華音をめぐる攻防戦?(1)
華音の文学研究会への「訪問、顔見せ」は、そのような状態で終わり、全員で部室を出た。
華音は頭を下げた。
「いろいろ、教えていただいてありがとうございます」
部長の長谷川直美は、にっこり。
「明日から楽しみだね、駅まで一緒しましょう」
花井芳香は華音の隣を歩く。
「なんか、ほんわかムードだなあ、これは幸せ」
佐藤美紀も華音の隣を歩く。
「奈良も、華音君のお宅訪問も楽しみ」
志田真由美は、歩きながら周囲の反応を楽しむ。
「他の人、すごく注目しているよ、私たちのこと」
長谷川直美はクスッと笑う。
「華音君と歩くのがうらやましいのかな、人気者だしね」
花井芳香は、胸を張る。
「私たちのことを、お高いとか何とか言っているみたいだけど、華音君を射止めたのは私たち」
佐藤美紀も頷く。
「直美のシンパしか入れないってわけではないの、ある程度の素養があれば入れるもの、華音君はすごいけれどね」
志田真由美は、テニスコートの近くに立つ雨宮瞳に手を振る。
「瞳ね、きっと華音君を狙っているの、目が本気だもの」
長谷川直美はまた笑う。
「沢田文美も小川恵美もかなあ・・・剣道部と空手部の女子たちにも人気だね」
しばらく無言だった華音が口を開いた。
「僕の家は、ある程度の人は入りますので、懇意になられた方を、まとめて招待します」
「杉並の、年代物の家ですが」
長谷川直美は、「うん」と頷いて、文学研究会全員に声をかける。
「それは是非、伺いたいよね」
花井芳香は大賛成。
「異議なし、一人住まいなの?」
佐藤美紀は質問。
「お食事とかお洗濯は?」
華音は恥ずかしそうに答える。
「屋敷がもう一つありまして、食事はそっちで、洗濯は自分でもできます」
志田真由美は「へえ・・・」と言う顔。
「なんか、もう一つの屋敷って・・・リッチだなあ」
華音と文化研究会の面々は、和やかな雰囲気で、校舎の玄関を出て、校門に向かって歩いて行く。
それを見た生徒たちは、驚きやら、様々。
「マジ?長谷川直美の顔がメチャ柔らかい」
「華音君を見る目が熱い・・・って・・・女子全員・・・」
「マジ、気に入らないなあ・・・色仕掛けでもしたの?」
「健全な華音君と、妖しい女どもの構図か?」
「そうなると華音君を守らねばならない」
「妖しい女どもの、毒牙から?」
「でもさ、ツンケンしていた女どもの顔が、みんな柔らかいんだけど・・・」
「それも、華音君の効果?」
「そう、テニス部とか剣道部、空手部も雰囲気変わった」
「トゲトゲしかった人もいたけれどね、そういう人が減った」
さて、志田真由美に、「得意そうに手を振られた」雨宮瞳は、ムッとしている。
「気に入らん、あいつ・・・」
「ちょっとお話しただけで、華音君をゲットしたなんて思ってるの?」
「大きな間違い、私のほうがお家まで伺った実績があるし」
「母だってお知り合いだし」
「今度の日曜は、迎えに来てくれるって、華音君は言っていたし」
「それを何?あの態度」
「華音君は、誰にでもやさしいの、それを、自分勝手に勘違いしてるだけ」
そこまで思った時、雨宮瞳は、足が動き出してしまった。
そして大きな声。
「華音君!一緒に帰ろう!」
今度は雨宮瞳が、大きく手を振り、華音に向かって走り出した。




