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学園では大評判となる華音たち 来客に顔を赤くする華音

華音と文学研究会、雨宮瞳が、「持ってこい詐欺」のヤクザ男を倒し、おばあさんを救った話は、学園内に広まっていた。


華音と雨宮瞳が学園長と離れ、校舎に入ると、いろんな生徒から声をかけられる。


「すごいなあ、すばらしい!」

「いいことしたね、でも大丈夫?」

「刃物を持ったヤクザを退治したなんて、かっこいい」

「今日の通学の時に、地域の人にほめられたよ、僕じゃないけど」

「すごく感謝されているみたい、華音君たちのおかげで」

・・・・・いろいろと続いていると、文学研究会の長谷川直美が笑顔で、華音と瞳の前に歩いてきた。


長谷川直美

「おはよう、昨日はご苦労さん、すごい評判になっているよ」

「私も拍手されたり、声掛けられたり」

いつもの長谷川直美のお高いような表情ではない

とにかく笑顔が明るい。


華音は、頭を下げた。

「はい、こちらこそ、おばあさんも今朝、博多にお帰りになりました」

「新幹線でしたので、お昼過ぎには家に戻れるようです」

「何とか、人助けできて良かったと思います」

何とも華音らしい、「教科書通り風」の言葉になるけれど、長谷川直美も瞳も、うれしそうに聞く。


また文学研究会の花井芳香、佐藤美紀、志田真由美も、華音と瞳の前にきて、とにかくご機嫌。


花井芳香

「とにかく、昨日の話題で持ち切り」

佐藤美紀

「華音君のおかげかなあ、瞳もがんばったね」

志田真由美

「おばあさんも、よかったねえ、たまたま華音君がいて」

・・・・いろいろ盛り上がるけれど、華音はにこにことして聞いているだけ。


華音と瞳が教室に入ると、また大きな拍手、萩原担任からも

「素晴らしい人助け、クラスの誇り、学園の誇りです」

と、声をかけられる。


そんな大騒ぎの状態のまま、一日が過ぎ、放課後となった。

華音は、吉村学園長に呼ばれたので、学園長室に出向くことになった。


「失礼します」

華音が学園長室のドアをノックし、中に入ると、立派なスーツを着た紳士が1人、シックな紺のスーツを着た若い女性が1人、座っている。


吉村学園長から、

「華音君、私の隣に座って」

と、声をかけられ、華音が吉村学園長の隣に座ると、目の前の1人の紳士が華音を見て話し出す。


「華音君ですね、文化庁の高村善彦と申します」

「それから、私の隣は今西圭子、同じ文化庁の所属、私の部下となります」

高村善彦の隣の今西圭子も頭を下げる。

ただ、今西圭子は、華音を見て、うれしそうな顔。


吉村学園長が、華音に笑いかける。

「華音君、懐かしいでしょ?圭子ちゃん」


華音は、その顔がすごく赤くなっている。

そして、すぐに声が出せない。

それでも、やっと言葉を出す。

「あ・・・三田華音と申します」

「・・・はじめまして・・・じゃない・・・圭子さんとは、お久しぶりで」

華音は、今までとは全く異なる。

冷静ではない、とにかく真っ赤、固まってしまった。


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