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テニスコートからの悲鳴、華音の動き

「キャアーーーー!」

突然、テニスコートから悲鳴が聞こえてきた。

それを見ていた雨宮瞳の表情が変わった。


「あ!沢田先輩!倒れてる!」

「右の足首?」


テニスコートで倒れた沢田という女子学生のところに、打ち合っていた女子部員、他の部員やテニス部の顧問らしい大人が駆け寄っていく。


三田華音が、雨宮瞳に声をかけた。

「まずは、保健室の先生に連絡を」

「できれば、ここまで来てもらったらどうでしょうか」

「・・・おそらく・・・右足首の捻挫かと思うんですが」


華音の冷静な言葉で、動揺していた雨宮瞳の顔が落ち着いた。

「そうだよね、華音君」

「私、それを言われなければ、テニスコートに入って立ち尽くすだけだった」


三田華音は、雨宮瞳に頭を下げた。

「あの、保健室には僕も行きます、でも、まだ・・・僕は顔見せもしていなくて・・・場所もうろ覚えで」


雨宮瞳も即座に反応。

「うん、わかった!華音君、一緒に行こう!」

「ありがとう!助かる!」


そのまま、雨宮瞳と三田華音は、保健室に向かって走り出した。

また、一緒についてきたクラスメイトも続く。


走りながら、雨宮瞳は、華音に尋ねる。

「ねえ、華音君、あぶないとか言っていたけれど、感づいたの?」

華音は、頷いて

「はい、なんとなくですが、右足がすべっているような感じがして」

「少々、不自然な感じがしたんで」

雨宮瞳は、驚いた。

「よくあれだけ見ただけでわかったねえ、華音君、経験者なの?」

三田華音は首を横に振る。

「いや、ほとんど経験ないです、それより急ぎましょう、かなり痛いはず」


一行は、そんな状態で保健室に入った。

雨宮瞳が、テニスコートにおける状況を手短に保健教師の三井春香に伝えているけれど、三井春香は途中から、三田華音に注目している。


三井春香は、少し微笑む。

「ねえ、あなたが今日転校してきた華音君?」

「学園長から、話がありましたよ」


三田華音は、素直に頭を下げる。

「はい、三田華音です、はじめまして、挨拶が遅れまして申し訳ありません」

「でも、今は何より、テニスコートへと」


保健教師三井春香も、すぐに頷いた。

「わかった、急ごう、担架も必要かな」

「華音君、持ってくれる?」


華音が担架を持ち、今度は保健教師三井春香も加わり、再びテニスコートへ急ぐ。


雨宮瞳が華音に頭を下げた。

「ごめんね、華音君、転校当日から忙しい思いをさせてしまって」


華音は首を横に振る。

「いや、そんなことではなくて、まずは痛がっている人を何とかしてあげたいだけです、急ぎましょう」

そして、グラウンドに降りると、雨宮瞳を少し見て、一人で走り出してしまった。


その華音の後姿を見ている三井春香が、ポツリと雨宮瞳他、全員に。

「華音君は、いろんな奇跡を起こすかもしれないよ」

「おそらく、信じられないような不思議なことを」


「え?」となる雨宮瞳他全員をよそに、三井春香の目が輝いている。

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