家に戻った華音、従姉二人からまた責められ・・・
華音は久我山の駅につき、走って家に戻った。
立花管理人が
「まあ、お茶でも」
と声をかけてくれるけれど、あの従姉二人の表情が不安。
すぐに自分が住む洋館に向かわなければならない。
ただ、文化庁関連と今西圭子の話は伝えなければならないと思った。
華音が
「立花さん、申し訳ありません、あの文化庁の高村さんと、奈良の今西圭子さんから依頼がありまして」
と、言い始めると、
立花管理人は、落ちついた表情で、華音を制した。
「はい、しっかりと既に承っております」
「奈良のお父様からも、文化庁からも、当然今西のお嬢様からも」
華音が立花管理人に驚くと、立花管理人は言葉を続けた。
「土日、かかるかもしれませんので、私もお手伝いします」
「今は、シルビア様と春香様が、首を長くしてお待ちですので、お急ぎください」
華音が「はい!」と答えて、洋館に向かおうとすると、立花管理人から、さらに一言。
「もしかすると、文化財研究所の方も、お見えになられます」
「お心の準備をお願いいたします」
華音の表情がまた変わった。
「それ・・・本当ですか?急がないと・・・」
立花管理人は、深く頷く。
「やはり、各寺社から提供された古文書の類、相当関心を集めているようです」
「相当貴重な写本もあるとか、現存限りのも、あのお部屋には・・・」
華音は、そこまでは話を聞いた。
しかし、自分の部屋で「おそらく文句顔」で待つ、二人の従姉が気になる。
「ほんと・・・話が急すぎる」と思い、自分の部屋に急ぐことになった。
その華音が自分の部屋に入ると、まずシルビアの大声。
「こらーー!華音君!遅い!」
続いて、春香の厳しい声。
「まっさか、立花さんとお話していたなんて、そんなことはないよね」
華音は、「うっ・・・」と言葉に詰まるけれど、それ以上に非常に困った事態となった。
何しろ、シルビアも春香も、タンクトップにショートパンツ。
二人とも、その豊満な胸が目立つし、長く美しい脚がむき出しの状態。
華音が赤くなっていると、シルビアの声が飛んで来る。
「まったく、何をやっていたの!」
「何も片付いてない!」
春香もきつい。
「吉村のおばさんに聞いたけれど、圭子ちゃんみたいな、大年増に顔を赤くしたって?」
「小さな頃、おしめ替えてもらったから、何だって言うの?」
シルビアもかさにかかる。
「一緒にお風呂なら、私たちだって、一緒に入ったじゃない」
「お尻のホクロ?そんなの私たちだって知っているもの」
春香も華音をまた責める。
「あとで、そのお尻のホクロ、見せなさい」
「文句言ったら引きずりおろすよ」
二人の従姉に責められながら、華音は部屋を見回して、「あること」に気が付いた。
「シルビアと春香の、学生鞄がある」
「学生服がハンガーにかけられている」
「テーブルの上には、パジャマ?ネグリジェ?・・・」
「その上に・・・あの白いのは・・・下着?」
華音は、頭を抱えている。




