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華音について奈良に行きたい瞳

翌朝、おばあさんは、立花管理人に品川駅まで黒ベンツで送られ、新幹線などを利用して、大宰府に帰っていった。

帰り際に、何度も華音たちに頭を下げ、お礼を言う。

「ほんのこつ、何のお礼もできませんで」

華音は笑顔で応えた。

「いえ、博多に出向いた時は、またお会いいたしましょう」

「それまでは、お元気で」

吉村学園長も声をかけた。

「とにかくお達者でお過ごしください」

「また都内に出向かれたら、ご連絡ください、いつでもお待ちしております」


そのようなやり取りの後、華音はシルビア、春香と吉村学園長と一緒に登校となる。

最寄りの久我山駅まで歩いて、ホームに降りると、雨宮瞳が心配そうな顔で待っている。

また、学園長も歩いて来たので、少々緊張気味。

「おはようございます、学園長」

と、まずは学園長にごあいさつ、そして華音にすっと近寄る。

「華音君、おはよう、大変だったね」


華音は、いつもの冷静な顔。

「いや、心配だったので、泊まってもらっただけ」

「安心していいよ」


華音の言葉通り、雨宮瞳も安心したようだ。

ほっとした顔で、華音に寄り添っている。


そんな華音と瞳の様子を見た吉村学園長は、シルビアと春香に、笑いかける。

「ねえ、なかなかいい雰囲気ね」

シルビアは、笑っている。

「立花管理人に聞いたんですが、瞳さんのお母さんとお知り合いのようで」

「かつては、貿易会社にお勤めで、あのお屋敷にも来られたとか」

春香も、面白そうな顔。

「私たちの小さな頃も、知っているとか、なかなかの縁と思いますよ」

吉村学園長は、また笑う。

「なんかね、二人を見ていると、おままごとのね、お人形さんが二体って感じ」

シルビア

「華音君も、おっとりフェイスでね、瞳ちゃんは愛らしいって感じ」

春香

「お内裏様とお雛様って、感じです」


さて、華音と瞳は、そんな話は耳に入らない。

二人だけで、話をしている。

「ねえ、華音君、文学研究会に入るの?」

華音

「今のところ、その方向でいるよ」

「そう・・・それで、どんなことやるの?」

華音

「とりあえず万葉とか和歌をテーマに、歌の意味とか、時代背景とか」

「すごいなあ、まるでお勉強みたい」

華音

「少し万葉が身についたら、万葉集ゆかりの地を全員で歩くかも」

瞳は、また驚いた。

「へえ・・・旅行?奈良?」

華音

「そうだね、明日香村とか、山の辺の道とか」

瞳は、うらやましくなった。

「私も行きたいなあ、でもテニス部だし」

華音は、笑った。

「土日とか連休を利用する」

「泊まるのは、僕の奈良の実家」


吉村学園長が話を聞いていたようだ。

瞳の耳元で囁いた。

「雨宮さん、万葉ツアーを学園内で募集するかも」

「希望者のみ参加でね」


瞳の顔が、パッと輝いている。


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