きな声は、こういう場では役に立つ。
しかし、コルロルを見ようと押し寄せる人の波に追い出されてしまっている。街の人はその禍々しい姿を目の当たりにし、顔を歪め、言葉を失い、後ずさる。それから叫んだ。「こいつも火あぶりだ!」「そうだ! 魔女と共に葬れ!」「火をつけろ!」「火をつけろ!」
広場は騒然とした。騒ぎの中で、おじさんは主張を続ける。
「私が負傷させていたからな! だから捕まえられたんだ! 君たちの仕事も、ずいぶん楽になったんじゃないか? いいか、私の懸賞金の取り分は八割だ! それ以上はびた一文もまけんぞ!」、せわしなく言って、おじさんはテディをいじめている子供たちを怒鳴りつけた。「こら貴様ら! 見物料は入れたんだろうな!」
子供たちは蜘蛛の子を散らしたように「怪物だって!」「見ようぜ!」と駆けていき、おじさんは「まったく」と鼻息を荒くしながら、缶の中身を巾着へ流し込んだ。そして巾着の重みを計るように手に乗せると、満足気な顔をした。
そのころには、広場は「殺せ!」「殺せ!」というコールの嵐で埋め尽くされていた。抑止する兵士の合間から、誰かが擦ったマッチをコルロルへ放る。次々と、マッチの火と、石と、薪が投げ込まれる。
「その怪物と、もう一人、男が一緒じゃなかったか?」、おじさんが兵士に尋ねる。そういえば、ライアンはどうしたんだろう。
「いえ、見ていませんが。どんな男です?」
「まあいい、あの爆発で崖下に落ちたんだろう。それよりも君、あそこに一人見張りをつけてくれないか?」、おじさんはテディの檻を指す。「見物料を出さん者は追い払ってくれ」
兵士は「なにがあるんですか?」と檻をのぞき込む。
「奇妙なぬいぐるみだ。言葉を話し、動くんだ。なにせ、魔女が連れていたぬいぐるみだからな」
兵士は不思議そうにおじさんを振り返る。「なにもいませんよ」
「なに?」
おじさんが眉をひそめたころ、「レーニス」と呼ぶ声が、足元から聞こえた。
「よいしょ、よいしょ」と薪を登ってくると、テディはあたしの前にその姿を現した。
野次馬の中には、テディを見てぎょっとする人もいたけど、とくに触りたいとは思わないらしい。
「テディ……どうやって」
テディはあたしの足にしがみつき、よじ登ってくる。ほつれた糸でかろうじてつながっていたプラスチックの目が、取れてしまっている。きっと、あの子供に切られたんだ。
テディは器用に体を登ってくると、あたしの肩に座り、そこからこちらを見つめた。
「レーニス、大変そうだね」
「……まあね……」
「ねえ見て。目、取れちゃったみたい。やだやだ。レーニス、あとでつけてくれる?」
「それは、難しいと思うわ」




