緩やかな平常時
お兄ちゃんは、公園に向かってじいちゃん探しの一歩を大きく踏み出した。勢いに負けた、ここぞの切り札ショウリョウバッタは当たり前みたいに吹き飛ばされて宙を舞った。えって思ってたら束の間、カエルのお口でキャッチで食べられちゃって、んっ?って思ってたんだけど、それを蛇が一口呑み込んじゃって、ふえ?って声を出してたら、蛇たちは、おっちゃんに捕まって、サバイバルナイフで手早く輪切りにされて、あらよって感じで釣り竿の先につけられたかと思うと川にぶん投げられて釣りの餌にされちゃった。刹那にも程ない?ってお兄ちゃんに言おうとしたんだけど、丁度お兄ちゃんは空飛ぶ円盤に吸い込まれていて地上3メートルに浮いていた。なんのこっちゃって思うんだけど、輪切りにされた蛇の間、カエルの中からなんやかんやで生還を遂げたショウリョウバッタがピョンってじわじわ上昇するお兄ちゃんの左足、ふくらはぎジャージのところに間一髪で飛び掴まって、はあ危なかったみたいな雰囲気出すもんだから、可愛いって思った。お兄ちゃんどんどん天に召されちゃうからどうすんの?って聞いたら、わからんってなんか憂いた表情しててうけた。そんなタイミングで円盤が横に動き出したから、私も走ってついていくことにした。そういえばって思って振り返ったら、やっぱり釣りのおっちゃん、川の主に丸呑みにされてた。やっぱりねって、形式的なため息出しといて、空飛ぶ円盤なんて追い越しちゃう勢いでその場からダッシュで離れた。